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2025年12月31日水曜日

令和8年度防衛予算での海上自衛隊関係分のハイライト

 日本の令和8年度防衛予算が過去最高額を更新、海上自衛隊関連のハイライト

  • Naval News

  • 2025年12月30日

  • 高橋浩祐

Japan ASEVDSEI2025で展示されたASEVのスケールモデル(クレジット:筆者)

高市早苗内閣は12月26日、2026年度防衛費として580億ドル(9兆400億円)を承認した。核保有国3カ国の中国、北朝鮮、ロシアからの軍事的圧力が高まる中、米国が防衛費増額を要求している状況にも対応する措置だ

  • 予算案は前年度比3.8%増で、過去最高を12年連続で更新する

  • 国会通過が見込まれる防衛予算は、安全保障環境の悪化に対応し無人防衛システムとスタンドオフミサイルで強化をめざす

防衛予算で海上自衛隊は、4種類の艦艇建造と各種航空機の調達資金を確保した。主要な海上関連項目は以下の通りである:

多層沿岸防衛システム「SHIELD」の構築(6億4060万ドル)

防衛省

防衛省は、海上自衛隊が「SHIELD」を構築するため、水上艦発射型無人機、小型艦載型無人機、小型多目的無人水上艇を未公表の数量で取得する計画だ。名称は「Synchronized, Hybrid, Integrated and Enhanced Littoral Defense(沿岸防衛の同期化・ハイブリッド化・統合化・強化)」を意味する。

防衛省は、外国メーカーからUAV及びUSVを購入する計画だ。また、水上発射型UAVは海上自衛隊艦艇から敵艦艇を攻撃する。一方、小型艦載型UAVは水上艦艇の情報収集・監視能力を向上させるとともに、敵艦艇への攻撃も可能となる。

7月、海上自衛隊関係者は本誌に対し、米国航空宇宙防衛技術企業Shield AIのV-BATが、改良型もがみ級フリゲート艦(日本では「新型FFM」、06FFMとも呼ばれる)に搭載される無人機として検討中と語った。

海上自衛隊は新造の1,900トンさくら級沿岸哨戒艦(OPV)標準にV-BATを搭載すると決定している。2022年12月に採択された防衛力整備計画に基づき、防衛省は今後10年間でOPV12隻の取得を計画している。2025年度防衛予算では、新型哨戒艦向けV-BATシステム6基の調達に40億円を計上している。

さらに防衛省は、多数の多様な無人資産を同時制御する実証試験実施のため、1410万ドルを配分された。

新型FFM1隻の建造費(6億6700万ドル)

将来の近代化改修型もがみ級フリゲートのコンピューター生成画像。 (提供:三菱重工業)

防衛省は、満載排水量約6,200トンの近代化改修型もがみ級フリゲート6番艦の建造に6億6,700万ドルを計上した。新型FFM(護衛艦)の1番艦は2025年度に起工、2028年度に就役する。三菱重工業によれば、建造が順調に進めば、全12隻は2032年度までに就役する。

新FFM1隻分の建造費を1年で確保するのは極めて異例である。これまで防衛省は2024年度予算で2隻分、2025年度予算で3隻分の建造費を計上してきた。

この動きは、オーストラリア政府が8月に改良型もがみ級フリゲートを同国海軍の将来の汎用フリゲート艦として選定したことを受けたものだ。防衛省は、海軍戦力強化を急ぐオーストラリア政府を考慮し、三菱重工業長崎造船所の短期的な造船所枠とサプライチェーン資源をオーストラリア向けに優先したと見られる。

さくら級OPV2隻の建造(182.3億円)

海上自衛隊の新鋭哨戒艦「さくら」と「たちばな」は、2025年11月13日にジャパンマリンユナイテッド(JMU)で進水した(クレジット:筆者)

防衛省は新造さくら級OPVの5番艦・6番艦建造に1億8230万ドルを計上した。海上自衛隊は約10年間で巡視艦を計12隻取得する。

たいげい型潜水艦1隻の建造(7億7300万ドル)

防衛省は、排水量3000トンの最新鋭ディーゼル電気潜水艦たいげい級10番艦の建造に7億7300万ドルを計上した。

あわじ級掃海艇1隻の建造(2億1750万ドル)

