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★★必勝体制のボーイングMQ-25スティングレイの全体像

先日はジェネラルアトミックスとの共同事業案が出ていたボーイングですが、これですっきりしましたね。マクダネル・ダグラスの系譜を継ぐファントムワークスがボーイングプロパーの機体とし、新たに生まれた無人機部門がGA-ASIと組むのですね。言ってみればボーイングとしては安全策をとったわけでそれだけ同社としてこの事業は落とせないという決意が見え隠れします。それにしても今回Aviation Weekが解説している機体が実は2014年にロールアウトしていたとは。ボーイングの情報管理はしっかりしていますね。


米空母では夜間に作戦が多忙となることが多い。このためボーイング他MQ-25競合各社は空母艦上を模した運用テストを昼間夜間ともにおこなう必要がある。Credit: Boeing



Aviation Week & Space Technology

This Is Boeing’s Play For MQ-25 ‘Stingray’これがボーイングのMQ-25スティングレイだ



Mar 8, 2018James Drew | Aviation Week & Space Technology




ントルイスのランバートフィールドの駐機場に空母航空戦力の未来が姿を現した。ボーイングの高性能試作機制作部門ファントムワークスが駐機場を塗装で空母の飛行甲板に見たてており、ここ数か月同社はこの場所で最新の軍用UAV米海軍向けMQ-25「スティングレイ」試作機テストを全日展開している。
Aviation Weekが見たビデオ映像は「競合相手の閲覧厳禁」とあり大型無人機が白昼に自力でタキシーする状況が写っている。停止、発進、前方移動、カタパルト後方に位置決めし発艦に備える。ただし同機はまだ飛行していない。そのかわりに空母運用適合性をテストで空母艦上で有人機同様に安全、容易かつ十分信頼できる形で移動できるかチェック中だ。
同機を空母艦上でどのように正確に誘導するかは社外秘で当方も記事にはしないと約束したが、従来の手信号や棒は使えないことは想像できるだろう。空母運用適合性テストとしてファントムワークスは同機の「駐機性能」も見ており、F/A-18スーパーホーネットが駐機できる場所なら同機もすべて駐機できるか実証中だ。
当初は無人空母発進偵察攻撃機(Uclass)として企画されたが、ボーイング機は空中給油任務に最適化されていると宣伝中だ。ノースロップ・グラマンなど競合他社がステルスの情報収集監視偵察(ISR)機材として探知破壊能力を強調する中、ボーイングは給油能力を第一にしつつ偵察攻撃能力も保持しているとする。その結果が「T-1」と同社が呼ぶMQ-25採用を目指す機材の一号機だ。
Uclass構想の前から海軍が艦載UAVによる給油の実現をめざしていたのは有人攻撃機材の貴重な飛行時間を給油活動で減らしたいためだ。構想が2015年に仕切り直しされCBARS艦載空中給油機システムのMQ-25となったのはボーイングには朗報といってよい。と言うのは同社はノースロップほど偵察攻撃機能の開発を重視していなかったためだ。このことがきっかけでノースロップは2017年10月に競合から降り、同社が制作したX-47B実証UAVは見捨てられた。
Aviation Week の単独取材でボーイング・ファントムワークスでMQ-25を統括するドン・「BD」・ガディス Don “BD” Gaddis は現在テスト中のT-1試作機は実は2014年11月にロールアウトしており今まで公開していなかったと明らかにした。奇妙な形態の同機ははじめて2017年12月にその姿を目撃されボーイングもツイッターで同機の前面をぼやかした写真を公開した。屋外試験を開始した同社は機体外形のリークは時間の問題と見ていた。
そのとおりになった。The War Zone がランバート国際空港を離陸中にジェレミー・マクガフが撮影した写真を掲載した。同機の全体像を示す写真としては今のところ唯一のものでグライダー状主翼の全体像がわかる
「ランバート空港が施設を当社に自由に使わせてくれ助かった。空母の飛行甲板のように塗装している。また無人機も提供してもらいビデオ撮影できた」とガディスは語る。「実証はなるべく空母と同じ環境に近づけた」
ノースロップが脱落した今はMQ-25で採択を目指すのは三社になり、ジェネラルアトミックス・エアロノーティカルシステムズ (GA-ASI)とロッキード・マーティンのスカンクワークスが競合する。ボーイング含む三社は2017年1月3日期限の海軍航空システムズ本部の提案募集に応じており、今年8月はじめの選定結果を待つ。


ボーイングはセントルイスのランバート国際空港の一画を空母飛行甲板に見立ててカタパルトも設置した。Credit: Boeing


「当社としては要求水準に対して優秀な内容を提出できたと思います。ボス(ボーイングディフェンス、スペース&セキュリティ社長リアン・キャレットLeanne Caret)はMQ-25を当社が強みを発揮できる事業と見ており、なんとしても受注したいとしています。CEO(デニス・ムレンバーグDennis Muilenburg)も同様です。当社は契約を勝ち取ります」
ボーイングは受注に硬い決意を示しているが両面作戦をとる。ボーイング・オートノマスシステムズ Boeing Autonomous Systems は新たに発足した事業体で無人機事業の大部分を手掛け、GA-ASIと提携し社内ではファントムワークスと「ファイヤーウォール」で分けられているといわれる。「あちらで何をしているのか全然わかりません」とガディスも同時並行で進む事業について語る。
完全新規開発のT-1は2012年10月にボーイングが初期設計作業を完了した。二年後にこっそりとロールアウトして機体コンセプトの確認と空母艦上の取り扱い特性の実証に投入され初飛行の準備も始まっている。ガディスは初飛行予定日を口にしていないが8月の契約交付後になりそうだ。


