4月から5月にかけて朝鮮半島が再び世界の注目を集めそうです。すでに平和は確実(北朝鮮の勝利)を信じる向きが多いと思いますが安全保障の世界はそんなに簡単に考えておらずあらゆる事態を想定していはずです。したがって米国が北朝鮮を壊滅する軍事行動に出ないとの保証はどこにもありません。
5 Ways Trump Could Stumble into a War with North Korea それでもトランプが北朝鮮と開戦する想定5例

KTLA
March 17, 2018
http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/5-ways-trump-could-stumble-war-north-korea-24955?page=show
ドナルド・トランプが金正恩提案を受け入れ5月にも会談するとはいえ、朝鮮半島は依然として世界で最も危険な地だ。南北朝鮮の首脳会談は先に4月に板門店で開かれトランプ-金会談がその翌月に実現すれば短時間とはいえ緊張緩和になるのは間違いない。韓国の冬季五輪での微笑や握手をみれば南北が新しい太陽政策に向かうのがわかる。
だが現実はともすれば自ら作り出した幸せの絶頂から簡単にひきずりおとす。米国・同盟国軍が核装備した北朝鮮と武力対決する可能性は依然として残っている。北朝鮮に関する限りすべての点で単純な処理はなく、すべてが悪い方向に向かうこともありうる。
では朝鮮半島で戦火が開かれる事態として以下の五つの場合を見てみよう。
1. ジョン・ボルトンが国家安全保障担当補佐官に任命される
ワシントンポストでは3月16日付記事でトランプ大統領がH・R・マクマスター中将を安全保障担当補佐官の職から解くと決定したとある。前国務省非拡散担当大使で超タカ派のジョン・ボルトンはマクマスター後継者のリストに入っているのは明らかだ。マクマスターは北朝鮮に関しては決してハト派でなく、金正恩の知性をからかったともいわれる。だがボルトンとは違う。ボルトンなら500ポンド爆弾4発を投下させるところをせいぜい2発落とすのが相違点だ。
ボルトンが正式に就任して大統領執務室でトランプの横に立てば国家安全保障会議の毎週の会議を取り仕切り北朝鮮の核兵器開発を中止させるべく米軍に予防攻撃させそうだ。実は同じ失敗をサダム・フセインに対し今世紀初めに実行させている。大統領に攻撃を進言するのは確実だ。
ボルトンはビル・クリントン政権時代から北朝鮮問題を楽しんでおり、20年たったが考え方に変化はない。ウォールストリートジャーナルの昨年のコラムで本人は平壌を先制攻撃を主張を19世紀の砲艦外交にたとえている。もちろん砲艦には何百万人も殺傷する能力はない。
ボルトンは「完璧なまでに合理的で米国は現状の北朝鮮核兵器が生む『必要性』を先制攻撃により対応してよい」と書いていた。現時点ではTVで目立ちたい元関係者の罪のない主張だがホワイトハウス入りし同じ提言をすれば無害とはとても言えなくなる。
2. トランプが怒りに駆られ会談を蹴る
トランプ大統領は歴史に残る成果を必死に求めており、ほかの大統領がみんな失敗したところで成功したい。北朝鮮の核問題の解決だ。韓国政府特使がホワイトハウスに到着し金正恩の平和のメッセージを伝えると本人は有頂天になり、その時点以来頂上会談をさばいて北朝鮮非核化の実現にこぎつける能力に自信を持っている。報道陣から金正恩が核装備を取引対象にするつもりがあるのかを聞かれたトランプは北朝鮮の提案に「誠意」を見ると答えている。
トランプは自ら北朝鮮指導者との協議には基準を高く設定している。期待に沿えない結果となれば本来期待する外交の勝利のかわりに写真だけとって終わる意味のない会談になり、大統領は金正恩が譲歩しなかったと憤慨しワシントンに戻るだろう。トランプは金正恩が恭順の態度を示さず自説を曲げなかったと非難し、自ら設定した期待値が実現しなかった理由とするだろう。「やはりこちらが正しかった。北朝鮮指導者との話し合いは時間の無駄だった。だまされただけだった。もう誠意を見せるのはやめよう。マティス将軍、戦闘作戦案が見たい」
3. 平壌がミサイルテスト中止を破る
金正恩政権は核実験ミサイルテストを5月の頂上会議まで凍結すると約束した。これはトランプ政権も評価する譲歩と言える。たとえ凍結中に核・ミサイル開発がそのまま進められてもだ。ミサイル再突入技術やプルトニウム反応炉やウラニウム濃縮作業は続いている。
だがキム一族が甘言をちらつかせるのは今回が初めてではない。金正日が長距離ミサイル発射を凍結したのが1998年だったが2006年に六か国協議が行き詰まると再開した。金正恩も2012年に同様にミサイル発射を自粛したがわずか数週間で衛星打ち上げと称し同じミサイルを使った。北朝鮮の度重なる約束破りにトランプ大統領は寛容になれないように見受けられる。トランプが約束違反を本人への侮辱と受け止めるのは必至だろう。トランプがB-1B爆撃機隊を北朝鮮領空に侵入する命令を出すと見る向きはないが、一方でその可能性が絶対ないとも誰にも言えない。
4. 会談が決裂しキムがトランプの最後通牒をはねつける
トランプ-キム頂上会談が失敗するか北朝鮮が途中で席を蹴れば、トランプは平壌に国連安全保障理事会決議順守を求める最後のチャンスを与えるだろう。クリントン政権やジョージ・W・ブッシュ政権がサダム・フセインに無条件で国連核査察官に協力を求めることで米軍攻撃を回避したように、トランプも金正恩に最後通告を劇的に発表するかもしれない。IAEA査察官を再度受入れ実証可能な形で非核化を進めるかそれとも...というわけだ。
平壌がデッドラインを守らない場合はトランプが対応する。トランプは譲歩するかレッドラインを数週間口にしバラク・オバマとは違う面を示そうと脅威を持ち出すかのどちらかだろう。前者を選択すれば政治面で追い詰められ後者は第二次大戦以来最大の犠牲を生む武力対決につながる。
5. 交渉は成功してもキムが裏をかいたら
クリントン政権が平壌と1994年に枠組み合意に批准した際はこれで核のない朝鮮半島が生まれる、段階的に米朝関係も正常化すると大きく宣伝された。クリントンの期待は実現しなかった。秘密のうちにウラニウム濃縮をした証拠が見つかり平壌も極秘核兵器製造を認めたことで枠組み合意は死んだ。
北朝鮮は合意内容も自分の都合よく曲解することにかけて専門家だ。2002年にこれをした。2008年も同様でブッシュ政権が目指した査閲案をひきのばした。2012年に衛星を打ち上げたのは一方的にミサイル発射をしないと約束してわずか数週間のことだった。非核化交渉が失敗するとしたら、前例から北政権が裏をかくか、抜け穴を利用するためではないか。CIAがキムが実はトランプを出し抜いていたと報告すれば、大統領は力にまかせた全く無慈悲な行動にでてもおかしくない。■
Daniel R. DePetris is a world affairs columnist for Reuters, a frequent contributor to the American Conservative and the National Interest, and a foreign-policy analyst based in New York, NY.
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