防衛省は、深海機雷を含む各種機雷への対応能力を向上させた690トン級の第7次あわじ級掃海艇1隻の建造に2億1750万ドルを割り当てた。淡路型掃海艇の計画建造数は9隻。

イージスシステム搭載艦(ASEV)2隻の各種試験準備(5億1000万ドル)

防衛省はイージスシステム搭載艦2隻の取得関連経費として5億1000万ドルを確保した。具体的には各種試験準備に伴う費用とする。

ASEVは2020年6月に中止された陸上配備型イージス・アショア弾道ミサイル防衛(BMD)システムの代替案である。中止理由はミサイル迎撃弾の落下部品が上空から人口密集地域に到達する懸念があったためだ。

防衛省の説明によれば、新型艦は全長190メートル、幅25メートル、標準排水量12,000トンとなる。

海上自衛隊は2027年度に1番艦を、翌年度に2番艦を受領する。

いずも級ヘリコプター運搬艦の改造(1億8230万ドル)

海上自衛隊は、2隻のいずも級ヘリコプター運搬艦(JSいずもおよび JS かが)を、ロッキード・マーティンF-35B 戦闘機の運用空母に改造し続けるため1億8240万ドルを割り当てた。

「いずも」については、甲板作業員が甲板の状態を共有できる甲板状況表示灯の設置、および「いずも」の着艦誘導システムの試験費用として580万ドルが割り当てられた。

「かが」については、格納庫施設のアップグレードを含む船体改造に1億7660万ドルが割り当てられた。

防衛省によれば、JS「いずも」の改造は2027年度、JS「かが」は2028年度に完了する予定だ。

同省によれば、来年度予算を含むいずも型ヘリコプター運搬艦の改造費用は総額6億8720万ドルとなる。

艦載型12式対艦ミサイル改良型(2284万ドル)の取得

防衛省は2025年度、艦載型12式対艦ミサイル改良型の量産を開始した。海上自衛隊は2027年度、改修済みの護衛艦「照月」(DD-116)にこの新型ミサイルを配備する。

潜水艦発射ミサイルの取得(102.4億ドル)

防衛省は新型潜水艦発射ミサイルの量産を本年度中に開始した。潜水艦の魚雷発射管から発射可能な長距離巡航ミサイルである。防衛省は、このミサイルが海上自衛隊のたいげい級潜水艦に搭載されると説明した。

イージス駆逐艦2隻へのトマホーク発射機能追加(770万ドル)

防衛省は2026年度中に、海上自衛隊のイージス駆逐艦「みょうこう」(DDG-175)と「あたご」(DDG-177)の2隻に、米国製トマホーク巡航ミサイルを発射する機能を追加する。

防衛当局者によれば、3隻のイージス駆逐艦、すなわち「ちょうかい」(DDG-176)、「はぐろ」(DDG-180)、「きりしま」(DDG-174)では2025年度中にトマホーク発射機能の追加装備が完了している。

海上自衛隊は現在、イージス駆逐艦を計8隻保有している。こんごう級4隻、あたご級2隻、まや級2隻である。残る3隻、「こんごう」(DDG-173)、「あしがら」(DDG-178)、「まや」(DDG-179)も近い将来にトマホーク能力を付与される。

MQ-9Bスカイガーディアン無人機4機の調達(4億8940万ドル)

防衛省は海上自衛隊向けにMQ-9Bスカイガーディアン無人機4機の追加調達のため4億8940万ドルを確保した。

海上自衛隊はシーガーディアンを水上艦艇及び潜水艦の持続的監視に活用し、潜水艦が探知された場合は有人P-1及びP-3C海上哨戒機が対潜戦を実施する計画としている。海上自衛隊は2032年度頃までに計23機を調達する計画で、約半数は鹿児島県の鹿屋航空基地に、残りは青森県の八戸航空基地に配備される。

高橋浩祐

高橋浩祐は日本在住の防衛問題ライターである。ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー、ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル、モンチ出版に寄稿している。ハフポストジャパン元編集長、朝日新聞社・ブルームバーグ元記者である。高橋は1993年に慶應義塾大学経済学部を卒業した。朝日新聞社とダウ・ジョーンズ社での勤務を経て、コロンビア大学ジャーナリズム大学院および国際公共政策大学院(SIPA)に留学し、2004年にジャーナリズム修士号と国際問題修士号を取得した。1993年に朝日新聞社の記者となる前には、川崎市の姉妹都市プログラムの交換研修生としてボルチモア経済開発公社に勤務し、日米間の貿易問題を研究した。その功績で1988年にボルチモア市の名誉市民に選ばれている。


