北朝鮮唯一のエアラインの話題ですが、涙ぐましい企業努力ともいえるのですが空軍と直結しているとなれば同社を助ける真似はできませんね。制裁措置が効果を上げているのか、軍と民生経済が一体化しつつあると見るべきなのでしょうか。ターミナル1と同時掲載にします。AP通信の記事です。
Canned soup may be fueling North Korea's air force 缶詰スープが北朝鮮空軍を支えているのかも
北朝鮮空軍は缶スープを売ったりタクシー収入で滑走路を改修しているのか。
最も厳しい制裁を受ける北朝鮮でどうもこの答えはイェスのようだ。そこから金正恩の下で経済がどうなっているかが見えてくる。
北朝鮮では軍と民生部門の間の線はか細い。もともと少ない財政は軍が先に確保し部隊がレストラン、農場さらに航空会社も経営する。
高麗航空 Air Koryo は単なるエアラインでははい。
ここ数年で同国で最も著名な消費者向けブランドになった。
運行機材は十数機のみで路線も中国とロシア極東部しかないが北朝鮮にとって頼りがいのなる稼ぎ手になっているとは信じられないほどだ。同時に国家の威信の象徴であり外部世界へのライフラインとして人員と貨物を運んでいる。
高麗航空は平壌市内にガソリンスタンドと洗車場を経営するほか、タクシー車両を運航し、小売店舗数軒も経営する。市内にでは高級地区の普通江Potonggangデパートには高麗航空ブランドの製品が酒からコークに似た清涼飲料水や各種缶詰まであり、キジスープや桃がある。
Air Koryo about to push-back for Pyongyang. (Photo by Mark Fahey)
同社は北朝鮮経済の現状を反映しており、北朝鮮は今でも社会主義で技術的には中央統制型だが金正恩が資本主義型起業に迅速に変化させている。
一般大衆レベルでは露店や小規模市場が普通にある。高級部門では国営企業が生産性を上げ利益を増加させており、制裁で貿易も先細りのため他に行き場がないためだろう。
高麗航空だけではない。金正恩の愛用する高級製品「7.27」で知られるタバコ企業Naegohyangは自社でスポーツ用品の販売を始めており、ナイキ、アディダス他の高価格輸入品と並び平壌の外交官居住地区や科学者技術者への報償としての住居が並ぶ科学者通りだけで販売している。
高麗航空は金正恩が命じた平壌スナン空港の大改修で恩恵を受けている。同空港は2015年供用開始した。その翌年に同社はタクシー運行を開始し、高麗航空ソフトドリンクは2016年に販売開始し、ガソリンスタンドと洗車場は2017年にオープンした。
各事業がどれだけの利益を上げているか不明だが首都はじめ各所で見られるのは事実だ。
子会社のKorea Hanggong Tradingが見本市に出展していることから高麗航空は輸出業参入を検討中のようで、政治環境と制裁措置をにらみながら進めるようだ。
ジョンズホプキンス大US-Korea Institute研究員のカーティス・メルヴィンCurtis MelvinはブログNorth Korean Economy Watchも主宰しており、高麗航空は空軍の「完全保有企業」だという。消費者向け製品の売上げをインフラ修復として滑走路改修や航空基地の防壁工事に使っているという。
(Photo by Pon Pon Tin)
高麗航空ブランド製品は軍の工場で製造され予算不足を補っているとメルヴィンは言う。
「これまで北朝鮮は補助金依存の国営企業の収益を改善して『納税』させようと苦労してきた」とAPにメールで伝えてきた。「高麗航空もこの流れだろう」
高麗航空は軍とのつながりがすぐに見つからずしばしば見逃されがちだ。
だが2014年の国連専門家パネル報告によれば同社ならびに北朝鮮内の空港飛行場すべては朝鮮人民空軍が民間航空局を通じ管理している。報告書では同社社員は空軍隊員と見られ、「国内整備作業は空軍が実施している」とある。
となると同社は制裁対象となり、事業多角化に一層走ることになる。
米国は同社をブラックリストに載せようとしたが失敗し、米財務省は2016年に2013年の軍事パレードで上空飛行したこと、スカッドBミサイルの部品を輸送したこと等で高麗航空を制裁対象にした。
とはいえ米国人の高麗航空利用は禁じられておらず同社とのビジネスを制限するだけだ。
一方で国連は「空軍が高麗航空機材を運用し利用していること」から、加盟各国が同社に資金面や技術面で援助すると北朝鮮向け武器禁輸措置の違反になると警告している。■
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