Should Americans Care More about South Korea than America?
自国を差し置いて韓国を心配する理由がアメリカにあるのか
January 21, 2018
ハワイのミサイル警報誤報騒ぎで米国民に改めて同盟国の安全保障が自国より重要視されているごとき状況で米国が支払う代償が増えてるのを痛感させられた。同盟関係維持の目的は米国防衛効果を強めることにあるが、韓国防衛の姿勢堅持が米本土への核攻撃につながる可能性もある状況だ。
韓国との「相互防衛条約」は冷戦で生まれ当時の米国はソ連と世界でしのぎを削っていた。米国にとって世界のいかなる場所であれ失うことはソ連の勝利につながった。韓国が論点となったのは朝鮮半島が米国にとって重要だったと言うよりも韓国が超大国間のグレートゲームの一部だったからだ。
この変化はソ連崩壊がきっかけだ。その後の南北朝鮮間の競合は地域対立の一つになった。朝鮮半島での開戦の代償は通常の地域紛争より高いとはいえ特別の存在でもない。イラクによるイラン侵攻、ザイールの崩壊はともに恐ろしい結果を生んだ。それでもワシントンは朝鮮半島への姿勢は一つも変わらず、引き続き部隊を配備してきた。
さらに重要なのは韓国はとうの昔に北に対して優勢になっていることだ。経済力では45対1、人口は2対1、技術力でも大きくリードし、国際社会の地位も差が開き、国力指標ほぼ全部で韓国が優位だ。韓国は自力では貧弱かつ孤立した北の侵攻を食い止められないと信じ込ませているにすぎない。中国やロシアが北朝鮮を支えなければ、韓国は他国支援を仰ぐ必要はない。
ではワシントンが米国の信用をかけ富と国民の生命のリスクまで侵して韓国防衛を確約する理由は何なのか。外交政策は常に変化する安全保障環境を反映すべきだ。米国による1953年の韓国防衛の誓いは2018年にはほとんど意味がない。60年以上前の条約を永遠に存続し変更不能のものと取り扱い、状況変化に目をつぶるのは愚かとしかいいようがない。
少なくとも現時点では米政策立案部門は武力衝突が「向こう側」での出来事なので救われるだろう。軍服を着るものが死んでも米国民は本土で安心できればいい。だがこれはもはや正しくない。
朝鮮人民民主主義共和国が信頼性の高いICBMを製造すれば紛争は「こちら側」に飛び火する。世界各地に米軍を派遣し他国の地で死と破壊を広げてきた政策立案部門には許容範囲を超えた恐ろしい可能性だろう。今や海外の「取るに足らない紛争」で米国本土の国民がリスクを負担する可能性がでてきた。
平壌が封じ込められ抑止されたままでいるとは思えない。だがこれがワシントンの求める政策解決策ではない。あくまでも北朝鮮攻撃に正当な根拠を見つけようとしている。あるいは米国が各地で何度も企ててきたように政権崩壊でもよい。トランプ政権が北朝鮮の核開発を恐れるのは金正恩が米本土に自殺攻撃を企てると見るためだ。米国に対して抑止効果を北朝鮮が持つことに我慢ができないのだ。北朝鮮と対戦すれば米国は破壊的な反撃を余儀なくされる。
そうなれば韓国防衛は韓国に任せるのが解決策だ。韓国に北朝鮮攻撃を抑止させればよい。韓国防衛は韓国の責任であり米国以上の責任を韓国がすべきだ。米国が北東アジアの平和を切望するのは韓国の国民の安全と友好以外に主要国がならぶなかで地域内秩序を維持し、経済の大きな流れを止めないためだ。これで米国本土が安全になる。
ただし金正恩が核兵器で無理やり半島統一を迫ってきたらどうなるのか。実現の可能性が高い北の政策目的だが観測にすぎない。西側ではこの選択を実施しても金正恩は目的を達せられないとの見解が大部分だ。金一族は悪の存在だが同時に現実主義者でもある。祖父は南の併合を再度試みず、父は一度も試していない。
現在の最高指導者は核兵器開発と並び経済発展を強調している。ビョンジン並行開発策であり、祖父、父親が経済発展や国民生活を犠牲にしたのと対照的だ。その意味で金正恩にも平和の維持は半島南部の奪取とともに重要な目的だ。
平壌を抑止できないと信じる理由もない。再統一しても北の首都やDPRKの価値観が「火の海」に沈んでしまっては意味がない。
米国は核抑止力を提供している。しかし北の核開発がさらに進展すれば米国自体が南北朝鮮の対立に巻き込まれていいのかという問題意識が強まるだろう。代替策があればこの疑問がさらに強まる。代替策とは韓国による核抑止力の整備だ。
