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中国を最大脅威ととらえた米国防総省作成の軍事戦略構想

Mattis’ Defense Strategy Raises China To Top Threat; Allies Feature Prominently

マティス長官の下でまとめられた国防戦略では中国を最大の脅威とし、同盟関係を強調
By COLIN CLARKon January 18, 2018 at 2:58 PM
ランプ政権による初の国家防衛戦略National Defense Strategy(NDS)はよくまとまった文書でオバマ、ブッシュ政権からの政策転換を示し、中国とロシアを米国の「中心的課題」と位置付けている。
 戦略案の最終原稿に目を通したが両国を専制主義モデルで世界を作り変える勢力ととらえ、他国の思惑を阻む国だと表現。テロ活動は引き続き米軍の懸念対象だがトップ事項ではない。この戦略構想はホワイトハウスがまとめた国家安全保障戦略をもとに組み立てられている。
 中国に特に強い表現を振り向け、南シナ海人工島構築で周辺国への脅威になっていると指摘。
中国の人工島
 ではアメリカはどう対応すべきか。同盟国と一緒に動ける部隊を整備し、「対抗し、抑止し勝利する」べきとする。だがその前に戦略的萎縮で軍事優位性が揺らいでしまった。米軍部隊は世界各地に展開できるものの各所が込み合っている。中国、ロシアに次いで戦略案hでは北朝鮮、イランを戦略上での競合相手として米権益の前に立ちふさがる主要課題ととらえている。
 民生技術の急速な軍用転用で戦闘の基本が変化していると指摘。高性能演算技術、人工知能、自律運用、極超音速、バイオテクノロジーなどで米国は対応が可能となる。
 なかでも興味を惹かれるのが米国が戦略的に予測可能でありながら作戦上は予測不可能であるべきとのくだりだ。まるでジム・マティス国防長官がトランプ大統領の人柄を財産にとらえているように聞こえる。一方で第二次大戦後から一貫した姿勢も見られる。つまり米国による国際自由政治体制の維持に同盟諸国が中心の役目を果たしてきたことだ。
 報告書では2ページを割いて米国にとって同盟関係の重要性を説いており、不確実性を増す世界において不可欠な要素だとするのは同盟各国にはうれしい内容だろう。さらに多国間の仕組み(国連)やNGOが追加的手段として米権益を支えるとも述べている。
 オバマ政権による太平洋重視政策には言及がないが、この戦略ではインド太平洋地区の同盟関係協力関係の強化につながる。またNATO強化も訴えているのは米安全保障に死活的なためだ。もちろんヨーロッパ各国が攻防支出を増やすべきとの主張もあり、この点はホワイトハウス筋が強く求めてきたのだろう。
 国家防衛戦略とは政策文書ではないことに注意が必要だ。ペンタゴンの予算手続きである企画、立案、予算、執行(PPBE)で重要な位置を占めどの部分以どれだけ支出すべきを述べている。NDSの内容は大部分が秘密扱いで一般が目にすることができるのは総括部分のみだ。
国家軍事戦略の予算編成上の位置づけ
 近代化が待ったなしの分野として、核戦力、宇宙サイバー、C4ISR、ミサイル防衛、高度自律装備を上げている。
 原案ではマティス長官が署名入りでこの戦略で長官が「緊急に変化させようとしている」内容を重視していると解説。秘密扱い内容が公開部分と同様に明確に説明していればホワイトハウスと議会による法案成立につながり、アメリカには軍事力の再構築とともにグローバルな同盟関係のネットワーク作りで有効な刺激が必要だ。■

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