Japan Approves Record Defense Budget for Fiscal Year 2026


2025年12月10日水曜日

海上自衛隊試験艦で高エナジーレーザーシステムの搭載を確認(Naval News)

 

海上自衛隊試験艦で高エナジーレーザーシステムの搭載を確認(Naval News)

  • 公開日:2025年5月12日

  • 稲葉義弘


海上自衛隊試験艦「あすか」に搭載されたレーザー兵器システム。写真提供:⚓︎アルザス⚓︎(Xユーザー @Alsace_class)


2025年12月2日、海上自衛隊の試験艦「あすか」の後部甲板に、コンテナ化された高エナジーレーザーシステムのプロトタイプが設置されていることが確認された。

防衛省は、既存の防空システムと比較して低コストの迎撃手段として、防衛装備庁の主導のもと高エナジーレーザーシステムの開発を進めてきた。現在進行中のレーザーシステム研究開発計画は、大きく分けて車両搭載型高機動レーザーシステムと、大型の高出力レーザーシステムの二種類に分類される。

車載型レーザーシステムは2021年度から2024年度にかけて開発が進められており、小型無人機対策を主目的とした10kW級レーザーを装備した大型トラックに全サブシステムを統合する。三菱重工業(MHI)が製造契約を獲得し、トラック搭載実証機は2024年10月に完成・納入された。実機は2025年5月のDSEI Japanで公開された。本プログラムの結果を踏まえ、陸上自衛隊では運用可能なレーザーシステムの配備に向けた取り組みが進行中である。

第二のタイプである高エナジー「電動駆動高出力レーザーシステム」は、2018年度から2025年度にかけて開発が進められている。この計画は、国産10kW級ファイバーレーザーを組み合わせ、100kW級システムを実現することを目指す。全ての機能を単一トラックに集約した車載システムとは異なり、このシステムは40フィートコンテナ2基で構成される。川崎重工業(KHI)が製造契約を獲得し、試作システムは2023年2月に完成・納入された。試験では既に小型無人航空機や迫撃砲弾に対する破壊試験が実施されている

「あすか」に搭載されたレーザー兵器システム。写真提供:⚓︎アルザス⚓︎(Xユーザー @Alsace_class)

現在「あすか」艦上で確認できるのは、この電動駆動式高出力レーザーシステムで、甲板上の40フィートコンテナ形状で識別可能だ。その目的は、将来のミサイル迎撃用高エナジーレーザー兵器の実現可能性を評価することにある。主要評価項目には、小型UAVや迫撃砲弾に対する破壊効果、持続的交戦能力、目標捕捉・精密追跡性能、目標探索センサーとの統合性、各種環境条件下での運用性能が含まれる。

さらに、2025年12月3日、ATLAは海上射撃試験で使用する標的ドローンの運用に関する入札を公示した。これは、JSあすかへの搭載が単なる適合性試験に留まらず、実弾射撃試験を含む可能性を示唆している。2025年度は本システムの研究開発最終年度であるため、艦船の揺れが激しい過酷な海上環境下での精密目標捕捉を含む実射試験が、艦載システムを用いて実施される可能性が高い。

将来的に海上自衛隊は、無人航空機や対艦ミサイルに対抗可能な艦載レーザーシステムの実用化を目指している。現在の試験はその目標に向けた重要なデータを提供すると期待される。現時点では、主に電源装置と蓄電部品の大型化が原因で、システムサイズの縮小が大きな課題となっている。一般的に高出力レーザーのエナジー変換効率は約30%であり、100kW級レーザーには少なくとも300kWの電力供給が必要となる。将来の取り組みでは、民生技術の活用などによる小型化に注力し、艦艇への搭載を可能にすべきである。

さらに、2025年度よりATLAは、電気駆動高出力レーザーシステムの成果を海上自衛隊向け艦載レーザー兵器開発に応用する新研究プログラムを開始した。「艦載レーザーシステム研究」と題されたこの取り組みは、艦艇に接近する小型無人航空機や片道攻撃ドローンを無力化することを目的とする。ATLAはこのプログラムで達成すべき以下の目標を定めている:

