では本当にロシアが海底ケーブルを切断したらどうなるか。点にご関心の向きは以下をご覧ください。米誌Wiredの記事です。
WHAT WOULD REALLY HAPPEN IF RUSSIA ATTACKED UNDERSEA INTERNET CABLES
ロシアが海中インターネットケーブル線を切断したらどうなるのか
デンマークを通過するロシア原子力潜水艦Dmitrij Donskoj July 2017.
01.05.18
07:00 AM
悪夢のシナリオになる。テロリスト集団あるいは極悪国家が世界のインターネット利用を妨害しようと海中の光ケーブルを切断したとしよう。
米海軍は何年も前からロシアが海底ケーブルを攻撃対象にしたら大変な事態になると警告している。ロシアがケーブル敷設場所付近をうろつくのが目撃されている。英国の最高位軍人も12月にロシアが回線を切断すれば「ただちに壊滅的になる可能性のある」効果が生じると述べた。NATOは冷戦時と同様の指揮所を復活させロシアのケーブル付近での活動状況を北大西洋で監視しようとしている。
グローバルに伸びるインターネットが使用不能になれば、恐ろしいことだ。だがロシア他がケーブル数本を切断してもその結果は軍部が言うほどの結果にならないと述べる専門家もいる。確かに世界のインターネットインフラは脆弱だが最大脅威はロシアではない。
「妨害工作でケーブルが妨害工作を受ければ不安だというのは誇張しすぎだ」と語るのはニコール・スタロシエルスキ Nicole Starosielski・ニューヨーク大教授でインタネットケーブル研究に詳しく著書もある。「システムの作動原理を理解して正しく攻撃されればシステム全体が妨害される。しかしその可能性は極めて小さい。懸念と恐れは理解できるが実際の脅威とは全く違う」
たとえばケーブルの亀裂は普通に発生している。推定428本ある海底ケーブル世界網では毎日どこかで損傷は発生している。ほぼ全数が事故であり意図的ではない。海底地震、地滑り、投錨や舟艇による損傷だ。だからと言ってケーブルの人為的妨害が不可能なわけではない。ヴィエトナム沖合で2007年に漁民が27マイルに及ぶ光ケーブルを引き上げてしまい、数か月もインターネット運用に影響が出たことがある。(この場合も途絶ではない。同国はもう一本ケーブルが利用できたためだ)
ケーブルに故障があっても気づくことはない。とくに米国のような国に暮らすと利用中のサービスはただちに別ルートに迂回するためだ。ルーマニアのような国に住む友人とスカイプでやり取りしている間に漁船あるいは錨がケーブルを裂くと三分の二までなら作動し、通話は単純に別回線を介して続く。ヨーロッパ、米国、東アジアでは多数のケーブルが同じ経路上に走る。地図で確認したい向きはhereここをクリックしてほしい。
つまりロシアが大西洋でケーブル数本を切断すべく潜水艦を位置につけても世界規模でのインターネット運用にほとんど影響を受けない。仮に大西洋のケーブルを一本ずつ全部切断してもすべて太平洋経由に迂回される。
「作動状況は最高といかず通信品質も下がりますが全くの不通になりません」と語るアラン・モールディンAlan Mauldin は市場調査企業TeleGeographyの調査部長だ。同社は通信分野とくに海底ケーブルを専門とする。
仮にロシアが米国両岸の敷設ケーブル全部を切断したら、インターネットは光速で作動しなくなる。米国国内では地上線を活用できるが海外通信は利用できなくなる。
「海底ケーブル全部を喪失しても米国内ならメールは送れるでしょう。ただヨーロッパではアメリカらフェイスブックに投稿した内容は見られなくなります」(モールディン)
故障は日常茶飯事のためケーブル修復船が世界各国の海域で活躍している。もしロシアが切断に動けばこうした船舶が直ちに修理する。またロシアによるケーブル攻撃の仮説だが自国民も被害の対象になる。「ロシアにも損害が生まれ、しかもアメリカへの打撃以上になるのでは。というのはコンテンツの大部分は現地に局部的に蓄積されていますから」と上級アナリストのジョナサン・ヒヘンボ Jonathan Hjembo が述べる。
だからと言って世界の海底ケーブルに危険がないわけではないし、防護が不要でもない。アフリカや一部東南アジアのようにインターネットインフラが貧弱な地域で要注意で、故障が発生すれば影響はもっと深刻でインターネットが遮断されかねない。
「ケーブル損傷は深刻な問題ですが、ケーブルへのアクセスが困難な場所では接続が困難になるでしょう」とモールディンが述べる。2011年に地中のケーブルを老女がスライス状に切断してアルメニア全土でインターネット接続が遮断された事例が発生している。この時の衝撃は大きく、アルメニアに代わりジョージアが同国のアクセスほぼ全部を肩代わりし、文字通り一本のケーブルに同国は全部依存していることがあきらかになったことがある。
ケーブル一本が文字通り「死活」を握ることもあり、例として一部では海底ケーブルは多数国との国境線付近の狭い場所を通る。マラッカ海峡や紅海がその例だ。こうした場所では投錨のリスクが大きい。また地政学的な紛争による影響もあり、ケーブルに関心を寄せる国や企業が多数あらわれる。
ケーブル多数のハブとなる場所もあり、こうした場所がリスクだ。エジプトの海底ケーブルが断裂すれば、世界のインターネットの三分の一が使えなくなる可能性をスタロシエルスキの研究が明らかにしている。ブラジル北部のフォルタレザは海底ケーブルの一大拠点で南北アメリカを結ぶ地点になっており、同地が侵入されればブラジルから米国へ往復するデータ全部が取られてしまう。
世界規模のインターネット危機は投錨ではなく政策の誤りから大きな危険にさらされる。2011年の例としてスタロシエルスキはインドネシアが同国水域内のケーブル修理にはインドネシア国籍技術者の乗った船しか投入できないと要求してきた。問題はそのような船が存在しないことで、修理が大きく遅延すると影響は同国のみならず付近を経由する通信全体にあらわれた。
ロシアによるケーブル断裂事故は一件も発生していない。プーチンは少なくとも今は海底ケーブルに手をかけていないようだ。その一方でわれわれはインターネットインフラの脆弱性解決に努力すべきだ。■
仮に全部切断しても米国には影響がないということですか。であればロシアの狙いは通信線の遮断ではなく、サイバー攻撃や情報の盗み取りでしょうか。いずれにせよ全艦がケーブル線にかかりきりになるわけでなく、言われるようなインターネット暗黒時代は到来しないようですね。
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