ウクライナのT-84主力戦車(MBT)一両がアリゾナ州ユマ実証場で運用されているが、目的は不明だ。同装備への対応訓練かもしれない。ソ連製T-80MBT派生型である同型戦車が米国内演習地で試験、訓練に投入される様子は以前も目撃されている。
米軍はウクライナから同型戦車4両を取得し、以後米陸軍アバディーン試験施設(メリーランド州)でテストしている。ユマに持ち込んだのはT-80UDを改修したT-84との報道がある。
昨春に流布された写真(上)では同戦車にドロッズ・アクティブ防御システムが搭載されているのがわかる。この車両はユマ演習地の教師装備標的シミュレーション場でその他ソ連、ロシア製戦闘車両に加わってた。ユマに海外製車両が登場し米軍部隊の訓練に供されるのはごく普通のことだが、今回はウクライナ軍が同戦車をテスト・訓練用に提供したようだ。
くりかえすが、T-84の原型は1980年代のT-80UDだ。ソ連崩壊後の1990年代にウクライナとパキスタンがT-80UD改良の契約を獲得したが、ソ連時代の軍事産業企業が旧共和国数カ国に分散したたため実施は困難を極めた。このため、ウクライナは国内生産に切り替えることとし、1995年にT-84が実現した。
新制式名T-84となった同戦車にはT-80、T-80UDから各種の改良が施されているが、資金難のためウクライナは自国用途には大量採用できず、一部には6ないし10両しか軍に納入されていないという筋もある。このため、ウクライナ製T-84の高性能ぶりを認識しつつ、T-64のような旧型戦車の修理、改修に集中した。
T-84の兵装はT-80UD同様の125ミリ平滑砲で自動装填式となっている。また9K119M対戦車誘導ミサイルも搭載している。その他兵装には同軸7.62ミリ機関銃、砲塔に12.7ミリ重機関銃を各1門装備する。
動力減は6TD-2ターボチャージ・ディーゼルエンジンで1,200馬力を出す。装甲も良好で、全溶接式の砲塔には爆発式反応装甲ブロックをつけ、シュトラ-1対抗装置による防御機能もある。
これだけの性能の同戦車がごく少量しか供用されていないのは車両価格のためだが、疑問は米国が一体どうやって入手してユマに投入しているのかだ。ウクライナはタイへ輸出実績があるがこれも少数となりコストダウンが実現できなかった。米国は一両を正価で購入した可能性がある。■
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Secret Is Out? Did a Ukrainian T-84 Arrive in Arizona For Testing?
February 9, 2021 Topic: Security Region: Americas Blog Brand: The Buzz Tags: MilitaryTrainingUkraineTanksTechnology
by Peter Suciu
Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.
Image: Reuters
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