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帝国海軍の潜水艦運用を反面教師に、海自潜水艦部隊は効果的な作戦形態を実現し、米国とともに中国への対抗を狙う存在になった。歴史は生きている

 

上自衛隊の潜水艦乗組員は帝国海軍の潜水艦運用実績から教訓を学び、反面教師とみなしている。

史上最悪の潜水艦部隊の候補はいろいろあるが、筆者は日本帝国海軍(IJN)をノミネートしたい。潜水艦が広く使われるようになり百年以上となるが、優秀な戦果をあげた艦とそうでない艦に二分される。「浮かぶ棺桶」とまで酷評されたもの、幸運に恵まれた艦がある。国家の目指した戦略や政治面の目標を台無しにした艦もある。

 

 

潜航可能艦の発想は昔からあったが、初めて戦闘投入された可潜装備は手動で進む奇妙な装備タートルで英海軍艦船の爆破を目指した。独立戦争のことである。だが、19世紀末になり、バッテリー、電気モーター、内燃機関の各技術が成熟して実用化の道が開いた。

 

各技術を組み合わせディーゼル電気推進方式が確立され、潜水艦は静かに深く電気モーターで進み、海上ではディーゼルで充電しながら航行するハイブリッド方式となった。英海軍は1900年にジョン・フィリップ・ホランド設計の初期型潜水艇5隻を発注し、水中戦の新しい歴史が始まった。

 

近代的な潜水艦はゆうに一世紀を超え存在し、幾多もの設計、建造施設、海軍部隊が関わり海上に展開した。だが、各人の資質が異なっているように、潜水艦も優秀艦から目を覆いたくなるような艦まで多岐にわたる。ではどう評価し、どの艦が他より卓越していたと言えるのだろうか。

 

では、水中戦の効果をつぎの基準三点で評価するのはいかがか。軍事思想の大家カール・フォン・クラウゼビッツは軍事力には物質、人的の各面があると主張した。軍事力とは力と意思の組み合わせであるとした。各装備や運用効果を測る際には意思の力が重要となる。また、技量、熱意、肉体精神両面の強靭さを含めても良い。こうした資質が揺るぎない決意を強い軍事力に変貌させる。

 

実戦投入された潜水艦部隊をこの尺度で評価してみよう。

 

任務をどこまで実行し、上官ならびに政治の期待に応えたかを見れば、潜水艦部隊の優劣を決めるのが可能となる。こうした尺度で見るとまず英海軍のK級潜水艦は可潜式蒸気船であり、嘲笑の対象だ。

 

哨戒に出港したまま、帰還しなかった潜水艦もある。設計上の欠陥、機関の故障、乗組員の誤作動あるいはその組み合わせが原因だ。攻撃型原子力潜水艦USSスラッシャー、USSスコーピオンの事例が頭に浮かぶ向きもあろう。ともに謎のまま海底に沈んだのは半世紀も前のことだ。ロシアのオスカーII級クルスクは2000年に沈没し、アルゼンチンのディーゼル艦ARAサンフアンは2017年大西洋の深海に沈んだ。

 

だがもっと大きな視点で見よう。個別艦の成功、失敗ではない。クラウゼビッツの言うように個別の戦術結果は政治意思の表明に過ぎない。

 

そこで日本の帝国海軍だ。第二次大戦時のIJN潜水艦部隊には数々の恥辱の歴史が続いた。だが日本潜水艦の建造に欠陥があったわけではない。海軍史でも米ゲイトー級艦隊型潜水艦と遜色ない性能との評価がある。米海軍は同級を投入し日本帝国を打破すべく、各地の海上交通を寸断し、日本は物資輸送がままならなくなった。

 

また日本の潜水艦乗員の運用水準が低かったわけでもない。戦術レベルや勇猛さも同様で、その逆だ。同国の水上艦部隊や航空部隊同様に潜水艦部隊もプロとして卓越していた。人的側面でも同様だ。IJN潜水艦部隊は米太平洋艦隊の潜水艦部隊SUBPACと同等の水準にあった。潜水艦部隊の芳しくない戦果は東京の帝国海軍、陸軍の最高司令部の統率力が原因だ。米潜水艦部隊による貨物船損害が続いても無関心のまま、司令部はIJN潜水艦を米輸送力攻撃にむける策には関心を示さなかった。

 

最後の基準が戦略で、日本潜水艦部隊には最悪の結果となった。SUBPACの各艦は真珠湾で主力水上艦が攻撃被害から回復しない間から大打撃を与えていた。米潜水艦乗員に「バブルヘッズ」の愛称がつき、日本の輸送航路を襲撃し、結果として日本国内産業を疲弊させ、相当の部隊を出動させた。米潜水艦はその目的を果たした。1944-45年の日本の継戦能力はあらゆる面で衰退の一途をたどった。

 

日本潜水艦部隊は技量も装備も相当のものだったにもかかわらず、戦果はわずかだった。IJNは逆襲の機会を逸し、米国の動きを止められなかった。極東での戦闘に米海軍は長大な距離を克服する必要があった。補給線は長くなる一方で、それだけ脆弱になったが、南部中部太平洋地区で揚陸作戦の攻勢をかけていた。これはIJN潜水艦に絶好の狩りの機会になったはずだ。それでも日本の潜水艦部隊は米主力艦攻撃を第一とし、支援艦艇の攻撃は二次的とした。米輸送艦部隊は手薄な防御まま、補給拠点から戦闘艦艇間を移動したが、ほとんど襲撃を受けていない。強力な補給体制に支えられた米艦隊は戦闘を常時行える体制となり、日本海軍に勝ち目がなくなっていた。

 

IJN潜水艦部隊は作戦でも戦略でも不活発で、せっかくの装備を活用できず、ここぞという場にも活躍できなかった。実はIJN潜水艦部隊には群を抜く性能があったのだ。戦後に生まれた海上自衛隊(JMSDF)は帝国海軍の歴史を学び、同じ轍を踏まないと決意している。冷戦期に海自潜水艦部隊は共産勢力の封じ込めで重要な役割を果たした。今日でも米日両国による中国との戦略競合で同じ役割を再演している。

 

見方を変えれば、現在の米国は強力な敵だった日本帝国海軍に借りがあるとも言える。歴史の皮肉というべきか。■

 

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How Japan Became Ashamed of Its Imperial Submarine Force (And Learned From It)

February 11, 2021  Topic: History  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanMilitaryTechnologyWorldImperial JapanSubmarine

by James Holmes

https://nationalinterest.org/blog/reboot/how-japan-became-ashamed-its-imperial-submarine-force-and-learned-it-178024

 

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific. The views voiced here are his alone. This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Reuters.


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