スキップしてメイン コンテンツに移動

2018年の展望 韓米同盟関係の行方を注視する北朝鮮

 文在寅大統領がますます予測不可能になって韓国が漂流すれば北朝鮮にとってこんなに都合の良い状況はないわけで、以下のエッセイもまさか韓国が同盟関係を自ら廃棄する事態は自ら招かないよねと言うメッセージなのですが国民の感情の方が法理や国際社会の常識より優先される国であることがは年末の日韓合意を巡るごたごたでも証明されていますね。これも2018年のホットイシューになります。


North Korea's Greatest Wish: How the U.S.–South Korea Alliance Could Die

北朝鮮最大の願望は米韓同盟関係の終了だ
December 30, 2017

.
朝鮮の核・ミサイルが急速に拡大する中、米韓同盟を堅固に維持することが死活的に重要だ。だが残念ながら同盟が空中分解しかねない状況にあり、しかも時限爆弾の爆発時間が迫っている。
時限爆弾は両国の負担を巡る協議で特別対策取り決めSpecial Measures Agreement (SMA)として知られる。現行の5か年SMAは2018年に失効する。つまり交渉をすぐにでも始めないといけない。同盟国との負担分担を巡る資金面の話には微妙なものが付きまとうが、ドナルド・トランプの「米国第一」外交政策と文在寅の韓国ナショナリズムの組み合わせで今回の協議は極端に毒々しいものになりかねない。正しく乗り切ればトランプと文は同盟を再活性化でき今後も続く足場を確保することになる。
現行のSMAで人件費除く経費のおよそ半額(2016年は821百万ドル)を韓国が負担するほか韓国内の米軍基地移転で90億ドルを拠出している。2014年交渉は、反米デモと韓国国会議員の一部が「屈辱的」と非難する中で張りつめたものがあった。韓国政府の主な懸念は韓国の負担分がどう支出されているのか透明性が欠け主導権もないことだった。こうした懸念のため2014年SMAで米側は韓国に支出内容を伝えることとなった。次回交渉でもこの問題が再び表に出ることは文の所属党が多数となっている構造を考えると確実だろう。
米国の大きな懸念はソウルによる自国防衛負担を増やすことだ。この視点は現政権の以前から存在しているが、トランプ大統領にとって重要な点だ。大統領候補者としてのトランプはソウルが同盟経費の「100パーセント」を負担しないのなら米国は「離脱を準備」して韓国に「自分で自国を守らせる」べきと発言していた。大統領になったトランプは同盟国の負担増を外交政策の柱としており、SMA協議でも引き下がることはないだろう。
興味深いのは米大統領にとって韓国大統領が理想的なパートナーに写ることだ。トランプ、文は北朝鮮対応で大きく見方が離れているが韓国が自国防衛でもっと責任を果たすべきという点では共通している。ハト派と見られることが多い文だが2018年度は国防予算を7パーセント増額要求している。また米国に韓国のミサイル能力の制限を解除して原子力潜水艦の調達までも認めさせている。
文が韓国軍の戦力強化に関心を示す理由は戦時作戦統帥権wartime operational control (OPCON)を韓国軍に戻すためだ。朝鮮戦争時に米軍がOPCONを掌握し、戦時統帥権返還は韓国軍の戦力整備に応じて考えるとしていた。文大統領を支持する韓国左翼勢力の基本は韓国ナショナリズムの信奉者でありOPCONは主権問題とつなげて考えている。
ナショナリズムで共通する大統領二名が次回の費用負担交渉で角を突き合わせる様子の想像は難くない。トランプ大統領は韓国で不評で、外交的に受け入れられないコメントを出せば韓国内の反米感情に火をつけかねない。文大統領の左翼支持派は米国への信頼を捨てており、厳しい交渉取引に大統領を追い込みかねない。双方が世論から誤った方向に追いやられたりソウルの抗議デモで同盟関係が後味の悪いものになる可能性は簡単に現実のものとなる。
ただしトランプと文の組み合わせから希望が持てる可能性も生まれる。文大統領が国防支出を増額させるため基地の運用経費や人件費の米側負担が軽くなる。韓国のように豊かになった国には極めて妥当な選択であり、日本のように米国との同盟関係でもっと高い負担をしている国もある。負担共有の強化で相互に恩恵が生まれるのは米製装備の導入で韓国は同盟関係維持の負担の一部と考えればよいのだ。ハイテク米製軍事装備の導入は文大統領が目指す韓国軍の強化と戦時OPCON返還とも一致する。
同時に高性能装備品を韓国に販売し戦時統帥権を韓国軍に戻す米国の善意を無条件で与えてはならない。文大統領が言ったように米国は韓国の承認なしで北朝鮮を攻撃できなくなるので、米国は朝鮮半島に駐留する限り軍事面の意思決定の一部でも権限を維持すべきだ。つまり米軍は韓国が一方的に開戦しても戦闘に自動的に巻き込まれないようにすべきだ。
要するにソウルとワシントンそれぞれの政府が今後のSMA交渉で同盟関係を危機に陥らせないように北朝鮮脅威に正確に焦点を合わせるべきだ。それ以外に両国は同盟関係を更新して将来も長く維持できるように手はずを整えるべきだ。

Leon Whyte (@Leon_Whyte) is the Research Coordinator at the Nonproliferation Policy Education Center, where Zachary Keck (@ZacharyKeck) is the Wohlstetter Public Affairs Fellow.
Image: Reuters

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...