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中国の侵攻作戦から台湾を防衛するには---高度防衛体制を維持する台湾を中国は簡単に侵攻できないのでは

台湾の防衛問題になるとなぜ日本が口を閉ざすのか台湾でも不思議に思っているのではないでしょうか。ここにきて台湾の話題が次々に出ている気もしますが日本ではスルーです。安全保障を避けたいという気持ちもあるのかもしれませんが北京政府に嫌われたくないという忖度なのでしょうか。全人代でまた習近平が台湾を威嚇する発言をしたようですが、台湾海峡を克服できないのが中国軍の実力であり、70年にわたり台湾が民主政体を維持し経済も反映している事実は共産党の教条主義では否定できないのが現実です。では今後はどうなるのか。必ずしも悲観する必要はありませんが、台湾が今後も高度防衛国家体制を維持していくのは大変なことです。

How China Would Invade and Conquer Taiwan (And Here's How to Stop It) 中国は台湾をこのように侵攻する(どうしたら阻止できるか)



March 19, 2018

  
華人民共和国内の各種情報を総合すると台湾の民主政体に残された時間はなくなりつつあるようだ。習近平は「忍耐できなくなりつつある」とされ台湾侵攻を2020年代初めにも命令する可能性がある。世界で最も危険な引火点で圧倒的な勢力の揚陸部隊の電撃作戦が発生するとしたら2021年7月の中国共産党(CCP)創立100周年の前だろう。
と言いつつ、中国は実際には台湾侵攻をそのような派手で高リスク方式では実施しないだろう。習一派は神経戦をエスカレートするはずだ。情報操作他の手段でワシントンの台湾防衛への信頼を崩し同時に台湾の自信を低下させるはずだ。
習近平は台湾政府がプレッシャーに負けて崩壊するのを待てばよい。そうすれば簡単に台湾を制圧できる。並行して中国軍は「聖なる」任務の遂行方法を検討する。力のバランスが中国に有利な形で推移するなかで侵攻作戦は訴求力を強めるだろう。

脅威の評価:
台湾海峡をめぐる政治安全保障の環境は厳しさを増しており、PLA軍事力の長所短所を正確に評価する必要がある。
PLAの強みの方が弱点より明らかだ。中国の軍事力では弾道ミサイル、対衛星攻撃兵器が要注意だ。もっと危険なのは諜報活動で対外政策が影響を受けることだ。
海軍大学校教授アンドリュー・エリクソンAndrew Ericksonは近著 Chinese Naval Shipbuildingで中国海軍が驚くべき勢いで強大になっているが台湾侵攻の支援能力はまだないと述べる。揚陸能力が不足し、防空能力も同様だという。ただし状況は今後大きく変わるはずだ。
デニス・ブラスコDennis BlaskoはThe Chinese Army Today の著者でCCP配下の地上兵力も海軍同様に台湾侵攻が準備できていないと述べる。侵攻を現実的選択肢にするためにはヘリコプター、効果部隊、特殊作戦部隊、揚陸機械化師団、海兵隊のすべてで増強が必要だ。さらにPLAには下士官層を整備し指揮命令系統の全般で訓練を強化する必要がある。既にこの努力に着手しており2020年代にその成果が出てくるだろうという。