1. レーザー交戦制御システム技術の獲得:

艦船搭載を目的としたレーザーシステムに必要な技術を確立する。具体的には:

  • 対空捜索レーダーデータやその他のセンサー入力に基づき、複数の同時目標に対してレーザーエナジーを識別・精密誘導する技術。

  • 360度の全交戦領域をカバーするため、複数のビームディレクター間で目標を転送する技術。

  • ビームディレクターを天頂方向に向ける技術。

  • 照射された目標に対するレーザー交戦の効果を評価する自動戦闘損傷評価技術。

2. 艦載適合性の達成:

艦船への搭載・運用に必要な技術を確立する。具体的には:

  • 艦船の揺れ、飛沫、その他の海洋環境に対する耐環境性を確保する技術。

  • 新規建造艦艇及び既存の海上自衛隊艦艇への両方の設置を可能にする技術。

研究試作装備は2025年度から2029年度中盤にかけて開発され、実証試験は2027年度から2030年度にかけて実施される予定である。■


稲葉義泰

稲葉義泰は、静岡県在住のフリーランスライターである。日本で数少ない若手軍事ライターの一人であり、現在は日本の大学院で国際法(特に自衛と武力行使)を研究している学生である。日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に特に精通している。


High-Energy Laser System Spotted Aboard JMSDF Test Ship

2025年11月20日木曜日

米海兵隊F-35B戦闘機、海軍CVM-22が空母「かが」から飛行作戦を実施(Naval News)―日本が「ライトニング空母」を提供し、米海兵隊が艦上からF-35Bを運用すれば日米の共同運用は新しい段階に入りますね

 米海兵隊F-35B戦闘機、海軍CVM-22が空母「かが」から飛行作戦を実施(Naval News)―日本が「ライトニング空母」を提供し、米海兵隊が艦上からF-35Bを運用するのは新しい安全保障の形になりますね

2025年10月19日、演習「ANNUALEX」において、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属のF-35BライトニングIIが、日本海軍の航空母艦「かが」から発艦した。同演習は、両軍の相互運用性強化、共同海上打撃能力の向上、自由で開かれたインド太平洋を支える即応態勢の維持という任務を支援するもの。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)

米海兵隊のF-35B戦闘機4機と米海軍のCVM-22Bオスプレイ1機が、10月に海上自衛隊最大級の艦艇「かが」で飛行作戦を実施した。これほど多くのF-35Bが「かが」から作戦行動したのは初めてである。また、米海軍のCVM-22Bが日本の空母に着艦したのも初めてのことだ。

この運用は、10月20日から31日にかけて実施された日米共同演習「ANNUALEX」の一環で行われた。同演習は隔年で海上自衛隊主導で実施され、今年は海上通信戦術、対潜戦(ASW)、防空戦(AAW)、航行中補給を通じた多国間環境下での同盟強化に焦点を当てた。

2025年10月19日、ANNUALEX演習において、海上自衛隊「かが」艦上でF-35BライトニングII戦闘機の発進準備を行う米海兵隊員(第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属)、米海軍「トリポリ」乗員(第76任務部隊所属)と海上自衛隊「かが」の乗員。同演習は、両軍の相互運用性強化、共同海上打撃能力の向上、自由で開かれたインド太平洋を支える即応態勢の維持という任務を支援するもの。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)

日本側からは「かが」を含む艦艇約20隻と約20機の航空機が参加した。米国側からはアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「シュープ」(DDG-86)、タィコンデロガ級ミサイル巡洋艦「ロバート・スモールズ」(CG-62)、 P-8Aポセイドン、ルイス・アンド・クラーク級乾貨物・弾薬補給艦USNSアメリア・イアハート(T-AKE 6)とUSNSウォーリー・シラー(T-AKE 8)、艦隊給油艦USNSティペカヌー(T-AO 199)、米潜水艦、および米海兵隊のF-35BライトニングII戦闘機が含まれた。日本と米国以外にも、オーストラリア海軍とオーストラリア空軍、カナダ海軍とカナダ空軍、フランス海軍、ニュージーランド空軍が参加した。

2025年10月19日、演習「ANNUALEX」において、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属の米海兵隊員、第76任務部隊所属のUSSトリポリ乗員、および海上自衛隊艦「かが」乗員が、艦上での飛行作戦を実施している。(米海兵隊、アレハンドラ・ベガ伍長撮影)

