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期待にこたえられなかった装備②ヘンシェルHs 129対戦車攻撃機はなにがまずかったのか

期待にこたえられなかった装備シリーズ②はドイツのヘンシェルHs129対戦車攻撃機です。コンセプトはいいのですが、優秀なエンジンは戦闘機優先で使えずフランス製の非力エンジンを搭載しましたが、登場のタイミングが悪くあと数年前に供用開始していれば話はかわっていたでしょう。ヘンシェルと言う会社には航空機部門はあまり重要ではなかったようです。

The Hs 129 Was Supposed to Be the A-10 of World War II Hs 129は第二次大戦時のA-10をめざしたがエンジンの性能不足と官僚統制のまずさで傑作機になれなかった

Bad engines and poor management doomed the German ground-attacker

The Hs 129 Was Supposed to Be the A-10 of World War II
March 21, 2016 Paul Richard Huard


ンシェルHs 129は一見すると完璧な対地攻撃機に見える。
双発で強力な装甲を施したコックピットはパイロットを小火器銃弾から守る。同機は当時最大級の機関砲を前方発射する設計だった。
Hs 129はドイツ空軍の究極の戦車キラーとなりソ連T-34戦車を上空から葬るはずだった。言い換えると第二次大戦版のA-10ウォートホグになったはずだ。
一つだけ問題があった。Hs 129の性能だ。原型のHs 129 A-1の性能が低すぎてドイツ空軍も受領を拒否したほどだ。
Hs 129はウォートホグではない。失敗作だった。
ただし同機は航空史上で特異な位置につく。ジェット戦闘機や弾道ミサイルまで製造したドイツ技術でも失敗作があることがわかるからだ。
「Hs 129はその時点でのA-10を目指したもののその目的は果たせなかった」とジョン・リトル(シアトルの航空機博物館学芸員)が語る。「A-10は低速ながら操縦性が高く戦車を狙い撃ちしてパイロットは生還できる」
「Hs 129は再設計し強力なエンジンに換装し低速性能を強化しながら操縦性を高めて標的を視認しやすくするべきだった」とリトルは述べる。「ドイツ空軍には残念ながらHs 129の必要性は高く実戦化前の段階で投入する必要があった。Hs 129は頑丈に作ってありパイロットの間ではA-10と同様だった」
1930年代末にドイツ軍地立案部門はルフトヴァッフェには専用の対地攻撃機が必要と判断した。スペイン内戦でコンドル部隊が対地攻撃ミッションを行い、低空攻撃で共和国軍が対地掃射で士気が低下する効果を確認し、物資補給処を攻撃し、砲兵隊をピンポイント攻撃していた。
攻撃専用機構想は前からあり、第一次大戦に初の機体が生まれている。

だがヒトラーは第一次大戦のやり方で戦争したくたなかった。迅速な移動でドイツの敵を一掃したかったのだ。このためドイツ地上部隊を支援する専用機材が必要となった。
だが設計上の困難さ、情報収集の失敗、空軍上層部の決定のまずさがHs 129の製造と配備に悪影響を与えたとリトルは言う。
上層部は「専用対地攻撃機の必要度を低く評価し特に対戦車攻撃機でこの傾向が強く、時を逸した」とし、「バルバロッサ作戦の前にドイツ情報部はソ連の戦車はわずか1万両と見積もっていたが、実は2万4千両だった。ドイツで専用対戦車攻撃機が必要と痛感されるまでに時間がかかりすぎた」
さらにドイツ政府はヘンシェルを汎用メーカーとみなし、他社機材の生産にあたらせたりしていた。
その結果、ヘンシェル製造の機体は少ない。Hs 129試作機が3機、Hs 129生産前試作機8機のあとHs 129は870機しか製造していない。これに対しメッサーシュミットBf 109は33千機、フォッケウルフFw 190は20千機も製造された。
Hs 129量産が始まった時点でドイツ陸軍は守勢に回り、ソ連装甲車両の破壊が急務となっていた。十分な機数がそろい兵装を積んだHs 129はソ連戦車に効果を発揮した。
ドイツでは残念ながらHs 129は5飛行隊しか編成されずしかも最適な兵装を搭載したとはいえなかった。
さらに設計に問題があった。Hs 129は満載時最高速が200マイルと低速でキャノピーは三インチのガラスがパイロット視野を妨げていた。
さらにHs 129が搭載したフランス製ノーム・ローヌ14Mエンジンが埃や砂に極度に弱く飛行中に突然停止することがあった。
パイロットが頑強な機体のHs 129を気にいったのはほぼ破壊不可能なためだった。また装甲車両攻撃用に大重量のRüstsätze攻撃パッケージを搭載できた。
ドイツ空軍の対地攻撃エースのルドルフ・ハインズ・ルファーは戦車80両を撃破し鉄十字騎士賞を受けている。ルファーは戦車撃破パイロットとして史上最も大きな成果を上げた。

だが本人のHs 129戦闘記録の幕切れは悲惨だった。1944年にソ連対空砲火が乗機をポーランド上空でとらえた。ルファーは即死し乗機は爆発した。■

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