Uncredited
ロシア極東地区の歴史的な部隊が最初にSu-57を受領する
何度も延期され、何度も災難に見舞われてきたロシアの新世代戦闘機Su-57フェロンが、前線運用に向かう。ロシア航空宇宙軍(VKS、ロシア語の頭文字)の中で、新型戦闘機を最初に受け取るのは、ロシア極東のコムソモルスク・オン・アムール近郊ディジョムギDzyomgiの第23戦闘航空連隊(Istrebitelnyi Aviatsionnyi Polk、IAP)。しかし、最新鋭機が通常の戦闘任務を遂行できるまでかなりの時間がかかりそうだ。
連隊副司令官のイリヤ・シゾフ中佐Lt. Col. Ilya Sizovは11月、東部軍管区紙「スヴォロフスキー・ナティスク」に、同隊のパイロットは現在、リペツクLipetskの乗員転換センターでSu-57の理論訓練中、と述べた。リペツクの第4航空要員準備・軍事評価センターは、戦術戦闘機の初期ロットの軍事評価を行い、パイロットに航空機の戦闘応用を訓練し、戦術を開発するのが任務だ。
シゾフ中佐は、スヴォロフスキー・ナティスクの取材に、パイロットの理論的な訓練(実践的と異なる)を言及している。23人のIAPパイロットの第一陣が、フェロンを完全に使いこなすまで長時間がかかることを示唆している。
2022年5月、リペツクに向かうSu-57二機がノボシビルスクから出発。 NSKPlanes
ディジョムギ飛行場は、23IAPとスホーイ・コムソモルスク・オン・アムール航空工場(KnAAZ)が共同使用している。かつてSu-27戦闘機を生産していたが、現在はSu-35とSu-57を生産していギる。製造工場が併設されていることで、新機種の運用サポートに適しており、製造工場から専門家が応援に駆けつけてくれる。そのため、1985年にSu-27戦闘機を、2014年にSu-35Sを、そして2023年にはSu-57をディジョムギ連隊が最初に受領している。
ディジョムギ飛行場は、23IAPとコムソモリスク・オン・アムール航空工場が使用している。 Google Earth
Su-57は何機あるのか?
2010年から2017年にかけ生産されたSu-57(旧名T-50)の試験10機を経て、2018年8月22日、スホイはVKSから量産前機体を、2019年と2020年に2機受注した。うちの1機は、2019年12月24日の引き渡し飛行中に、飛行制御システムの不具合で墜落した。1年後の2020年12月、尾翼番号「01」の2号機は、ロシア軍に正式に引き渡された最初のSu-57となり、アクチュビンスクのロシア国防省第929国家飛行試験センターに配備された。
コムソモルスク・オン・アムールからアクチュビンスクへのデリバリーフライトのために準備されるSu-57。 Russia 1 TV
Su-57の大口受注は2019年6月27日、国防省が2021年から2027年にかけ納入予定の76機の契約を締結したことによる。スケジュールでは、2021年と2022年に各4機、その後2023年と2024年に毎年7機、そして2025年、2026年、2027年に各18機の生産の予定だった。最初の4機はリペツクの乗員転換センターに引き渡され、24機ずつの3つの作戦連隊が完成する予定であった。
Su-57プログラムの多くと同様に、計画の実施もまた遅れた。2021年生産の最初の2機(「02」と「52」)は同年2月に、残りの2機(「53」と「54」)は2022年5月に引き渡された。つまり、軍は現在5機を保有しており、「01」「02」はアクチュビンスクに、「52」「53」「54」はリペツクにある。2022年に計画され、ディジョムギの連隊のために用意される4機は、おそらく2023年の初めに用意されることになるだろう。
初期シリーズのSu-57「01」、2021年1月、アクチュビンスクにて。 Russian Ministry of Defense
シリーズ生産と並行し、機体改良も行われている。2022年10月21日、Su-57「511」(T-50-11)が近代化後の飛行試験を開始した(原型は2017年8月6日に初飛行した)。公式発表によると、「機能拡張、知的乗員支援、幅広い新型兵器の使用可能性を備えた搭載機器一式がテストされた。また、第2段エンジンの搭載も可能である」とある。全体として、近代化の範囲はあまり野心的なものではなさそうだ。特に、提案の完全近代化型Su-57M用の新型エンジン「イズデリー30」は、量産機搭載はおろか、試験運用を開始する準備すら整っていない。
