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北朝鮮のEMP攻撃にどこまで対応できるか。EMP攻撃は大量報復反撃を招くだけで、実施不能では。しかし、キ〇ガイの考えることは予測不能だろう。

 

 

 兵器で電磁パルス(EMP)を発生させるのは可能だが、戦闘形態としては効果が必ずしも高いわけではない。

EMPというと怖い響きがあるが、電力網を機能不全にできるのか議論の余地がある。また、核攻撃に踏み切れば、その国は米国により完全に破壊されることとなる。

 

北朝鮮が開発中の長距離大陸間弾道ミサイル、核弾頭をめぐり朝鮮半島で開戦となれば、通常兵器のみ投入の場合でも破滅的な結果が待っている。核兵器投入に踏み切れ場もっと悪い結果が生まれ、事態は最後の審判の日にまでエスカレートする。

 

大都市圏が核攻撃された場合の損害は周知の想定だが、戦術核兵器は軽視されがちだ。北朝鮮が米主導の侵攻作戦を食い止めようと戦術核兵器投入に踏み切った場合、核爆発でEMP効果が加わる。電子装置は防護措置がないとEMPにより深刻な損傷を受ける。米軍の作戦がネットワークや高性能センサー装備に依存する分だけ脆弱になる。

 

国防専門家や軍内部にはEMPによる損害予測で公言を差し控える傾向が強い。情報が極秘扱いのためもあるが、米国や同盟国でEMP効果への防護策のある装備が一部にとどまっているためだ。

 

「実際に発生するのか、発生しないのか、装備ごとで事情が異なる」とミッチェル研究所長デイヴィッド・デプチュラ空軍中将(退役)はThe National Interestに述べていた。「追加課題になる。EMP防護策に大金が必要だ。ここ25年間にわたりコスト削減が叫ばれているが、まだ優先順位は低いままだ」

 

戦略予算評価センター主任研究員のブライアン・クラークはもっと直接的な表現をしている。

 

「わが方の装備品でEMP対策は一部に限られる。旧式アナログ方式装備や冷戦時の装備は耐えられる」とThe National Interestに語った。

 

「大気圏高高度の核爆発でEMP効果が発生するかはっきりしていない。また北朝鮮がその実行に踏み切れば自らも影響を受けるのではないか」

 

戦略予算評価センターで航空戦力を専門とする研究員マーク・ガンジンガーはB-52パイロット経歴を有し、ペンタゴンはEMPのような非対称脅威を想定しているものの、真剣に対応するためには予算獲得が必要だとThe National Interestに述べた。

 

「ここ数十年にわたり、DoDは『ハイブリッド』脅威を振りかざす潜在的侵攻勢力が通常兵器、非通常兵器など非対称能力を組み合わせ運用する事態を恐れており、WMD(大量破壊兵器)もここに含まれる。

 

「DoDの各軍部隊、兵装システムの対応能力整備には予算が必要だ」

 

北朝鮮についてはガンジンガーはEMPで北朝鮮軍にも影響は免れないが、米軍のほうが脆弱ぶりを露呈するのは確実と述べている。

 

「北朝鮮が粗削りなEMP兵器を朝鮮半島で作動させれば、自軍も影響を受け、もっと影響が深刻なのが自らの指揮統制の基本機能だ」

 

高性能機能に依存が高い米軍のほうが影響を多く受けるのではとの問いに、ガンジンガーはそれは別の可能性だと答えた。

 

「可能性は高い、そうだね。ただし、この問題にはまりたくない。

 

「軍用装備に機能不全が発生し、ネットワークも適正に強化していないと影響を受ける。同盟国部隊にも影響が出ることを忘れてはいけない」

 

ただし、北朝鮮が核兵器で都市圏を攻撃しなくても、米軍や同盟国軍部隊の頭上でEMP爆発に踏み切れば、米国が核兵器で反撃するのは必至だ。

 

「超強力EMPで北米大陸の配電網が機能不全になって、大統領は『打つ手がない』と言い訳できるだろうか」と問うのはNonproliferation Review編集者のジョシュア・H・ポラックだ。

 

「そこまで言うとオーバーだ。1.4メガトン核爆弾がホノルル上空で爆発して見通し線内で街路灯数本が消えたが、EMP専門委員会の想定する最悪のシナリオが現実になれば、抑止力にどんな影響が生まれるか予測できない。核攻撃を受け大規模被害が発生したら、同様に破壊的な効果を生む反撃に踏み切るのが自然だろう」

 

いずれにせよ、米国が介入しピョンヤンの現体制を転覆させようとすれば、北朝鮮も自制を考えなくなるだろう。

 

「せっかくの核兵器を理論上のEMP効果の実験用に投入するとは考えにくい」とPloughshares Fundを主宰していた軍備管理専門家ジョセフ・クリンシオンがThe National Interestに述べていた。

 

「EMPはいかれた発想だ。敵が核兵器を投入すれば、核使用の閾値を超え、核兵器による反撃を招く。米軍指揮官が『単なる空中爆発だ。こちらも同様の形で対応しよう』などと言うはずがない。圧倒的かつ破壊的な核兵器攻撃で応対するはずだ。か細いEMP爆発にはならないだろう」■

 

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Are North Korean EMP Weapons a Real Threat or Huge Joke?

March 24, 2021  Topic: North Korea  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: EMPNorth KoreaMilitaryTechnologyWorldU.S.

by TNI Staff

 

Image: Wikipedia 


コメント

  1. 米国で論ぜられる北朝鮮のEMP脅威論は、NASAの「探査で不思議っぽいなにかを発見した!」という思わせぶりな発表と同じ種類に感じます。民衆の興味を得ないと、予算は獲得できない。
    記事中でも述べられていますが、北朝鮮が虎の子の核弾頭とロケットを、一度も実証していないEMP効果に賭けて、しかも米国の上空に打ち込むか??斜め上過ぎる発送と思いますがね。
    北朝鮮のEMP脅威を考慮すべきは、日本でしょう。地下実験では得られないデモンストレーション効果を狙って、日本周辺で上空爆発をやらかす可能性はありますし。その時、北が意図しようとしまいと、日本がEMP的な被害を被る可能性はあると思います。

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