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ボーイングのMQ-25試作機がステルス仕様になっている理由がある


Why Does Boeing's MQ-25 Prototype Look So Stealthy?

ボーイングMQ-25試作機がステルス設計になっているのはなぜなのか


Jan 3, 2018 by Graham Warwick in Ares


ボーイングがツイッターで短いビデオを公開し自社資金開発の米海軍MQ-25スティングレイ競作での同社機材をちらりと見せているが、空母運用無人給油機がここまでステルス機の仕様になっていることに疑問が生まれている。
                            
Credit: Boeing
その答えは空母搭載空中給油システム(CBARS)の要求水準に長い時間をかけてきた海軍にあるのだろう。ただボーイング案にはステルス機の歴史で画期敵だったノースロップの1980年作のタシットブルー実証機を思わせるものがある。
12月に一部示された画像でも空気取入れ口の位置はどこなのかと疑問が呈されていた。想像図には機体上に空気取入れ口があり、ジェネラルアトミックスのアヴェンジャーに類似していた。だがそうした取入れ口は以後発表された画像には見当たらない。
Credit: Boeing

最新の映像では取入れ口が見あがらない。実際にないようだ。試作機では上部に黒線があり中に「ジェット取入れ口危険」の注意書きが入っている。つまりボーイングのMQ-25案の取入れ口は機体上部に埋め込まれており、完全に一体型しており、タシットブルーとも似ている。
Credit: Boeing
タシットブルーはDARPAと米空軍向けに製造されステルス機の設計として表面にカーブをつけて、ロッキードのハヴブルーやF-117のような角ばった表面と異なる。タシットブルーで培った設計技術がB-2ステルス爆撃機の滑らかな表面につながった。
タシットブルーでも機体上部にステルスを意識した形状で空気取入れ口があったが、かなり苦労したようで、フライトテスト要員はC-130を同機の前に駐機してエンジン後流で同機エンジンの始動をしていた。また取入れ口ダクトには分流板をつけていた。
Credit: U.S. Army Force Museum
U.S. Army Force Museum
タシットブルーのエンジン二基はV字尾翼の間の細いノズルを排気口にしていた。ボーイングMQ-25も同様なようだ。タシットブルーの主翼、尾翼には角度はついておらず、ボーイング機でも同じようだ。ボーイングの設計案では機体外周部にチャインを走らせているがステルス機特有の設計だ。
どうしてなのか。ステルスだけが海軍のCBARS要求内容ではない。かつてはステルスが前面に立っていた。CBARSの前身の無人空母搭載偵察攻撃(UCLASS)構想の際だ。だが長く激しい議論の末にUCLASSは内容が薄められ無人給油機になりステルスの要求は取り下げられた。
ノースロップ・グラマンは無尾翼で全翼機形状のX-47BをUCLASSの前身としてすでに製造している。ステルス性能が要求水準から消えたのはX-47Bが原因かもしれない。
ボーイングのMQ-25案にステルス性能がついているのはUCLASS時代の名残でそのま真敏検討を重ねCBARSの要求にこたえるものとしたためだろう。ボーイングもスティングレイが実施に空母艦上で給油機としての運用がはじまれば偵察攻撃機に進化させるのは必至と見てステルス性能を残したのだろう。
Credit: Boeing

もう一つステルスの影響が見えるのは映像に拘束フックが見えることで完全に機体引き込み式になっている。だがボーイングのファントムワークスがあるセントルイスでロールアウトした試作機ではのこぎりの歯状のフック一部が見当たらず、ステルス性能を重視していることがわかる。
もうひとつ注目すべき点がある。ボーイングMQ-25試作機には機首にデータ集商用のセンサー三点がついているが、機体と一体化されておらずノースロップのステルス形状のX-47Bと異なる配置だ。また機首下にはカメラと思しきものがあり地上要員が離着艦時に状況を把握するためのものと思われる。
Credit: Boeing

主降着装置は前方に引き込む方式で主翼も折り畳み式で主要付け根上部のバルジにヒンジと作動機構が入っているのだろう。また主翼前にたての結合部がついているがその理由は全く不明だ。■

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