「かが」艦上での飛行作戦に参加したF-35Bは、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-242)に所属するもので、艦上作戦支援は「トリポリ」艦の乗組員も提供した。JSかがは2024年11月に米海兵隊との初のF-35B飛行試験を実施した。その後、2025年8月のインド太平洋展開中に英国海軍空母HMS プリンス・オブ・ウェールズ所属のF-35Bとの飛行作戦を遂行した。したがって今回の展開は、JS 加賀におけるF-35B関連飛行作戦の第三弾となる。

日本は2018年、太平洋における中国爆撃機などの活動増加に対応するため、空母「かが」からのF-35B運用を可能とする決定をした。同艦は二段階の改修プログラムを実施中。第1段階は2022年3月から2024年3月まで実施され、飛行甲板前端を台形から長方形に改造し、F-35Bの排気ガスに耐える耐熱コーティングを追加した。第2段階は2027年3月から2029年3月まで予定され、艦内システムの改修が行われる。姉妹艦JS いずもも同様の改修を進めており、2028年3月までに全改修を完了する見込みだ。

2025年10月19日、演習「ANNUALEX」でUSSトリポリ(第76任務部隊所属)の米海軍兵士とJSかがの乗員が、同艦上でCMV-22Bオスプレイの固定を解除している。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)

稲葉 義泰

稲葉 義泰は、静岡県を拠点とするフリーランスライターである。日本で数少ない若手軍事ライターの一人であり、現在は日本の大学院で国際法(特に自衛と武力行使)を研究している。日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に特に精通している。


U.S. F-35B Aircraft Conduct Flight Operations from Japanese Flat Top



2025年11月17日月曜日

海上自衛隊の新型艦種哨戒艦2隻が同時進水(Naval News) ― OPVは日本版の沿海域戦闘艦になれるか

 


海上自衛隊の新鋭哨戒艦の1番艦と2番艦「さくら」と「たちばな」が、2025年11月13日に日本マリンユナイテッド(JMU)で同時に進水した(高橋浩祐撮影)。海上自衛隊は、中国の海洋進出が続く中、日本周辺海域での監視・警戒能力を強化するため、小型巡視船を急速に調達している。

11月13日、ジャパン・マリン・ユナイテッド(JMU)は横浜市にある自社造船所で式典を行い、海上自衛隊向けに計画されている12隻の沿岸警備艦(OPV)の最初の2隻を進水させた。

最初の艦は日本の国花である桜にちなみ、さくらと命名された。「さくら」の艦名は日本の海軍史において長い系譜を持つ。最初の「さくら」は帝国海軍のさくら型駆逐艦の1番艦、2番艦は松型駆逐艦、3番艦は1953年に米海軍から貸与された楠型護衛艦であり、今回が4番目の同名艦となる。

二番艦は『たちばな』と命名された。これは古来より日本に自生する樹木「橘」に由来し、八世紀に編纂された日本最古の歌集『万葉集』にも言及されている。

海上自衛隊の駆逐艦は従来、天文気象現象や山岳、河川、地域名に命名するのが通例だった。しかし新たに導入された哨戒艦の艦では樹木名が採用された。名称は海上自衛隊内部での審議を経て防衛大臣の正式承認を得たものである。

哨戒艦は海上自衛隊で新たな艦種であり、OPV(沿岸警備艦)となる。

さくら(艦番号OPV 901)とたちばな(OPV 902)は2025年2月14日に起工した。6月にはさくらがドック内で船体ブロックを組み立てる「ブロック組立」工程を開始し、続いてたちばなも同工程に入った。海上幕僚監部によれば、艤装作業と各種性能試験を経て、さくらは2027年1月に就役予定で、たちばなは同年2月に続く。

同局によれば、さくらとたちばなの建造費は各約89億円(5770万ドル)である。しかし建造費は上昇しており、直近では8月に防衛省が2026年度防衛予算において追加2隻の建造費として287億円を要求した。

3番艦と4番艦は2026年3月に進水予定である。

防衛省は2022年12月に策定した防衛力整備計画に基づき、約10年間で12隻の哨戒艦を取得する計画だ。2023年度には最初の4隻の建造費として357億円を初めて計上した。

