相変わらず深刻なKC-46の開発の遅れですが、肝心のボーイングに深刻な危機感が見られないのはひょっとして米空軍向けに損失を計上してもその後の輸出で取り戻せると見ているためではないでしょうね。今のところKC-46を発注しているのは日本だけなので機体単価が急上昇することのないよう目を光らせておきたいところです。Aviation Weekの記事です。
Boeing
Boeing’s KC-46 Tanker Delayed Again
ボーイングKC-46給油機の納入予定が再度遅延か
Mar 6, 2018Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report
ボーイングのKC-46引渡し開始は2018年遅くになると米空軍は見ており、契約上の納入期限を同社が守れるか疑わしくなってきた。不履行だと大幅な違反金が発生する。
ボーイングの大日程では一号機納入を2018年第二四半期に予定するが、共同日程管理リスク見直しをかけて空軍は2018年末と見るのが現実的としている。空軍広報官エミリー・グラボウスキ大尉が語った。
「今後もボーイングと開発日程を無理のない形にしていき、事業推進を迅速化していきます」とし、「遅延で納税者負担が増えることはありません」と付け加えた。
契約上はボーイングは完全な形の給油機計18機を10月までに空軍に納入することになっている。この納期を守れないと同社は税引前29億ドル、税引き後19億ドルの追加負担を迫られ、ただでさえ同社はこれまで同事業に相当の負担をしているところにさらに支出が増ええる。固定価格契約のためコスト追加分はそのままボーイング負担となるためだ。つまりコスト増は政府ではなく同社が全額負担する。
進展を遅らせている理由は以前と同じで、耐空証明取得とフライトテストだとグラボウスキ大尉は指摘。
FAAは昨年767-2Cの給油機型に型式証明を発行したがボーイングは767-2CをKC-46に変換する肝心の軍用空中給油追加装備の型式証明を交付されていない。
またボーイングは重要問題をまだ解決していない。同機の硬式給油ブームが給油を受ける機体の表面を削る傾向がある。ステルス機の場合深刻な影響を与えかねない。低視認性ステルス塗料が損傷を受けるためでB-2爆撃機、F-22とF-35戦闘機が該当する。
政府と産業界が一緒にフライトテストデータからこの危険の発生頻度と深刻度を国際基準と比較しているところとグラボウスキは以前Aviation Weekに述べていた。データから空中給油時に遠隔カメラが必要になるのか今月中に判断する。
この問題は「カテゴリーI問題」とされ最も深刻な区分とされている。
その他二つの問題があるがこちらはカテゴリーII区分だとグラボウスキは述べている。一つはKC-46搭載の高周波(HF)無線装置で機体表皮をアンテナとして使うが放電現象や火花が発生していることだ。
空軍としては無線機能は必ず作動させたいが給油中の無線使用を厳しく禁じ火花から火災の発生を避ける必要が生まれる。
このことによるリスクは「受容範囲内」とされるがシステムが仕様を満たしていないとグラボウスキは指摘。空軍としてはボーイングが長期間かけてもリスクを完全解決することを望んでいる。
空軍は同時にボーイングにソフトウェア小規模改修も望んでおり、給油後にブームを相手機から外す際に燃料が一部流れるままになるすでに把握されている問題の解決を期待する。
「米空軍とKC-46日程のリスク評価を一緒に検討し、納入予定も検討しました」とボーイング広報のチック・ラメイが述べている。「新型機開発にリスクはつきものですが、当社は空軍と協力してリスクをつぶしていきKC-46テストを完了し、画期的な性能を誇る同機計18機の迅速な納入につとめます」■
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