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日本へのPLA軍事行動で抑止効果を生んでいる防衛装備を5つ選んでみた。(引用記事がやや古いので要注意です)安全保障論議は理念ではなく、現実を直視する必要があることがわかりますね。

 



 

 

 

中関係は2010年から悪化の一途だ。日本領海に侵入した中国漁民の逮捕を皮切りに両国で無人で無価値に映る尖閣諸島をめぐり不愉快な事態が続いている。

 

現時点では両国の沿岸警備隊が中心だが、年を追うごとに状況は悪化している。放置すれば些細な事件が軍事行動に一気に進む事態にもつながりかねない。今回は考えたくない事態が発生した場合、中国を慎重に対応させる威力を有する日本の防衛装備品5種類を紹介したい。

 

そうりゅう級ディーゼル電気推進潜水艦

 

そうりゅう級は攻撃型潜水艦として原子力潜水艦を除けば世界最高水準にある。潜航時の排水量4,100トン、水中速度が最高20ノットといわれ、スターリング大気非依存型推進でディーゼル電気推進方式潜水艦として最長の潜航時間を実現した。

 

艦首に魚雷発射管6門を備え、89式高速ホーミング魚雷およびサブ・ハープーンミサイルあわせ20本を搭載する。先制攻撃能力の実現に道が開けば、巡航ミサイルの搭載も期待される。

 

人民解放軍海軍潜水艦戦力の増強に対応すべく、2010年に日本は潜水艦部隊を従来の16隻から22隻に増強する方針を決定した。

 

戦後の日本は日本への侵攻で重要経路となる津軽、津島、関門、宗谷の各海峡に潜水艦を集中配備する方針をとってきた。これは冷戦時のなごりで、当時はソ連による侵攻を想定していた。これに対し、中国を意識した新方針では尖閣諸島、琉球諸島を念頭に、東シナ海や日本海に前方配備を考えているはずだ。

 

中国にとって日本潜水艦部隊が厄介な存在になるのは、対潜戦(ASW)が一貫して中国の弱点だからだ。中国は有事のASW実績がなく、技量装備ともに劣る。他方で日本は潜水艦運用を長年続け、潜水艦乗員の練度は高い水準で米海軍と同等になっている。

 

F-15J

 

航空自衛隊のF-15Jは制空戦闘機の中心的存在だ。三菱重工業が国内生産した同機には米F-15と軽微な違いがある。

 

米サイドワインダーに類似するAAM-5赤外線ホーミングミサイルを搭載し、さらにAAM-4B中距離レーダー誘導ミサイルではアクティブアレイレーダー方式のシーカーを採用した世界でも数少ない装備品となっている。中国に同種の装備品はなく、射程とロックオン機能がすぐれ、F-15Jは大きな優位性を中国機に発揮できる。

 

200機超が製造されたF-15Jだが製造後30年が経過し、中国の新世代軍用機への優位性を維持すべく、性能改修とともに電子対抗機能(三菱統合電子戦装備)の拡充を続け、前方監視赤外線探知追尾機能も実現した。

 

外国軍用機が日本領空に接近するとF-15Jがまず投入される。沖縄に基地を置く飛行隊のF-15J20機は尖閣諸島も活動範囲に入れており、与那国島へ分遣隊を常駐する案が検討されている。

 

機齢が高くなっているとはいえ、F-15Jは今も人民解放軍空軍(PLAAF)に手ごわい相手のままだ。F-15は強力な機材との評価を世界的に確立しており、104機撃墜し損失はゼロという実績がある。

 

あたご級誘導ミサイル駆逐艦

 

あたご級駆逐艦二隻は日本で最高水準の水上戦闘艦で各種任務をこなす能力を付与されている。満載排水量が1万トンのあたご級は第二次大戦時の巡洋艦に匹敵する。米国開発のイージス・レーダーシステムにより移動防空装備となり、航空機のみならず弾道ミサイル撃破にも対応する。

 