これでは望ましい結果にならないが、唯一の望ましい解決策とは交渉によるDPRKの武装解除であり、実現可能性が皆無だ。対照的にワシントンへの最悪の結果は他国が米国本土を人質にすることだ。現在のままだとこうなる。
口だけの脅かしなら代償は発生しない。現政権はホノルル消失のリスクを覚悟すべきか腹を決める必要があろう。本当にミサイルが飛んで来たらどうなるか。あるいはロサンジェルス、シアトル等の都市ならどうなるか。何のために危険を冒すのか。友邦国を守っても米国自身の安全が脅かされていいのか。
韓国軍の核兵器は最善の選択肢ではないが、残りの北朝鮮向け政策すべてでも同じだ。韓国自身に抑止力を持たせるのはその他の選択肢よりましかもしれない。平壌も武力による半島統一を断念するだろう。中国も北朝鮮を思いとどまらせ、核兵器拡散が日本や台湾にまで続くことを食い止めようとするはずだ。核兵器保有を韓国国民の三分の二が支持するのは米大統領が米国人数百万人の犠牲を覚悟してまで韓国を防衛してくれるとは思っていないためだ。
トランプ政権の対北朝鮮政策に目的と手段の混乱が見られる。韓国との同盟関係を米国自身の安全確保の手段と見ている。だが冷戦終結後はこれはあてはまらない。北朝鮮が米本土攻撃能力を整備すればさらに現実と乖離する。
米国がDPRK攻撃の脅威を与えなければ北朝鮮が米国を脅かす理由がなくなる。平壌は韓国侵攻を企画しているのか。うかがい知ることができないが、韓国防衛は韓国の仕事だ。トランプ政権は同盟関係と部隊駐留を段階的に解消し、ハワイ当局が本当にミサイル警告を出す状況が現実にならないよう努めるべきだ。■
Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute. A former Special Assistant to President Ronald Reagan, he is author of Tripwire: Korea and U.S. Foreign Policy in a Changed World and coauthor of The Korean Conundrum: America’s Troubled Relations with North and South Korea.
Image: A South Korean air force F-16 Fighting Falcon aircraft takes off for a sortie at Eielson Air Force Base, Alaska, Oct. 15, 2014, during Red Flag-Alaska 15-1. Red Flag-Alaska is a series of Pacific Air Forces commander-directed field training exercises for U.S. and partner nation forces, providing combined offensive counter-air, interdiction, close air support, and large force employment training in a simulated combat environment. (DoD photo by Senior Airman Peter Reft, U.S. Air Force/Released) / U.S. Department of Defense Flickr
韓国が核兵器を持つことは日本にとって望ましくないですね。米国が韓国を十分な実力を持つ国と認めたとしても今回の五輪協議のように北朝鮮にとって南は熟した果実のような存在でしかも御しやすい相手にすぎません。国力よりも政治的な意思、思考訓練の差が歴然としています。北朝鮮は連邦制度を提唱し、南を事実上支配下に置くでしょうし、金正恩が大統領になる可能性さえ出てくるでしょう。どちらに転んでも朝鮮半島のせいで世界が迷惑するのはたまらないというのが米国インテリの見方でしょうが、そんな国をお隣に持つ日本は不幸としかいいようがないではないですか。と言って目をつぶることもできず、韓国が国力を有しながら意思の欠如で埋没していく歴史を目撃するしかないのでしょうか。
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