B-2は世界でも特異な機体で高度の機密のベールに覆われている。製造わずか21機で、翼幅170メートルの機体だが、大型鳥類程度にしか探知できないといわれる。エンジン4基で飛行するが大部分の赤外線装置は探知できない。
これだけの大きさの機体をどうやって探知不可能にしているのだろうか。
B-2のステルス性能はコンピュータテストの連続実施で生まれたもので、F-117やB-1もステルス機だが当時のコンピュータ能力は低く、技術陣が計算尺を手に設計した。
だがB-2の設計時点で、技術陣はスーパーコンピュータを利用し、滑らかな機体表面を実現し、レーダー探知を無効にした。それだけ機械加工の難易度が高まったがステルス性能を考えれば追加工数の価値ありと判断された。
B-2がレーダーに向かって飛行すると、レーダー波は90度反対方向に反射されて戻るので、レーダー操作員は手が出せない。
B-2の夫婦パイロットの後方にある機体でエンジン空気取り入れ口がコックピットの左右についているのがわかる。
(Avery family courtesy photo)
だがエンジンが機体に取り付けられればステルス性能は損なわれる。そこで、技術陣は機体にエンジンを統合し、レーダー波が直接反射できないようにした。
ただし排気は面倒の種となる。赤外線痕跡で航空機は探知可能となる。ただし、かなり接近していないと難しい。そこで、B-2には可能な範囲の短距離で赤外線排出を拡散させる、または隠ぺいする技術を必要とした。
その技術は極秘扱いだが、排出口形状から推測はできる。熱排気を外気と混ぜ冷却してから排気することで排気温度を大気温とほぼ同じにする技術のようだ。
この機能により敵側のミサイルや戦闘機は対応が困難となる。ただし、いったん機体が見つかれば、戦闘機部隊は接近し撃墜を試みるはずだ。
だがB-2ではこの可能性も低い。きわめて静寂なため、スポーツイベント会場上空をB-2が飛行する中で普通に会話ができる。
通常の機体の場合は現場上空に到達する前から飛行音が聞こえるのが普通だ。音で機体の方向がわかる。だが、B-2の音響痕跡は小さく、飛行中の同機を見つけるのは大部分困難だ。
2018年のロイヤル国際エアタトゥーでRAFフェアフォード基地上空を飛行するB-2 (U.S. Air Force Tech. Sgt. Brian Kimball)
こうした機能を組み合わせB-2のレーダー探知は困難となり、低騒音で地上で気づかれにくく、熱排出が少ないため、防空部隊の対応が困難となる。
とはいえ、パイロットの技量と飛行計画が優れていることが必要だ。防衛側が低周波レーダー波を使い、高性能戦闘機でB-2を狩ることは高度の防空体制地区なら可能だ。だが、そこでB-2のステルス性能を助けるのが高水準の情報活動で、機体を比較的防空体制が弱い空域に移す。
これこそがB-2のミッションの重要部分であり、同機は表舞台に現れる爆撃機ではない。期待されるのは第一陣攻撃で地上防空体制を粉砕し、「ステルス性能が劣る」僚機に進入経路を開くことになる。このためRC-135等の偵察機が敵防空体制を解明することが必要だ。
だがB-2にはこれ以外の活用法がある。そのひとつが指揮命令所をおさめた防空壕の撃破で、これはイラク侵攻で実際に行われた。敵の防空ネットワーク機能をダウンさせるべく開戦初期に実施すると作戦立案が楽になる。
敵司令官が首都の集会に姿をあらわせば、防空網に穴をあけるまで待たず、B-2をそのまま進入させればよい。あるいは時間の余裕がなければB-1を派遣する。レーダー網への対処はそのあとでよい。
B-2が本領を発揮する場面となる。飛行時間当たり経費はその他機材を上回り、搭載爆弾もB-52やB-1より少ないものの、その他機材では不可能な攻撃ができるのは驚異のステルス性能があってこそだ。■
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How the legendary B-2's stealth actually works
Posted On April 01, 2021 03:42:00
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