あたご級はMk.41垂直発射ミサイルサイロ96門を搭載し、SM-2対空ミサイル、SM-3弾道弾迎撃ミサイル、ASROC対潜ロケットを運用できる。対艦攻撃手段にはSSM-1B対艦ミサイル8発があり、米ハープーンとほぼ同等の装備だ。火砲として5インチ砲一門、ファランクス近接対応装備がある。さらに対潜戦にSH-60シーホークヘリコプター一機と73式対潜魚雷発射管6門で対応する。

 

あたご級は先行建造のこんごう級の発展形で、垂直発射装備は6セル増え、ヘリコプター格納庫が追加された。

 

あたご級性能向上が完了すれば、強力な防空装備となる。有事シナリオでは中国が短距離中距離弾道ミサイル多数を発射する予想があり、日米の水上艦艇、基地、防衛施設が標的となる。日本のイージス艦部隊が尖閣や琉球諸島に展開すれば強力な対空能力が実現する。SM-2ブロックIIIB対空ミサイルの射程は90カイリで、あたご級一隻で565平方カイリの空域に対応できる。

 

いずも級「多用途艦艇」

 

全長800フィート、満載排水量27千トンのいずも級ヘリコプター駆逐艦は戦後日本で最大の海軍艦艇となった。公式には「ヘリコプター空母型護衛艦」とされるいずもはジャパンマリンユナイテッドが横浜で建造した。姉妹艦かがも建造された。

 

いずも級は先行のひゅうが級より大きく、ともに空母形状となっている。いずもを海上自衛隊は多用途艦と呼び、全通飛行甲板と格納庫に最大14機のSH-60対潜ヘリコプターを搭載し、広範囲で対潜戦を実行できる。

 

また揚陸作戦にも投入可能だ。2013年の日米共同演習ドーン・ブリッツでJSひゅうがが洋上航空拠点となり、陸上自衛隊のCH-47チヌーク輸送ヘリ、AH-64アパッチ攻撃ヘリを運用した。有事にはいずもは西部方面隊の一個大隊を搭載し、ヘリコプターで移動させる。

 

日本が米海兵隊、英海軍に続きF-35Bを発注し、いずもで運用する予測がある。[訳注 本記事の執筆時点での話です]F-35Bはいずも級、ひゅうが級での運用が可能だが、相当の改装が必要となる。固定翼機運用に対応させ、飛行甲板を強化し、垂直着艦時に発生する高温に耐えるようにする。政治面でも課題となるが、尖閣・琉球地方の防衛に必要と判断されれば、実施に進むだろう。

 

中国がいずも級を警戒するのは多用途性に原因がある。ASW艦として中国潜水艦に対応し、揚陸艦として遠隔島しょ部に地上部隊を搬送し、さらに空母として少数ながらステルス第五世代戦闘爆撃機の移動基地となるためだ。


米軍部隊

 

他国軍がリストに載っていること自体が異例だが、日米相互安全保障協力条約により世界最強の軍事力が日本の背後に控える。

 

日中戦に米国が参戦するには一定条件が必要で、日本は攻撃で被害を受けてから米軍による支援を求めることとなる。ただし、いったん条約の定める条件がそろえば、米軍事機構すべてが日本防衛に投入できることとなる。

 

ここまで同盟国が献身的に対応するのは賞賛すべきことで、日米同盟は戦後期で最大の成功事例といってよい。ただし、日米同盟はソ連との全面戦争を想定し生まれたものであり、日本が領土問題をめぐり中国と対立する構図は想定していなかった。

 

日中対決に米国が参戦すれば、事態は一気に大規模戦闘になるのは確実だ。米中戦となれば日中間の対決など姿がかすむし、グローバル経済への影響は計り知れず、なんといっても核保有国同士の対決となる。領土をめぐる紛糾が悪化すれば日本としても防衛費のGDP1パーセント上限方針を撤廃し、米国が局地紛争に巻き込まれ一気に大規模戦にエスカレートする危険が現実になりかねない。■


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These 5 Weapons Would Help Japan Fight Off China


April 3, 2021  Topic: Japanese Military  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanChinaMilitaryWeaponsWar

by Kyle Mizokami

 

Kyle Mizokami is a writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

Image: Wikimedia Commons


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