スキップしてメイン コンテンツに移動

双胴ミサイル艇で無害なボートを追い回す棒弱無人ぶりのPLANを南シナ海のことと無視できない日本。尖閣諸島にPLAN艦艇が進入しないのは海上自衛隊の抑止力の効果。覇権国家中国にどんな罰が待っているのか。

 THE WAR ZONE

PLAN

 

 

張高まる南シナ海でフィリピンメディアがチャーター船が中国のステルス双胴型高速攻撃ミサイル艇に遭遇した。ABS-CBN記者チアラ・ザンブラノによれば022型ホウベイ級数隻がセカンドトーマス礁に出現した。ここは紛糾するスプラトリー諸島の一部である。ミサイル艇は報道陣のボートをしつこく追尾してきたという。

 

フィリピン漁民が中国艦艇に嫌がらせ行為を受けているとの報道が相次いでいたが、同時に中国漁船が不法操業を行っている。フィリピン沿岸警備隊は3月に220隻を下回らない中国船がフィリピン統治下の別の環礁に集結していると発表していた。

 

PLAN

PLANの022型高速ミサイル攻撃艇が東シナ海で演習に参加していた。 

 

ザンブラノ記者は「アユンギン礁(セカンドトーマス礁のフィリピン名称)に向かう途中で、中国警備艇が接近してきた」「どんどん接近し、はっきり姿をとらえられた。さらに英語で無線交信してきて、当方の身元とこの地区で何をしているか問いただしてきた」と伝えている。

 

報道陣はパラワンへ戻ることにしたが、高速襲撃ミサイル艇は追尾を続けた。「二隻が追跡してきました。022型ホウベイ級高速攻撃艇でミサイル二発を搭載しています」(ザンブラノ記者)

 

セカンドトーマス礁は事実上のフィリピン領で、1999年にフィリピン海軍揚陸輸送艦BRPシエラマドレを意図的に座礁させたのが契機だ。以後、同艦は錆つきながらも維持され、にわか仕立ての軍事拠点となっている。

 

ところが2013年に入り、中国が同地区での海上プレゼンスを強化し、フィリピン政府が抗議の声を上げた。この地区は国際的に認知されたフィリピンの排他的経済水域(EEZ)の一部であり、付近は豊かな漁場だ。

 

ABS-CBN SCREENCAP

フィリピンABS-CBNニュースがセカンドトーマス礁付近を航行する022型の姿を放映した。

 

中国の漁船、沿岸警備隊艦艇が同礁に接近する目撃が相次いでいた。だが人民解放軍海軍(PLAN)所属のミサイル艇ホウベイ級が目視されたのは初めてだ。

 

先月末、ミスチーフ礁で停泊中の022型3隻が補給艦を伴う様子が見つかった。ここは中国の人工島で南シナ海での拠点だ。フィリピンはパンガニバン礁と呼称し、やはりフィリピンEEZの一部である。

 

上記を裏付ける画像はないようだが、大量の中国漁船が問題海域にここ数週間にわたり停泊しているのは疑いのない事実だ。

 

ただし、PLANの高速ミサイル攻撃艇がどこに投入され、恒久的あるいは半恒久的に南シナ海拠点に配備されているかは不明だ。

 

昨年の11月、「複数の」022型が南シナ海で071型強襲揚陸艦三隻と共同演習を行った。中国共産党の公式日刊紙環球時報は「実戦シナリオによる演習で、双胴艇を攻撃、防御、対空、対テロ作戦の想定で行った」と報じた。

 

022型各艦が参加したとされる演習の実施場所をPLANは明らかにしていない。南シナ海は広大である。だが、セカンドトーマス礁など中国本土より相当南方でミサイル艇が活動していることになる。

 

同型ミサイル艇80隻超を中国は建造している。沿岸防衛用装備と従来は目されていたが、遠隔地任務にも投入されているのが明らかになり、南シナ海で戦略的効果を示す可能性がある。

 

022型が搭載する装備を見るとこの用途を想定していることがわかる。強力なデータリンクはじめ指揮統制能力によりその他中国軍機や艦艇との連携が可能だ。

 

さらに、武装にはYJ-83亜音速対艦ミサイル発射装置8、高速射撃30mmH/PJ-13 ガトリング型機関砲を艦首に備え対空射撃にも投入し、火力支援を行う。短距離防空用途には携帯型対空射撃装備を乗組員が運用する。

 

PLA

30mm H/PJ-13 ガトリング型機関砲を発射する022型。

 

最大速力は36-38ノットといわれるが、航続距離は不明だが300マイルほどだろう。022型はミスチーフ礁で補給艦との行動が見つかっており、航続距離をさらに伸ばしているはずだ。

 

スプラトリー諸島は中国がめざす南シナ海の野望で大きな意味があり、中国は人工拠点の建設に走った。フィアリークロス礁、ミスチーフ礁、スビ礁の三地点で中国は2014年から人工施設を建設してきた。防御用にHQ-9B地対空ミサイル、地上発射式YJ-12B対艦ミサイルが導入され、三地点それぞれに大型滑走路が作られ、一部は爆撃機運用も可能だ。

 

CIA

スプラトリー諸島、いわゆる九段線(緑で表示含む南シナ海地図。この海域の9割を中国は領有主張している。

 

スプラトリー諸島にはSu-30フランカー含む中国戦闘機部隊が定期的に配備されている。

 

だがスプラトリー諸島が軍用基地に変えられ、海上交通、資源、漁場として有望な排他的経済水域を主張する中国の有力な拠点になっていることが重要だ。各拠点から接近阻止領域拒否(A2/AD)の傘を広げ、全域支配を主張する。これまで中国は南シナ海に軍事拠点を設置しないと説明してきたが、事実は国際的な反対意見、「航行の自由」ミッションを実施する米軍等があっても、中国にはスプラトリー諸島、さらに北方のパラセル諸島の占拠を変える姿勢はない。

 

中国は人工島をつなぐ要塞ネットワークを形成し、南シナ海南端まで兵力投射をめざす。戦闘機、長距離センサー、ミサイル装備を常駐させればさらに堅固となる。022型の前方配備により防御態勢が追加され、各基地を拠点に外国海軍部隊への攻撃能力が実現する。とくに022型は浅水域で高速移動できることから、沿海域領有を主張する中国に適した装備である。さらに022型が少人数で運行可能なことから、環境未整備地でも局地的ながら強力なプレゼンスになる。

 

それ以上に、フィリピン他の南シナ海各国にはミサイル艇の登場が強いメッセージを送っている。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Now China Has Cruise Missile Carrying Catamarans Chasing Away Ships In The South China Sea

 

The appearance of the Chinese catamaran fast-attack missile craft adds a significant new player to these disputed waters.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 8, 2021

 

Contact the author: thomas@thedrive.com


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM