Leidos
米空軍は、実験機メイヘムで攻撃と情報収集能力の実証をめざしている
米空軍は、極秘のメイヘムMayhem計画の一環として、極超音速飛行体を開発する契約をレイドスLeidosに発注した。これまでに発表された情報では、実験機は、攻撃および情報監視偵察(ISR)の各種ペイロードを運ぶ能力の実証を目的とし、実用プラットフォームにつながる可能性がある。
国防総省の契約通知によると、空軍研究本部(AFRL)が発注したレイドス向け新しい契約は、334百万ドルを上限とする「単発、無期限納入/無期限数量」契約だ。メイヘムに関する最初の詳細は2020年に現れ、このプログラムを先進的な高速ジェットエンジン開発と結びつけていた。昨年、The War Zoneは、Hypersonic Multi-mission ISR and Strikeプロジェクトと正式に名付けられたこの航空機に期待されるミッションセットに、攻撃とISR双方が含まれているのを示す新情報を最初に報告してきた。
2021年12月に空軍がウェブ上で公開したメイヘム契約の一部ではISR、攻撃双方の能力を特記していた。USAF
「このプログラムは、標準化されたペイロードインターフェースで複数ミッションを実行可能な、大型空気呼吸式極超音速システムの実現に焦点を当て、重要な技術的進歩と将来の能力を提供するもの」と、ペンタゴンの契約発表が本日発表した。"作業はオハイオ州のライトパターソン空軍基地、およびその他テストサイトで行われ、2028年10月15日までに完了する予定である。
レイドスのプレスリリースによると、最初のタスクオーダーは、デジタルエンジニアリング(DE)環境でのシステム要求審査(SRR)と概念設計審査(CoDR)を2400万ドルで実施する。「スクラムジェットエンジンで推力を発生させ、マッハ5以上の速度で長距離を推進します」。
下に見られる添付のレンダリングは、胴体下の大きな空気取り入れ口から供給される単一のエンジンを持つ、無搭乗の極超音速飛行体に見える。胴体は比較的細長く、デルタ翼と垂直尾翼の組み合わせになっている。もちろん、これは想像図であり、今後6年間でデザインは大幅に変更される可能性がある。
レイドスは、システム設計代理人(SDA)として、Calspan、Draper、Kratos Defense & Security Solutions, Incの各社とチームを結成した。同社プレスリリースによると、「SDAは、政府、産業界、学界の間のパートナーシップを構築し、プロトタイプの設計と製造可能な技術データパッケージの準備に必要な最先端の研究開発を提供するとある。「レイドスはまた、モデルベースシステムエンジニアリング(MBSE)とプログラミングを主導し、メイヘムが構想から運用システムへ確実に移行できるよう支援します。
メイヘムの詳細情報は少なく、The War Zoneは、AFRLとレイドス双方に追加情報を求めている。
わかっていることは、少なくとも2021年12月時点で、AFRLがオンラインで投稿した契約通知によると、「システム目標は、現在の技術能力システムの5倍の質量と2倍ペイロードを運ぶこと」だ。「標準化されたペイロードインターフェースは、同じ極超音速システム内に各種ペイロードを統合する複数の機会を生み出す」。
メイヘムが比較対象とする「現在の技術能力システム」は定義されておらず、同文書は、プロジェクトのより具体的な関連要件は機密と付け加えている。また、当時の契約上限は371百万ドルで、レイドスが受注した契約より37百万ドルほど多かったとある。
同文書には、メイヘムが搭載する3つの具体的なペイロード(一度に1つだけ搭載される)が記載されており、2つは攻撃ミッション関連、1つは「応答性のある」ISRに関連するもの。攻撃用ペイロードは、「エリアエフェクト」と「大型ユニット」とだけ記述がある。
2021年12月の契約文書より。メイヘムプログラムと希望する航空機についての簡単な非機密技術説明。USAF
レイドスのプレスリリースでは、推進源としてスクラムジェットエンジンにしか言及していないが、メイヘムはタービンベースコンバインドサイクル(TBCC)やデュアルモードラムジェット設計など先進高速エンジン技術の開発に結びついている。ラムジェットとスクラムジェットの一般的な問題は、低速で効果的に機能しないことで、通常、適切な速度まで加速するために、ロケットモーターなどの初期ブーストが必要となる。
したがって、スクラムジェットと従来型ジェットタービンを組み合わせて低速飛行する実用的なTBCCは、高速航空機の設計において聖杯のような存在だ。このようなエンジンがあれば、既存の滑走路から通常のジェットエンジンで離着陸し、一定の速度になったらスクラムジェットに切り替え、極超音速に到達できる。
TBCCの概念を示す図。. Lockheed Martin
もちろん、メイヘムは実験機で、その後、先進のマルチモード推進システムを備えたより堅牢な極超音速航空機につながる可能性はある。このプログラムで開発される航空機が、たとえ初期であっても、空軍が以前に示したように、使い捨てを意図しているかは依然不明のままだ。また、過去に同軍は、メイヘムについて、空気呼吸式極超音速ミサイルと極超音速航空機の中間に位置すると表現していた。
他にどのような企業がメイヘム契約の候補に挙がっていたかは不明である。国防総省の契約発表では、合計6案のオファーがあり、レイドスが競争的プロセスで選ばれたとしているが、選に漏れた参加企業の名前はない。
The War Zoneが過去に取り上げたように、空軍のメイヘムに関する説明とその意図する任務は、ロッキード・マーチンのスカンク・ワークスが以前提案したSR-72極超音速機と完全に一致している。2017年から2018年にかけて、同じくスカンクワークスが開発した超音速偵察機「SR-71」を意図的に参照した名称である「SR-72」という想定について、不思議なほど公の議論が盛り上がっていた。これには、10億ドル以下のコストで戦闘機サイズの極超音速機のデモンストレーターを作ることができるというマリリン・ヒューソン前CEOの発言も含まれており、高度な推進システムなど、必要なさまざまな基礎技術が成熟してきた可能性を指摘していた。
提案されたSR-72のレンダリング画像。 Lockheed Martin
SR-72の話題が再燃したのは、大ヒット映画「トップガン:マーヴェリック」の撮影と最終公開の頃だ。この映画では、ダークスターという架空の極超音速航空機が登場する。ロッキード・マーチンのスカンク・ワークスが、同機の設計に協力し、コンセプトは非常に現実的で、少なくともその特徴のいくつかは「単なるフィクション以上のものかもしれない」と述べていた。
ロッキード・マーチンがSR-72を空軍に公開投書したことがきっかけで、ボーイングも「バルキリー」という対抗コンセプトを公開していた。今年1月には、バルキリーから発展したと思われる新しい極超音速航空機の設計モデルを展示したが、理由はまだほとんど明らかにされていない。
ボーイングは、メイヘムと関係があるのかどうかとの質問に対して、「この技術に対する米国政府の将来の要求について推測することはない」とThe War Zoneに回答してきた。
ボーイング社が2022年1月に公開した極超音速航空機の想像図。Boeing
空軍はこれまで、極超音速航空機構想に取り組む他の中小企業、例えばHermeus CorporationやExosonicと、別々のプロジェクトとして関わってきた。11月、Hermeusは、同社のキメラTBCCエンジンが、地上試験でターボジェット部分からラムジェット部分へ移行する能力を実証したと発表した。キメラは、クォーターホースと呼ばれる初期試作機に搭載される見込みで、同社はより大型で堅牢な設計の開発を支援する。
空軍が メイヘムの正式契約を結んだことで、同プログラムに関する詳細と、将来の極超音速攻撃機および ISR機につながる レイドスの設計で、どのような追加情報が出てくるか、興味深いところだ。■
Mayhem Hypersonic Strike-Recon Jet Contract Awarded To Leidos
BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED DEC 16, 2022 8:25 PM
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