スキップしてメイン コンテンツに移動

日本をとりまく海上安全保障ニュース:ロシア情報収集艦の動き、ヴァリアントシールド演習、米東部で米仏共同演習、紅海での動き

 



今回は日本周辺以外のニュースもありますが、やはりUSNI Newsは着実に海上安全保障関連の話題を伝えてくれますので助かりますね。

Path of a Russian surveillance ship on June 13, 2024. US Navy Photo


ロシアの偵察船が北日本沖で活動



合幕僚監部(JSO)の発表によると、ロシア海軍の情報収集艦が6月14日金曜日に日本の海峡を通過した。一方日本は、4月に訓練中に衝突した海上自衛隊のSH-60Kヘリコプター2機の残骸捜索を7月に開始する。

 その他の動きとして、米軍はパートナー国の大型艦と演習多数を行なっている。

 金曜日の報道発表によると、木曜日午後7時、ロシアの情報船プリバルティカ(80)が、北海道本島の北西端から31マイル離れた礼文島の西31マイル海域を北東に航行しているのを目撃したとある。JSOは、木曜日から金曜日にかけて、プリバルティカは宗谷海峡峡を東に航行したと述べた。海上自衛隊の高速攻撃艇JS「わかたか」(PG-825)と、海上自衛隊八戸基地を拠点とする第2航空団の海上哨戒機(MPA)P-3Cオライオンがロシア艦を追尾した。


 宗谷海峡は、ロシアのサハリン島と北海道を隔てて、西の日本海と東のオホーツク海を結ぶ。ロシア海軍艦船は日常的にこの海峡を通過して活動しているが、海上自衛隊は通過を日常的に監視しており、艦船と航空機でロシア艦船を監視しているほか、日本付近を航行する人民解放軍海軍の艦船も監視している。

 金曜日の定例記者会見で、木原稔防衛大臣は、4月に衝突した海上自衛隊のSH-60Kヘリコプター2機の残骸の捜索を、海洋研究開発機構(JAMSTEC)所有の曳航式深海探査システム「ディープトウ」を使い7月に開始すると発表した。木原大臣は、4月27日以来、海上自衛隊の海洋調査船JSしょうなん(AGS-5106)が機体の捜索を行ってきたが、18,045フィートの深海にあるヘリコプターを発見できなかったと述べた。

 事故後、フライト・レコーダーとヘリコプターの部品は回収されたが、機体は回収されなかった。この事故で海上自衛隊員8人が死亡したが、回収されたのは乗組員1人のみで、海上自衛隊は火曜日、行方不明の7人を死亡と正式に発表した。

 その他の動きとしては、米軍はパートナー国の大型艦と演習多数を行っている。米東海岸沖では、海軍と海兵隊が、強襲揚陸艦FSトネール(L9014)とフリゲートFSゲプラット(F714)で構成されるフランス海軍ジャンヌ・ダルク水陸両用機動団と、フランス海軍士官学校の士官候補生とフランス陸軍戦闘団を乗せたチェサピーク2024演習を実施している。海軍の発表によれば、木曜日から日曜日まで行われるチェサピーク演習は、相互運用性を高め、二国間の防衛パートナーシップを強化し、同盟国の能力に対する理解を深めることを目的としている。「この演習は、最も古い友人であり同盟国フランスとの二国間防衛関係の強さと、世界の安全保障に対する我々の共通のコミットメントを証明するものである」。

 報道発表によると、チェサピーク演習を通じて、米仏両海軍は、相互運用性を実証・強化し、効果的な共同作戦能力を高めるため、相互運用飛行とウェルデッキ運用を実施する。「フランスでのDデイ記念式典の1週間後となった今回の演習はチェサピーク湾という象徴的な場所で両国を結ぶ歴史的友好関係のダイナミズムを示すものだ」と、ジャンヌ・ダルク水陸機動団司令官でトネール司令官のアドリアン・シャール大佐は報道資料の中で述べている。「また、相互運用性だけでなく、両国の資産を統合する能力を通じ、高強度作戦を共に計画・遂行する能力を実証するものでもある」。

 報道資料によると、米海軍の参加ユニットには、米第2艦隊司令官、水陸両用飛行隊8、水陸両用ドック揚陸艦USSカーター・ホール(LSD-50)、海軍ビーチグループ分遣隊2、ヘリコプター海上戦闘飛行隊(HSC)28の分遣隊が含まれる。米海兵隊の部隊には、海兵隊司令部、第2海兵遠征軍(MEF)、第22海兵遠征隊(MEU)、第2海兵航空団(MAW)、第2海兵兵站群(MLG)およびその下部司令部が含まれる。

 6月7日、紅海で、空母USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)、駆逐艦USSラブーン(DDG-58)、USSグレイヴリー(DDG-107)からなるドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群(CSG)は、イタリア海軍の空母ITSカヴール(CVH-550)、フリゲートITSアルピーノ(F-594)、フランスのフリゲートFSフォービン(D-620)と編隊航行を行った。フォルビンは6月7日から9日にかけて、カヴール、アルピーノとともに紅海で活動した。フランスのフリゲート艦は、紅海の商業船舶を保護する欧州連合(EU)のアスピデス作戦の下、同海域に展開した。カヴールとアルピーノは現在インド太平洋に向かい、F-35BライティングII戦闘機とAV-8ハリアーII戦闘機で構成されるカヴール航空団が、オーストラリアで7月12日から8月2日まで行われるオーストラリア空軍の多国間演習「ピッチブラック」に参加する。

 また、6月7日にはフィリピン海において、空母ロナルド・レーガン(CVN-76)がフィリピン海を飛行している。第7艦隊旗艦USSブルーリッジ(LCC-19)、巡洋艦USSロバート・スモールズ(CG-62)、駆逐艦USSヒギンズ(DDG-76)、USSラファエル・ペラルタ(DDG-115)とともに、海上自衛隊のヘリ空母JSいずも(DDH-183)、駆逐艦「はぐろ」(DDG-180)、潜水艦「じんげい」(SS-515)と合流し、「ヴァリアント・シールド2024」演習の一環で共同航行を実施した。「いずも」、「はぐろ」、駆逐艦「ありあけ」(DD-109)は、海上自衛隊のインド太平洋展開2024ミッションの第2水上部隊を構成する。■


Russian Surveillance Ship Operating off Northern Japan - USNI News

DZIRHAN MAHADZIR

JUNE 14, 2024 5:08 PM


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...