新型哨戒艦は全長95メートル、標準排水量1,900トン、喫水7.7メートル、喫水4.2メートル、最大速力25ノット(時速28.8マイル)である。もがみ級フリゲート(FFM)と同様に、船体はステルス性を強く重視した設計となっている。加えて、自動化技術を導入し乗組員数を削減。必要人員はわずか30名に抑えられている。これは人員削減を優先するもがみ級(約90名)のわずか3分の1である。

標準排水量は護衛駆逐艦(DE)のあぶくま型と同程度だが、武装は30mm砲に最小化されている。対空・対艦ミサイルは搭載されない。

OPVはディーゼル電気推進とディーゼル推進を組み合わせたCODLAD方式を採用し、単一のプロペラに電動機とディーゼルエンジンが作用する。

防衛装備庁は、OPVがカスタマイズ可能なモジュール式システムを基盤とし、自動化・適応性・モジュール性・持続性を通じて強力な監視能力を備えると強調している。

海上自衛隊は、新型哨戒艦は日本周辺海域における日常的な監視・監視活動に特化した新型巡視船であると説明している。

防衛省は2025年度予算において、米航空宇宙防衛技術企業Shield AI社のV-BAT艦載無人航空機(UAV)6機の調達に40億円を計上し、OPVへの搭載を予定している。このUAVは後日装備される。

中国の積極的な海洋進出とそれに伴う軍事的脅威の高まりに直面し、日本は特に沖縄を含む南西諸島周辺海域における警戒・監視能力の強化を迫られている。日本は広大な領海と排他的経済水域(EEZ)を有し、その規模は世界第6位である。

(写真:高橋浩祐)

2025年防衛白書によれば、2025年3月31日時点で日本は駆逐艦51隻、潜水艦22隻を保有する。これに対し中国は近代的な駆逐艦・フリゲート94隻、近代的な潜水艦55隻を配備し日本近海での活動を拡大できる態勢にある。

海上自衛隊は、海外展開や共同演習など運用需要の増加に直面する一方、少子化による将来の人員不足にも対処を迫られている。

こうした課題に対応するため、海上自衛隊は「小回りが利き」「少人数で効率的に任務を遂行できる」小型艦艇の導入を重視している。もがみ級フリゲートやさくら級哨戒艦がその例だ。■

高橋浩祐

高橋浩祐は日本在住の防衛問題ライターである。ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー、ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル、モンチ出版に寄稿している。ハフポストジャパン元編集長、朝日新聞社・ブルームバーグ元記者である。高橋は1993年に慶應義塾大学経済学部を卒業。朝日新聞社とダウ・ジョーンズ社を経て、コロンビア大学ジャーナリズム大学院および国際公共政策大学院(SIPA)に留学し、2004年にジャーナリズム修士号と国際問題修士号を取得した。1993年に朝日新聞社記者となる前には、川崎市の姉妹都市プログラムの交換研修生としてボルチモア経済開発公社に勤務し、日米間の貿易問題を研究した。その功績により1988年にボルチモアの名誉市民権を授与されている。


Japan’s JMU launches first two new Offshore Patrol Vessels for JMSDF



2025年11月14日金曜日

日本が原子力潜水艦の調達を検討へ:小泉防衛相が戦後核タブーからの脱却を示唆(Naval News)

実現させるには、頑迷な国民や野党の反対論を打破する必要がありますね。これから原子力動力を支えるインフラや人員を整備するとなれば十年単位の事業となりますが、日本の優れた潜水艦がさらに高性能になる姿に世界も注目するはずです

海上自衛隊の潜水艦「たいげい」と、背景の原子力空母「ロナルド・レーガン」。稲葉義弘撮影。

新防衛相・小泉進次郎は日本が原子力潜水艦(SSN)の取得を検討すべきだと公に呼びかけた。これは、原爆被害を経験した唯一の国であり、国民感情が核兵器に依然として深く反発する日本にとって、重大な戦略的転換となる。日本は現在、通常動力型のディーゼル電気潜水艦のみを運用している。

小泉大臣は11月6日、TBSの番組に出演し、「新たな動きがあり、周辺国はすべて(原子力潜水艦を)保有する方向にある」と述べた。

防衛相の発言は、10月29日に韓国の慶州で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の合間に、ドナルド・トランプ米大統領が韓国による原子力潜水艦の建造を承認したことを受けたものだ。