Su-57の大口受注は2019年6月27日、国防省が2021年から2027年の間に納入を予定する76機の戦闘機を受注した。スケジュールでは、2021年と2022年にそれぞれ4機、その後2023年と2024年にそれぞれ7機、そして2025年、2026年、2027年にそれぞれ18機の生産が予定されていた。最初の4機はリペツクの乗員転換センターに引き渡され、残りの1機で24機ずつの3つの作戦連隊が完成する予定であった。
Su-57プログラムの多くと同様に、これらの計画の実施もまた遅れた。2021年生産の最初の2機(「02」と「52」)は同年2月に、残りの2機(「53」と「54」)は2022年5月に引き渡された。つまり、軍は現在5機を保有しており、「01」「02」はアクチュビンスクに、「52」「53」「54」はリペツクにある。2022年に計画され、ディジョムギの連隊向けの4機は、おそらく2023年初めに用意されることになるだろう。
2022年10月21日、アップグレード後の初飛行の準備が整った試験機T-50-11。同機は装備を近代化し、将来的に新型のイズデリイ30エンジンを搭載することが可能。ユナイテッド・エアクラフト社
ロシア国営メディアは、ウクライナ戦争でSu-57を使用すると何度か報じており、10月には、ロシア侵攻作戦の総指揮官セルゲイ・スロヴィキン大将 Gen. Sergey Surovikinが、Su-57について「幅広い兵器を持ち、出撃ごとに空と地上目標の破壊で多面的なタスクを解決する」と発言している。ただしSu-57がウクライナ上空を飛行していないのはほぼ確実だ。ロシアがそのようなリスクを冒す理由はない。もしフェロンが使われたのであれば、ロシア国内奥深くから長距離ミサイルを発射したことになる。
全体として、Su-57の生産と開発の予測は難しい。2022年2月24日のウクライナ侵攻以来、ロシアはまったく新しい政治的・経済的状況に置かれていることに気づかされている。しかし、さらなる遅れが戦闘機に影響を与えることは間違いない。一方、Su-57E輸出版が成功を収める可能性はさらに低くなった。この機体の売り込みは、2018年以来、失敗に終わったままだ。
由緒ある戦闘機部隊
ディジョムギ戦闘機連隊(名前は地元のナナイ語で「白樺の林」を意味する)は、1939年8月に60IAPとして結成された。最初はI-16、次にYak-9(1945年~)、MiG-15(1951年)、MiG-17とYak-25(1955~56年)、Su-15(1969年)、そして1985年からSu-27戦闘機が使用された。2000年には、数ヶ月前に解散したオルロフカの404IAPの人員とSu-27機が、ディジョムギの第60連隊に組み込まれ、同時に部隊名称も23IAPに改められた。
2009年7月、ディジョムギでの第一世代Su-27フランカーB。Vladimir Galkin/Wikimedia Commons
現在、第23連隊はSu-35S単座戦闘機の2個飛行隊(ロシアにおける戦闘機飛行隊は12機で構成)と少数のSu-30SM複座戦闘機の訓練用を保有している。第23連隊はディジョムギ基地に加えて、戦略的に重要な千島列島のイトゥルップ(エトロフ)島にあるヤスニ飛行場にも分遣隊(通常3機のSu-35S戦闘機)を維持している。
ウクライナ戦争における第23次IAP
23 IAPにとって、対ウクライナ作戦への関与は侵攻1カ月前に始まった。2022年1月の末日、Su-35S12機とSu-30SM数機が、ベラルーシのバラナヴィチー空軍基地に到着した。Su-35S戦闘機はツェントラルナヤ・ウグロバヤの22IAPとディジョムギの23IAPから、Su-30SM戦闘機はドムナの第120独立戦闘航空連隊から、3部隊ともロシア極東の空軍・航空防衛第11軍に属している。
戦闘機は、2月10日から20日まで行われた「連合決起2022(Soyuznaja Reshimost)」と呼ばれるロシアとベラルーシの合同軍事演習への参加を口実で、ベラルーシに到着した。ベラルーシ到着後のフランカーは、混成航空団に編成され、その司令官は23IAP司令官のアレクサンダー・ロビンツェフ大佐であった。
2022年2月、ベラルーシのバラナヴィチを離陸するSu-35Sは、可視距離を超えるR-77-1と近接戦闘用のR-73 AAMを装備している。戦闘地域で活動するすべてのフランカー派生機は、翼端にキビニー・ジャミング・ポッドを搭載している。 Russian Ministry of Defense
各機は演習後もベラルーシに留まり、初日から侵攻作戦に参加した。春、キエフ地方での作戦が失敗に終わり、ロシア軍が撤退した後、バラナヴィチのSu-35SとSu-30SM戦闘機はロシアのボロネジ、Su-34フルバック攻撃機を飛ばす第47爆撃機航空連隊の飛行場へ移動した。同地に駐留し、ウクライナ東部国境に近づいた。
