スキップしてメイン コンテンツに移動

★韓国の原子力潜水艦建造は結局実現できないのではないか

オーストラリアで本命と言われていた日本のそうりゅう級を破り採用されたフランスDCNSのバラクーダがまた韓国の原子力潜水艦建造計画でふたたび出てきました。フランスは商売上手ですね。韓国がこのまま原子力潜水艦建造に向かう可能性が低いとのThe Driveの分析ですが、パッションだけで突っ走る韓国はその通りにならないかもしれません。でもそもそも韓国に原子力潜水艦が絶対不可欠とは思えないのですが。



Why Would The South Korean Navy Be Eyeing A Nuclear Submarine Capabilit韓国が原子力潜水艦に注目する理由は何か

A nuclear boat would offer significant additional capabilities for the service, but could come at a high cost, practically and politically.原子力潜水艦投入で韓国海軍の威力が高まるが、予算・政治面で代償は高くつく


DCNS
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 29, 2018
国海軍が原子力潜水艦取得の政治技術両面での可能性の検討に入った。北朝鮮が潜水艦弾道ミサイル開発をしており緊張が高まる中だが原子力潜水艦は技術的に複雑であり先に開発成功しても半島関係は緊張を増すばかりだ。
2017年10月に韓国海軍が委託したシンクタンクKorea Defense Network (KDN)が原子力潜水艦の基本設計を検討し始めた。最終報告書ではフランスのバラクーダ級を原型にした原子力潜水艦の開発を提言している。
「国産建造を提言したKDN報告書は慎重に精査している」と韓国海軍はDefene Newsに述べている。「原子力潜水艦建造案には微妙な内容がありとくに南北朝鮮頂上会談や米朝頂上会談が行われる中で慎重に扱う必要がある」
現時点の韓国海軍にはドイツの209型の派生型チャンボゴ級(9隻)がある。また9隻建造計画のソンウォニル級は7隻が完成しており、これもドイツの214型だ。両級はディーゼル電気推進艦だが後者には大気非依存型推進(AIP)が搭載され静粛化と長期間潜航が進んでいる。韓国海軍は9隻からなる三番目の級も要望しているが、新型艦が先に来るかもしれない。


USN
The South Korean Navy's submarine Jang Bogo.


原子力潜水艦がさらに低い聴音特性を実現するとはいえAIP搭載艦が静かなのは確かだ。各艦は214型より長く潜航可能で哨戒範囲を広げられる。
フランスのバラクーダ級をKDNが報告書に出発点としてふさわしいと取り上げられており、潜航時およそ5,300トンの規模だ。ソンウォニル級より大きく、開発中のチャンボゴ-III級より2,000トンも大きくなる。
増える空間は兵装の搭載に使い、米海軍のロサンジェルス級のように垂直発射管も備えるかもしれない。また大出力センサー類を搭載でき、韓国海軍には有力な沿岸のみならず内陸部の動向の情報収集手段になる。その場合、対象は北朝鮮だけでなく中国もカバーできるだろう。
未確認情報だがチャンボゴ-III級には弾道ミサイル・玄武Hyunmooを改装した装備が搭載されるといわれ、事実なら探知されることなく北朝鮮周辺海域を数か月航行できる重要な二次攻撃能力が韓国に実現する。
原子力潜水艦構想は北朝鮮が進める潜水艦発射弾道ミサイル能力開発から生れた。長期間の哨戒能力が監視、敵潜水艦追尾には最適だ。北朝鮮には沿岸用小型潜水艦が多数あり有事には特殊作戦部隊を韓国へ運び大きな脅威となる。
北朝鮮以外に韓国は中国やロシアへも対抗の必要がある。両国は東アジアで軍事行動を増強しており、特に中国は原子力、通常型双方で潜水艦部隊を増強中だ。また水中聴音能力も伸ばしている。ロシアも潜水艦部隊の再活性化を狙っている。
こうした状況をもとにすれば韓国が新型国産原子力潜水艦の建造に熱心なのは当然と言える。今回に先立ち2003年にも極秘調査が行われていた。
「2003年の検討では国産原子力潜水艦の基本設計まで完成し、小型原子炉の構想まで検討していました」と退役大佐Moo Keun-sikが明かす。当時「326計画」と呼ばれた構想をまとめていた。「韓国には自国で原子力潜水艦を設計開発する十分な力があります」
KDNがフランスのバラクーダ級とほぼ同じ艦の建造を提言したのは当時の検討結果を反映しているようだ。だが韓国に必要な知識と産業力があるかは別にしても、ここまで野心的な事業を実施する予算と時間が不足しているのではないか。
今日の潜水艦は複雑かつ建造が非常に高価で、原子力潜水艦はさらにその上を行く。少なくとも一号艦建造には10年かかり、各艦が作戦投入可能となるのに20年かかってもおかしくない。韓国政府は建造単価を10億ドルと試算しているといわれるが、あまりにも楽観視しすぎだ。フランスのバラクーダ級は16億ドルといわれ韓国では不慣れな建造現場で原子力潜水艦を一から国産建造するためこれ以上になるのは確実だ。
韓国の2017年度国防予算は340億ドル程度といわれ、国家予算の1割を占め、年率4パーセント増とされていた。そこに一隻10億ドルの潜水艦を建造すれば国防予算の3パーセントに相当する。
国防予算は増額されそうだがインフレを考慮すれば新型潜水艦は韓国が調達を進めるF-35共用打撃戦闘機やRQ-4グローバルホーク、早期警戒衛星、大型水上艦、巡航・弾道ミサイル各種他と予算を競い合うことになる。今年3月28日にロッキード・マーティンが韓国向けF-35Aの一号機をロールアウトしたが、韓国は40機調達の予定でF-35B取得にも関心を示しており、独島級揚陸強襲艦へ搭載したいとする。
だが最大の障害は政治で、韓国は核非拡散条約に調印しており、核分裂物質の濃縮を一定以上行わない取り決めを米国としている。原子力潜水艦の原子炉には高度能力核燃料が必要で、核兵器製造とほぼ同じ程度と言われる。これは小型装置で十分な出力を得るためだ。
このような原子炉を搭載した原子力潜水艦を建造すれば米国との取り決めに違反する。核物質濃縮やその他核施設を追求すれば高度濃縮核物質の入手に繋がり国際社会からも韓国は批判対象となり、NPT違反ともいわれそうだ。ここに韓国が326計画検討を秘密裏にした理由があり、またいったん知られるとすぐに放棄した理由もある。米国とともに国際原子力エネルギー機関が目を光らせたためだ。
シンクタンクKDNがバラクーダ級をモデルにする提言としたのは同級が低濃縮燃料を使う原子炉を搭載しているため濃縮問題を回避できるからだ。韓国は民生用原子力発電所で同様の燃料を使用中だ。
ただし北朝鮮は韓国が自国に脅威となる「核武装化」を進めていると非難し自国の核兵器開発を正当化するだろう。また北朝鮮宣伝機関の良い材料となり米国とその「傀儡」の韓国こそ核で侵略を狙っていると喧伝するはずだ。
韓国が緊張緩和を狙っていることを考慮する必要がある。北朝鮮指導者は歴史的な韓国大統領文在寅と韓国で2018年4月に直接会談する予定で、北朝鮮首脳が韓国国内に入るのははじめてとなる。
またキムとドナルド・トランプ大統領の会談にも影響が出る可能性がある。そうなると米国も韓国が原子力潜水艦の実現を目指すのは政治的にリスクが大きいと判断し、計画の放棄を求めてくるかもしれない。
トランプ政権としては韓国との合意内容の再交渉に前向きな姿勢を示しており、韓国の弾道ミサイルでの最大射程と性能の制限を再検討するともいわれる。トランプ政権が北朝鮮の脅威を理由に核燃料濃縮問題で緩和したり北朝鮮に核兵器放棄を迫る取引材料に使う可能性もある。
だがそもそも韓国がこうした障害を乗り切る必要性が見えてこない。フランスは原子力を使わないAIP型バラクーダ級を輸出用に開発しおわっており、ほぼ原子力艦に匹敵する性能があるといわれる。オーストラリアがローンチカスタマーになる。この艦なら韓国の要求内容を満たすことが可能で韓国もまずジャンボゴ-III級を優先して整備するようだ。
韓国は米国の核抑止力の傘の下にあるため、同国が二次攻撃力を非核手段で整備して北朝鮮に対する抑止力を限定的ながら整備する決定になるのかは興味深いところだ。韓国政府は北朝鮮攻撃を受ければ通常兵器による報復攻撃能力を広範に行使する用意があると公言しているが、韓国にはすでに潜水艦から対地攻撃巡航ミサイルを発射する能力がある。
もちろん北朝鮮に積極的に核兵器を放棄する兆候はなくむしろ国内体制維持にも核兵器は必要に思える。韓国から見れば核兵器への備えとして原子力潜水艦を残存可能なミサイル発射台として整備すれば朝鮮半島情勢が悪化した場合でも安心できるというのだろう。
北朝鮮の核兵器整備が進んでいることから韓国も北朝鮮と同様にNPTを脱退しても自国の核武装を再考せざるを得ないと噂する向きがある。いったん決定すれば韓国も急速に核武装を実現できるとの意見もある。
.総合すると原子力潜水艦で韓国海軍の作戦能力が大幅に拡充されるが、本当に同国が予算面でも政治面でも高額な装備開発に前向きになるかはっきりしない。■

Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

コメント

  1. 知性への悲観と情熱への楽観こそが人生にとって必要である、というのを良きにつけ悪しきにつけ思い知らされる朝鮮民族の性質の、これも一つの端緒なのだろうと感じる。
    向かう先がどこかという議論ではなく、それ以前に生を歩む為に必要なバイタリティやメンタリティを極端に追及すると、ああいう振る舞いになるのかなと。
    惜しむらくは戦略的発想が固有の文化の中に根付いておらず普遍とは最も遠い所にある事ではないでしょうか。
    私は彼らの精神性に、日本人に欠けていて且つ必要なものを見出していますが、どの民族や社会もバランスよく事足りるというものは無く、誰も彼も足りないものは多いですね。
    だからこそ見識や哲学が重要だと思うのですが、韓国軍の兵器調達にはそういったものが見えず、軍政面の大きな弱点だとも思います。

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

★★潜水艦が一隻も使えないのはドイツ連邦軍の問題の氷山の一角だ

几帳面がドイツでこうなっているとは意外な気もしますが、国防省の官僚的体質が災いのもとなのでしょうか。ドイツの安全保障に対する価値観にはやはり大戦中のトラウマがあるのでしょうか。日本はこの数年で意識がかわりつつあるのですがね。ドイツ国民に軍事アレルギーや防衛で主導的な立場を忌避する傾向があるのでしょうか。
Germany Does Not Have One Working Submarineドイツに作戦投入可能な潜水艦が一隻もない事態 Sebastien Roblin December 16, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/germany-does-not-have-one-working-submarine-23688?page=show

今年10月15日、ドイツ潜水艦U-35がノルウェー沖で潜航しようとしたところ、x字形の潜航舵が岩礁とぶつかり、損傷が甚大で単独帰港できなくなった。ドイツ国防軍広報官ヨハネス・ドゥムレセ大佐 Capt. Johannes Dumrese はドイツ国内誌でU-35事故で異例の結果が生まれたと語っている。紙の上ではドイツ海軍に高性能大気非依存型推進式212A型潜水艦6隻が在籍し、各艦は二週間以上超静粛潜航を継続できることになっている。だがドイツ海軍に作戦投入可能な潜水艦が一隻もない。Uボートの大量投入による潜水艦作戦を初めて実用化したのがドイツ海軍で、連合国を二回の大戦で苦しめた。今日のUボート部隊はバルト海の防衛任務が主で規模もに小さい。212A型は水素燃料電池で二週間潜航でき、ディーゼル艦の数日間から飛躍的に伸びた。理論上はドイツ潜水艦はステルス短距離制海任務や情報収集に最適な装備で、コストは米原子力潜水艦の四分の一程度だ。ただし、同型初号艦U-31は2014年から稼働不能のままで修理は2017年12月に完了予定だが再配備に公試数か月が必要だ。U-32は2017年7月にノルウェー回航中にバッテリーが使えなくなった。修理用船台が空かず、U-34が次の順番を待つ中で修理のめどがつかない。U-33は2018年2月まで整備中でその後公試に三四か月かかる。U-35の姉妹艦U-36は2017年10月に就役し、作戦投入可能は2018年5月だ。なぜここまで時間がかかるのか。冷戦終結後のドイツ海…

★★★F-3開発:急浮上したF-22生産再開提案は日本に費用負担大半を求める内容

降ってわいたようなこの話ですが、前からF-22生産再開の話はあり、日本の影もちらちらしていました。虫のいい話に聞こえますが、日本にはF-2事案でも苦い思いをした経験もあり、F-3国産開発で進んできたのですが、いよいよ今年中ともいわれる方針決定の段階で考慮すべき点は多く、以下の内容にも一定の長所はあるように思われます。実現するかは微妙ですが、貿易収支、米国の動向もにらむと可能性が皆無とも思われません。実現するとすればイスラエルも関与すべきと考えますが、皆さんはどう思いますか。
Lockheed Should Restart the Raptor Line If Japan Wants An F-22-F-35 Hybrid日本向けF-22-F-35ハイブリッド新型機が実現すればロッキードはラプター生産ラインを再開する構えGeopolitical trends, security concerns, and industrial and combat aircraft capability needs, could give birth to an American-Japanese Raptor 2.地政学、安全保障、産業構造、戦闘機ニーズを考慮すると日米共同のラプター2.0が実現する可能性が浮上BY TYLER ROGOWAYAPRIL 20, 2018 http://www.thedrive.com/the-war-zone/20288/japans-interest-in-an-f-22-f-35-hybrid-could-mean-a-restart-for-f-22-production-line
OSAKABE YASUO

ロッキード・マーティンと日本産業界共同でF-35ライトニングとF-22ラプターの長所を組み合わせた準国産戦闘機を開発する構想に関心が日本の関心を集めていいるとのロイター報道にThe War Zoneはさして驚かされていない。 以下ロイター電の抜粋だ。 「ロッキードは日本防衛省と協議を終え日本の情報開示請求(RFI)に対応した正式提案を機微軍事技術公開に関する米政府承認の後に提出する準備に入った。提案内容に詳しい筋から直接この内容が判明した。 高度機密航空機設計内容・ソフトウェアの公開を認める決定が下れば日本は中国軍事力に対する優位性を実現し、ドナル…

★★ここまでわかったシリア攻撃の内容、ミサイル105発のスタンドオフ攻撃

今回の攻撃の概要がだいぶわかってきました。さっそく攻撃は違法と主張する政党が出てきましたが、スタンドオフ攻撃の実例となり、攻撃規模も昨年より倍増され、北朝鮮攻撃の予行演習と言えなくもありません。我が国としては中国のスタンドオフ攻撃が一番怖いので防衛側に立って状況を咀嚼する必要がありますね。

Coalition launched 105 weapons against Syria, with none intercepted, DoD says連合軍はシリア攻撃に105本を発射、迎撃の動きは皆無とDoD発表By: Aaron Mehtaand Tara Copp 1https://www.defensenews.com/pentagon/2018/04/14/us-launched-105-weapons-against-syria-with-none-intercepted-dod-says/ USS Monterey launches strikes against Syria

WASHINGTON ― 米、英、仏各軍がシリア政権施設三か所に爆弾の雨を降らせた。ロシア防空装備は対抗措置を一切とらなかったとペンタゴンが土曜日に発表。 今回の攻撃は「何年も」前に立案されていたとケネス・マッケンジー海兵隊中将(統合参謀本部)はシリア化学兵器製造関連施設は今回の三か所以外にもあると認めた 三か国の艦船、航空機から合計105本が発射された。標的の三か所は以下の通り。 バルザ研究開発センター:マッケンジー中将は化学兵器開発の「心臓部」と呼び、ダマスカス近郊で「世界でもっとも強力な防空体制」をしいていたと表現。海上からトマホーク57本、JASSM-ERをB-1B二機編隊から19発発射し、戦闘機も掩護した。米側評価で同施設は破壊された。 ヒム・シンシャール化学兵器施設、ホムス近郊にあり、三か国が攻撃した。米軍はトマホーク9本、英軍はストームシャドウ8発をトーネード、タイフーン編隊から、フランスは海軍が巡航ミサイル3本と空中発射SCALPミサイルを発射した。米側評価では同施設は破壊された。 ヒム・シンシャール化学兵器貯蔵庫は同上標的からおよそ7キロ地点で、フランスがSCALPミサイルで攻撃した。SCALPはラファールが発射し、ミラージュが掩護した。マッケンジー中将は同施設は「損傷を受けた」と述べた…