台湾の対侵攻戦略:
では台湾軍関係者は自国をどう防衛するのか、また米国は支援できるだろうか。
台湾は全志願制部隊への移行の最終段階にある。プロの兵員を育てるのはよいことだ。台湾はこれに優位性を与える。中国の軍組織は自由意志による国民軍ではなく短期応召兵が大部分の組織だ。
RANDコーポレーションの最新研究報告では台湾では志願兵部隊をエリート予備役が助ける構造とし、中国の脅威は電子、航空、海上の各方面で対抗できるとする。台湾の軍部隊は新しい訓練の効果も期待できる。米軍との共同訓練や各国との救難訓練で台湾がこれまでできなかった分野で腕を磨ける。
近代戦はむき出しの力より頭脳戦の様相を強めている。このため高度訓練が必要だ。台湾のめざす防衛目標はPLAの電撃戦に備えることだ。このためには高度に動機付けされた人員が組織され訓練され装備を与えられて初めて敵侵攻作戦に強い抵抗力を示せるのだ。    
台湾海峡をはさむ経済規模の格差から台湾防衛当局はあらゆる場面で実力の引き上げが必要と認識し有事に効果発揮をめざす。台湾の防衛戦略では全土動員を前提に健康な男女全員が対侵攻作戦に協力する想定だ。
キングスカレッジロンドンのローレン・ディッキーはLauren Dickey台湾国防部(MND)は常に中国侵攻部隊を斥ける能力に磨きをかけていると指摘する。MNDは毎年全国地方両面で軍事演習を行い、作戦構想を点検、改善し敵上陸作戦に有効な防衛効果の実現をめざす。
台湾は中国侵攻を約4週間前に事前察知できるといわれる。ただし中国が戦略面で偽装工作にたけることを考えると額面通り受け止められない。それでもPLAが想定する揚陸作戦の規模が莫大になるため攻勢は前兆を見せるはずだ
例として部隊移動、予備役招集、物資集積、軍事演習、メディア動向、外交面での動き、台湾での妨害工作があげられる。さらに中国南東部で民間、軍の輸送船が終結すれば心配される事態となる。   
こうした兆候が見つかれば台湾総統は閣僚・議会指導部とともに対応策を審議する。レーダー、衛星の他中国国内の情報部員から続々入る内容を重視するはずだ。即応体制を引き上げ台湾全土を動員して敵攻撃にそなえることになろう。
すぐにも台湾海峡の要所に機雷敷設し海岸線、港湾、空港の防御態勢を強化する。その後に台湾国内の主要橋梁、発電所等の重要施設の防御が強化され不要不急の人員は戦闘地帯になりそうな場所から疎開させる。だがこれを全部実行するには相当の人員が必要で予備役部隊のみならず契約企業の関与が求められる。このため台湾では250万人を軍に、さらに100万人を民間防衛に数日で動員する体制が出来ている
緊急動員体制のテストは毎年行われ、台湾、澎湖等近隣の島しょ部(金門、馬祖)が対象だ。その結果には目を奪われる。市民兵士が大量かつ迅速に動員される。
台湾の全面的動員体制案では軍事力だけが主眼ではない。総統府と各省庁がすべて民間防衛体制を本土防衛に統合する点で機能する。

今後の展望:  
台湾政府と軍は台湾社会もあわせ厳しい態度をとる。だが独自に進めることが可能だ。ペンタゴンは台湾を援助し戦闘能力を向上させる点で重要な役割を果たす。米国の援助があれば台湾は中国に対し有効な防衛体制を実現でき、望むらくは今後も侵攻を阻止できるからだ。   
前出のRAND研究報告では共同作業部会の設立を提言しており、米側は国防次官補がふさわしいとする。台湾軍は米軍式の軍事教練や技術講習から得るものが多いはずで、米側教官も台湾の志願兵部隊移行を支援し、予備役にも戦略的な意義を与えるのを助けられるはずだ。     
台湾軍には装備品調達が定期的かつ頼れる形で必要だが不幸にもブッシュ・オバマ両政権がこれを否定してしまった。米国製装備が作戦運用で意味を出す事は台湾で議論の余地がない。トランプ政権は台湾に日本や韓国同様の能力の実現を目指すべきで、新型ステルスジェット戦闘機、ミサイル防衛や駆逐艦が想定される。  
それだけでなくワシントンは米企業を制約せず台湾が目指す国産防衛潜水艦建造事業に自由に参加させるべきだ。こうした装備品での支援は火力増強よりも国民の希望の維持に役立ち、兵員確保につながる。また強力な意思と決意のほどが中国にも伝わるはずだ。        
台湾軍は堅実な防衛構想を整備しプロの戦闘集団を育成中だ。だが侵攻の恐れは強まるばかりだ。中国の攻撃力増強に歩調を合わせるのは米国のアジアへの関与で大きな変更がない限り極めて困難だ。
この先を考えるとトランプ政権は米台関係を前進させる新戦略の構築で好機にあると言える。台湾が強固な防衛力を整備すれば世界最大の火薬樽の着火を防げる。中国の現実を無視するのでは問題を悪化させるだけだ。■

Ian Easton is a research fellow at the Project 2049 (where this first appeared) Institute and author of the forthcoming book, The Chinese Invasion Threat: Taiwan's Defense and American Strategy in Asia

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