Su-35S戦闘機が、ウクライナ軍の支配地域上空を飛ぶことは非常に稀である。例えば、バラナヴィーチーで作戦行動中に、ロシアの戦闘機はA-50メインステイ空中早期警戒機が示したウクライナ機にミサイルを発射したが、一貫してベラルーシ領空内にいた。
同じ状況が東部で続いている。Su-35Sは、ウクライナ戦闘機が使用するR-27(AA-10アラモ)ミサイルに対し、R-77-1(AA-12アダー)、特に124マイル射程のR-37M(AA-13アックスヘッド)空対空ミサイルの優れた能力を活用している。
Su-35Sの翼下にある射程124マイルの空対空ミサイルR-37M。 Fighterbomber Telegram channel
非常に厳しい防空環境で活動することが多いロシアのSu-25フロッグフット攻撃機やSu-34の損失が多いのに比べ、Su-35S戦闘機の損失が少ないことがこれで説明できそうだ。ウクライナ上空でのSu-35Sの損失は1機のみだ。同機はベソベツの159IAPの機体で、2022年4月3日にイジュム付近で撃墜された。
11月1日、ズベズダTVZvezda TV(ロシア国防省系チャンネル)は、パイロットが「長距離ミサイルでウクライナ軍機を撃墜した」と説明する映像を、兵器を特定せず放映した。背景には、エンジン間にR-37Mミサイルを2発タンデムに、エアインテーク下にR-77-1を2発、翼下に短距離用R-73(AA-11アーチャー)を2発、翼下にKh-31PM(AS-17クリプトン)対放射線ミサイルを1発装備したSu-35S戦闘機が映っていた。
自衛のために使用されるKh-31P/PM対射ミサイルは、ウクライナ作戦に投入中のSu-35S戦闘機で一般的な武器だ。通常、Su-35Sは標準装備の空対空ミサイルに加え、地上からの対空脅威に備えKh-31PまたはPMを1発搭載している。パイロットは危険地帯に入る前に、ミサイルのパッシブレーダーシーカーを作動させる。そして、シーカーが敵の地上防空システムの火器管制レーダーを検知すると、Kh-31P/PMミサイルが自動発射される。ロシア国防省が公開したビデオでは、Kh-31の使用方法について、パイロットが「ミサイルは敵の防空システムの放射を検知し、ターゲットを認識・捕捉した後に発射する」と語っている。パイロットは続ける。「ミサイルは素早く信号を捕らえ、距離を計算する。捕捉から発射まで数秒です」。
Su-35S戦闘機がウクライナのターゲットに対して大型の滑空弾を使用している。ボロネジ基地のビデオでは、Su-35Sの1機が3,300ポンドの大型UPAB-1500B爆弾を2発搭載し、別の1機は1,000ポンドの小さいKAB-500M爆弾を4個搭載している姿が映っている。UPAB-1500B爆弾は、飛び出す翼のおかげで、最大31マイルの射程距離を持ち、KAB-500M爆弾は最大25マイルのターゲットを攻撃する。両爆弾とも衛星補正付き慣性航法で誘導され、現在のバージョンではターミナル・ホーミングはない。KAB-500M爆弾とUPAB-1500B爆弾は2019年ごろから生産されている。
ウクライナ侵攻への参加により、23IAPは最近、ロシアで軍部隊で最高の栄誉を受けた。11月17日、ウラジーミル・プーチン大統領は同連隊に衛兵の称号を授与した。また、連隊のパイロットであるヴィクトール・ドゥディン中佐とイリヤ・シゾフ中佐は、ロシア連邦英雄というロシアで最高の個人栄誉を受けた。
23IAPがウクライナ空戦で主導的な役割を果たし続け、航空機と搭乗員は需要がある限り戦闘地域にローテーションされるという兆候はあるが、同部隊がSu-57をいつ本格運用に移すかを予測するのははるかに困難だ。
パイロット第一陣はまだ新世代戦闘機の飛行を開始していないようで、ディジョムギがロシアの最新戦闘機の運用を宣言するまでには、まだかなりの時間がかかると思われる。一方で、ウクライナ戦争の影響で、制裁によるハイテク部品の生産・輸入の制限や、ロシア航空宇宙軍でより緊急な要件にリソースを割り当てる必要性など、Su-57プログラムがこれまで直面してきた困難は、さらに深刻になる可能性がある。■
Su-57 Felon To Enter Service With Elite Russian Air Force Unit
BYPIOTR BUTOWSKI|PUBLISHED DEC 1, 2022 2:07 PM
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。