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非ステルス空中給油機のジレンマはステルス、非ステルス機を両用する米空軍の悩み。だが根本的な解決方法が実はあるのではないか。

 空軍が将来の空中給油機の残存性を高める構想を練っている。

米国は巨額の費用をステルス戦闘機、ステルス爆撃機、ステルス巡航ミサイル、さらにステルススパイ機に投入してきた。給油機もステルスにしたらやりすぎだろうか。

 

ステルス給油機構想は決して突飛なものではない。21世紀航空戦の主役といわれるF-35やF-22のステルス機の航続距離が短いことがその理由だ。

 

F-35の600から800マイルの航続距離はその他戦闘機と比べさほど劣るものではない。だが、F-35がステルス性を最大限にする場合は主翼下に追加タンクを搭載できない。

 

 

もう一つの問題は空基地あるいは航空母艦が敵弾道ミサイルの射程内に入っていることだ。第二次大戦からアフガニスタンまでの戦績は高性能戦闘機といえども地上あるいは艦上では無力な存在だと実証すている。とくに大国を相手の戦闘ではミサイルの雨が基地に降るはずで、攻撃後に投入可能な機体はわずかしかないだろう。

 

幸い米軍機材には空中給油が利用できる。だが民間旅客機を原型とした給油機が敵戦闘機に撃墜されるリスクは超長距離空対空ミサイルがロシアR-37のように射程が250マイルにもなり高まるばかりだ。中国も給油機、レーダー搭載機材等の支援機材の撃破を狙ってくると予想される。給油機を倒せば、太平洋の戦いは勝ったも同様だ。

 

ステルス戦闘機を敵領空に侵入させるとジレンマが生まれる。今日の地対空ミサイルには機動性の劣る機材を250マイル先から狙えるS-400のような装備がある。つまり、通常型給油機は敵防空体制のはるか後方にとどまる必要がある。しかし、その位置でもレーダー探知され敵戦闘機の標的になる。

 

レーダー断面積の少ない給油機が問題解決になる。ただし、ステルス戦闘機並みのレーダー断面積は不要だ。

 

米空軍は新型KC-46Aペガサス給油機を179機導入しようとしており、400機あるKC-135、KC-10の両機種を順次退役させるというのが、航空機動軍団の当初案で、その後に別の通常型給油機をKC-Yとして2024年頃から導入し、最終的にステルス給油機KC-Zを調達するとしていた。

 

ところが2016年にKC-46改修型の調達をふやすため、KC-Yは断念し、KC-Zを早期実現したいと空軍は方針を変えた。早期とは2035年以降の想定だ。

 

そんな中で空軍研究本部が2018年に発表したのが奇抜な形状の「発展型空中給油機」構想だった。(下写真)

 

他方、ロッキードも独自にスターウォーズに登場しそうな形状のステルス給油機構想を発表しを示した。(下写真)

 

 

設計提案は完全な全翼機ではなく、ブレンデッド・ウィング・ボディ形状だった。ハイブリッド・ウィング・ボディとも呼ばれる。

 

全翼機の主翼形状は揚力の確保に極めて有効で、機体にレーダー波を反射する鋭角がないためレーダー断面積を低くできる。だが、給油機は貨物機としても現場急行を求められることが多いので、機体には貨物収納スペースが必要となる。これがKC-ZにC=貨物がつく理由だ。そのため純然たる全翼機設計は採用されず、ハイブリッド形状になった。

 

ステルス貨物機の利点は特殊部隊の敵地侵入ができることだ。特殊部隊部門は長年に渡りこの実現を求め、接近阻止の傘の中にある前線拠点への物資補給を敵の長距離対空ミサイルに撃破されずにできないものか考えてきた。ただし、ステルス輸送機は全翼機のステルス性能よりステルス性能が劣る。

 

ステルス給油機の課題が購入可能な機体価格の実現だ。ステルス戦闘機、ステルス爆撃機はレーダー吸収剤(RAM)を塗布し、運航コストが高くなり、整備もステルス戦闘機が小型だから負担に耐えられる。給油機ははるかに大きく、飛行時間も年間数千時間になるので、コスト効果に優れたRAMがないとB-2爆撃機の時間あたり169千ドルという運行コストの再来になる。

 

空軍が考える将来の給油機は残存性を高めるため、アクティブ防御装備を搭載し、敵ミサイルの撃破を想定する。これはレーザーの利用を意味する。別構想では次世代レーダージャマー機材で認知知能機能を運用し敵レーダーを使用不能にするとある。また自律運行能力を高め搭乗員を減らしながら給油のスピードを高める構想もある。

 

航空機動軍団には海軍のMQ-25が実現した技術をKC-Zに応用する別の機体構想もあり、小型ステルス自律飛行機材の運用も想定する。ステルス無人給油機が大型通常型給油機の「母機」から給油を受け、制空権が確立できない空域に飛び、味方ステルス戦闘機に給油する構想もある。ただし、この給油の連鎖も非ステルス母機が敵の標的になれば破綻する。そこで、「各種システムのシステム」でステルス、非ステルス双方の給油機各機を混合運用する構想が出ている。

 

だがもっと簡単で安価な方法もある。短距離しか飛べない戦闘機のかわりに長距離B-21ステルス爆撃機を第6世代侵攻制空戦闘機として運用し、スダンドオフミサイルや長距離無人ステルスUCAVの活用も有益だろう。■

 

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Unstealthy Tankers are Harming the F-35 Stealth Fighter

February 3, 2021  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-22F-35MilitaryTechnologyStealth

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This article first appeared last year and is being republished due to reader interest.

Image: Wikipedia.


コメント

  1. 最後の「長射程兵器使えば良いんじゃね?」との文を見て戦闘機やミサイルだけでなく給油機も弾頭を敵に運搬する手段なんだなと思った

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