前方から見るとファントムワークスのMQ-25は頑強に見えるが、機体は前後に延ばされ重心はかなり後方に設定されている。ボーイングはこの画像をあえて公開し、高アスペクト比折り畳み式主翼の全体像を悟られないようにした。Credit: Boeing


機体はファントムワークスが以前発表していた全翼機デザインと全く異なる形状だ。全翼機は2011年4月に初飛行しUclass偵察攻撃機の候補とされていた。だが同社は主翼胴体尾翼を一体化しV字尾翼を方向舵昇降舵を兼ねる形とし主翼は折り畳み式の高アスペクト比の機体とした。最初に姿が視認された際には前方の空気取り入れ口と機首のカメラが誤った推測のたねとなった。だがボーイングは前方空気取り入れ口は単純に機内空調用で、カメラはテスト中だけ取り付けデータ収集に使うが実機には搭載しないと認めている。最終形のMQ-25は電子光学センサーを搭載することになりそうだ。
同機はノースロップの第一世代ステルス技術実証機タシット・ブルーと比較されるが、ガディスはボーイングMQ-25は低視認性つまりステルス想定ではないと明かす。たしかにレーダー断面積や赤外線特徴の削減として機体上部の空気取り入れ口や排気口の熱削減の工夫はある。だが主翼形状から新鋭レーダーには簡単に探知されるはずだ。
「ステルス機をめざしたわけではないのです。MQ-25では残存性の要求内容はありません。任務機への給油機能とCVN(原子力空母)での運用適合性に絞り込まれています」とガディスは説明し、状況把握用のセンサーで「軽ISR」機になるという。


ボーイング試作機は2014年11月にロールアウトしていたが最近まで秘密にされていた。屋外テストが始まるまではこの想像図が唯一ボーイングが公開した情報だった。Credit: Boeing


給油任務では空母から500カイリ地点で14千ポンド給油能力が求められ、空母航空部隊の飛行距離を延ばす要求だ。ニミッツ級空母での運用を想定し安全に離着艦しながら艦内で場所をとらず、保守修理が可能であることとしている。
「Uclassに話を戻すと、給油能力は設計上の一要素にすぎません。性能上は十分余裕があり将来の発展性を残しています」とガディスは述べた。
MQ-25は空母航空機材で90年の経験を有するボーイングの最新機となる。セントルイスに本拠があったマクダネル・ダグラスを1997年に吸収合併したことが大きい。マクダネル・ダグラスはダグラスTBDディヴァステイターで1930年代に、40年代以降にはAD-1スカイレイダーとマクダネルF2Hがあり、さらにダグラスA-4スカイホーク、マクダネル・ダグラスF-4ファントム、F/A-18ホーネットが今日の最新F/A-18E/Fスーパーホーネットにつながる。「当社はCVNで多大な知見を有しており、今回はそのすべてを投入しました。ホーネットだけでも合計1.8百万時間のフライト蓄積がありますからね」(ガディス)
GA-ASIから先に提案内容と共同開発体制が発表されたが、ボーイングとロッキード・マーティンから詳細発表がまだない。ボーイングはT-1の主翼構造を悟られないよう情報操作までおこない機体構造の情報を絞っていた。ボーイングはMQ-25提案でどこがスーパーホーネット技術の流用なのか、さらにエンジン等主要装備のサプライヤーを明らかにしていない。
一つだけわかっているのはボーイングが長年使っているコバムCobhamの空中給油装備、いわゆる「バディポッド」でスーパーホーネットが1998年から搭載して僚機への給油を行っている。ポッドは政府支給品として搭載されており、MQ-25でも使われるだろう。
ボーイング、ロッキード、GA-ASIが争う契約は固定価格方式で開発と生産を初期4機向けに行う内容だ。海軍は運用機材を最大72機調達し2026年の初期作戦能力獲得を目指す。
海軍作戦部長には最優先事業であり、新たに創設した海洋装備加速実現室 Maritime Accelerated Capabilities Office が統括する。調達を「加速化」し初期作戦獲得の2026年は契約交付の8年後にすぎない。
各社の競合は機体の実現に限られる。と言うのは海軍がシステム統合にあたり、各種要素をまとめ新規技術との適合性にも責任を有するからだ。新技術の例にレイセオンの共用精密アプローチ着艦システムがある。
ボーイングはMQ-25の生産場所をまだ決めていないが、スーパーホーネット生産が永遠に続かないことを考えればセントルイスが有力だろう。ボーイングは共用打撃戦闘機、長距離打撃爆撃機と大きな事業二つで受注に失敗し、空軍のめざすT-X次世代練習機あるいはMQ-25のいずれかは必ず受注しないと軍用機ビジネスに残れないとの意識だ。これだけの規模の軍用機事業は当面現れないと見ているからで、ファントムワークスに関する限り、T-1は大きな意味がある。

「低コスト低リスクを前面にT-1を成熟化させ契約獲得後に飛行テストに入る準備ができています。当社はこの案件でかなり有望な立場です」(ガディス)■

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