東アジアでは、中国が原子力潜水艦の艦隊を着実に増強しており、北朝鮮も2021年1月に発表した5カ年防衛開発計画の一環として、原子力潜水艦の開発を計画している。

同番組で、日本の防衛相は次のようにも述べた。

「日本を取り巻く環境は厳しさを増しており、潜水艦の動力源をこれまで通りディーゼルに続けるか、原子力に切り替えるかを議論する必要がある」。

日本の新防衛相・小泉進次郎

小泉はさらに「原子力潜水艦は特に珍しいものではない」と付け加えた。

翌日の記者会見で、日本が原子力潜水艦を採用する可能性について問われた防衛相は「現時点で、次世代潜水艦の推進システムについては何も決定していない」と強調した。

東京では最近、防衛省の専門家チームが9月にまとめた政策提言を契機に、原子力潜水艦(SSN)の取得をめぐる議論が活発化している。この提言は、次世代潜水艦推進システムとして原子力利用(すなわち原子力潜水艦の取得)の可能性を示唆した。

提言では長距離ミサイルを発射できる垂直発射システム(VLS)を装備した新型潜水艦に「次世代推進システム」の採用を検討するよう求め、VLS搭載潜水艦は長距離ミサイルを搭載し、長期間・長距離の潜水航行能力を備えるべきだと述べた。

これを実現するため、専門家チームは「従来の前例に縛られず次世代推進システムの利用を検討する」研究開発の必要性を強調した。

専門家チームは具体的にどのような「次世代推進システム」を想定しているか明示しなかったが、事務局を務めた防衛省関係者は9月18日の記者会見で、次世代推進システムとは全固体電池と燃料電池を主に指すと述べた。

しかし会見では、記者団が原子力推進の可能性について執拗に質問した。これに対し同担当者は「あらゆる可能性を排除していない」「防衛省として決定した事実はない」「現時点で何も決まっていない」などと答えた。

結果として、多くのメディアが原子力推進をあたかも唯一の次世代推進システムであるかのように報じている。

さらに、10月20日に高市早苗首相率いる与党・自民党と日本維新の会が合意した連立政権協定では、有識者会議の提言に基づき、VLS(垂直発射システム)と次世代推進システムを搭載した潜水艦の取得政策を推進すると明記されており、原子力推進を暗に認める内容だった。

しかし10月31日の記者会見で小泉は改めてこう述べた。「現時点で、潜水艦の次世代動力源については、全固体電池や燃料電池など民間で開発中の技術を含め、特定の技術に固執するものではない」

従来型原子力方式のみが「次世代推進動力」なのか?

原子力推進は20世紀半ばから存在し、1954年に米海軍が世界初の原子力潜水艦「ノーチラス」(SSN-571)を就役させて以来70年以上使用されてきた。果たしてこれが次世代推進動力と呼べるのか?

確かに原子力は20世紀の動力源だが、次世代的な側面もある。例えばマイクロリアクターや小型モジュール炉(SMR)は、安全性や柔軟性を高めた次世代原子力源と見なされ、原子力エナジーの未来として注目されている。

日本、米国、中国など多くの国が開発を進めている。日本では三菱重工業もマイクロリアクターを開発中で、「従来の陸上発電用原子炉と異なる新たな価値を提供する革新的原子炉」と称している。一方、ロールス・ロイス・ホールディングス傘下のロールス・ロイスSMRは、SMRの開発と導入を積極的に推進していることで知られている。

そうなると、新型炉や革新的原子力技術であれば「次世代動力源」と位置付けられ、原発アレルギーが激しい日本を含む多くの国が、その軍事応用を進められるだろう。■

高橋 浩祐

高橋 浩祐は日本を拠点とする防衛ライターである。ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー、ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル、モンチ出版に寄稿している。ハフポストジャパン元編集長、朝日新聞社・ブルームバーグ元スタッフライターである。高橋は1993年に慶應義塾大学経済学部を卒業。朝日新聞社とダウ・ジョーンズ社を経て、コロンビア大学ジャーナリズム大学院および国際公共政策大学院(SIPA)に留学し、2004年にジャーナリズム修士号と国際問題修士号を取得した。1993年に朝日新聞社の記者となる前には、川崎市の姉妹都市プログラムの交換研修生としてボルチモア経済開発公社に勤務し、日米間の貿易問題を研究した。その功績により1988年にボルチモアの名誉市民権を授与されている。


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