今年の注目の一つがボーイングが苦労しているKC-46ペガサスの納入の動向です。従来と違うコスト構造の契約のため、超過分は同社負担となりボーイングも苦しいはずです。日本向け3機の予算もついており、我々も注視が必要ですね。
The Air Force expects the first delivery from its struggling tanker program this year — but major defects still aren't fixed 米空軍は今年こそ開発が難航する給油機の受領を期待するものの大欠陥がまだ解決されていない
ボーイングKC-46給油機のテスト機材一号機。 June 2015. Boeing
Jan. 5, 2018, 12:56 PM
- ボーイングがKC-46給油機引き渡しを予定どおり実現できなかった。同社は10月までに完成機18機を米空軍へ引き渡す義務を負う
- だが同機には解決を待つ問題が残る
- KC-46開発は数々の困難につきまとわれてきた
KC-46Aペガサスの初の作戦機材は昨年12月5日に初飛行した。
初飛行までに何回も遅延とコスト超過が開発にのしかかってきたがこの数年間であった。初飛行にはこぎつけたがボーイングは自社設定の2017年末までに米空軍に一号機引き渡しができなかった。
空軍は2018年春までに運用機材一号機の受領を期待し、ボーイングは続いて2018年10月めどに18機を納入する義務を負う。だがAviation Weekによれば大きな不良が未解決だ。
最大の問題は燃料が流れるブームが被給油機を傷つけることだ。
この問題で搭乗員が危険にさらされ、ステルス機のF-22やF-35の低視認性効果が下がる恐れがある。またKC-46もブームがステルス塗装で汚染されれば地上に戻る必要が生まれる。
空軍とボーイングが問題解決に取り組んでいるとAviation Weekに述べており、官民合同チームが飛行データを検証しトラブルの発生可能性を評価する。
その評価次第でKC-46で使うカメラの修正の必要性を判断する。ブーム操作員は機体前方からブーム操作にあたるため、カメラは極めて重要だ。旧式給油機で操作員は機体後尾から手動でブームを操作する。カメラに関する方針決定は3月になる。
ボーイング広報によればブームと被給油機の接触は現行給油機でも発生しているという。
ボーイング広報はAviation WeekにKC-46の高周波無線の問題点は解決済みと12月に語った。だが空軍広報官はまだ取り組んでいるとし、1月に解決方法を決定するとしている。
無線装置は機体自体をアンテナに使うため、電気火花の発生がある。そのため給油中は火災を恐れ無線は一切使えない。
被給油機から給油ブームを外す際に燃料が流れるブーム問題はカテゴリー2問題に縮小されたと空軍広報係はAviation Weekに述べている。この解決方法が5月に実施されるという。
空軍は実用版KC-46の第一陣は今春納入と見ており、オクラホマのアルタス空軍基地とカンザスのマッコーネル空軍基地で受入れる。
カールトン・エヴァハート空軍大将Gen. Carlton Everhart(航空機動軍団司令官)はAir Force Timesにテストが完了すれば新型給油機納入が始まると述べ、各基地への配備が「迅速に」始まると期待する。
ボーイングは新型給油機開発契約を2011年に獲得し、空軍は445億ドルで179機を調達するとしている。契約ではボーイングは事業費用に自ら責任を有し空軍設定の金額を超えれば空軍の責任分担48.2億ドルを超えれば自社負担となる。2017年末現在で同社は税引前29億ドルをすでに負担している。
ジム・マティス国防長官はこれまでペンタゴンの兵器開発に深く関与していないが、調達部門に厳しい警告を11月に出し、欠陥のあるままのKC-46給油機を受領する「つもりはない」とまで断言している。■
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