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日本が建造を目指す次期イージス艦ASEVsは主に北朝鮮を視野に日本海で展開する構想。米国から注目が集まる

 

Japan Ministry of Defense

イージス・アショア陸上施設2箇所の建造を中止した日本はミサイル防衛専用艦を建造し、レーダーと迎撃能力を強化し配備する

 

衛省は12月23日、2023年度予算で概算要求を発表し、弾道ミサイル防衛(BMD)艦関連で新しい内容が含まれている。日本政府は、特に好戦的な北朝鮮の弾道ミサイルへ効果の高い防御手段として、中止されたイージス・アショアBMD施設の代わりとなる専用艦2隻を建造する。発表には、新級艦船に求める内容を示す、公式コンセプトアートが含まれている。

Naval NewsとUSNI NewsのSam LaGroneがまっさきに報告しているが、防衛省(MoD)は予算要求で、現在の多任務イージス搭載駆逐艦を別任務に活用できるようイージスシステム搭載艦 Aegis system-equipped vessels(ASEV)2隻の建造の必要性を強調している。また、弾道ミサイルに加え、極超音速兵器の脅威にも対応可能な実用性と能力を備えた艦艇の開発を優先すると強調している。

2022年11月18日、ソウル駅で、北朝鮮のミサイル発射実験のニュースを見る男性。Credit: ANTHONY WALLACE/AFP via Getty ImagesCredit: ANTHONY WALLACE/AFP via Getty Images

日本の陸上イージス・アショア構想は、施設2箇所で、弾道ミサイルから包括的に防衛する構想だったが、予算、技術、レーダー照射の健康への影響への国民の反発で、2020年に正式に中止とされた。ASEVは日本のミサイル防衛の懸念に、その大体としてより柔軟で間違いなく生存可能な解決策として導入される。

将来のASEVの仕様の詳細はまだ不明で、MoD報告書は具体的な数値を含んでいない。しかし、The War Zoneは過去に、艦の最終的な大きさの一般的なアイデアを伝えた日本の地元ニュースアウトレットを引用して伝えている。日本経済新聞は、ASEVは全長約690フィート、幅約130フィートになる見込みと報じている。

他の報道では、ASEVは日本のまや級のイージス駆逐艦にもっと近いものになると示唆されている。日本経済新聞のASEVに関するデータと比較すれば、まや級より全長が100フィート以上大きく、幅は57フィート拡大するとわかる。

また、最初の公式レンダリング(本記事のリード画像)は、LPD-17サンアントニオ級水陸両用輸送ドックをベースにした米海軍のBMD艦構想と著しい類似性を持っていることも特筆すべき点だ。以前から浮上している指標も、駆逐艦よりそれに近い設計に合致している。BMD艦は、大量の武器と非常に強力なレーダーで武装し、近づく脅威を座ってスキャンするのが基本任務なので、これは理にかなっている。速度は優先されないが、長い耐久性、通信と指揮統制能力、海上維持能力、武器庫の容量と適応性、信頼性が優先されよう。

LPD-17を原級とする米ミサイル防衛艦の構想図。. Credit: MDA

とはいえ、ASEVは開発の初期段階で、要件や運用上のニーズは未定義か、少なくとも検討の最中と思われる。ASEVの寸法は、開発プロセス中に変更される可能性が非常に高い。

現在、海上自衛隊のイージス艦は、まや級2隻、あたご級2隻、こんごう級4隻の計8隻で構成されているが、このうち、まや級は、あたご級の亜種で、米海軍のアーレイ・バーク級から派生したこんごう級の進化系の最新鋭艦だ。

日本のあたご級護衛艦「あしがら」。Credit: USN

Naval News によれば、各艦を別作戦に解放し、防衛省の予算要求で示された目標を実現するため、日本はASEV2隻に「レイセオンの SM-6ミサイル、12級地対艦ミサイルの艦船発射級派生級、その他未公表の能力」を搭載する設計にする予定とある。しかし、これでは意味がない。まず、SM-3は日本と米海軍の主要BMD兵器だ。日本はSM-3ブロックIIAプログラムで、米国と直接パートナーシップを結んでいる。新規建造艦は、特にSM-3を中心に構築されるはずだ。

さらにSM-6は、対空・対艦能力以外に、終末弾道ミサイル防衛能力も持つため、理にかなっている。これは、ASEVへの対艦弾道ミサイル攻撃に対抗する、あるいはSM-3を通り抜けた弾道ミサイル攻撃を打ち落とすため重要だ。また、SM-6は、限定範囲とはいえ、一部極超音速兵器を迎撃可能な唯一の兵器でもある。極超音速兵器対応については、MoD文書では、開発中の極超音速迎撃ミサイルに利用できる艦船を開発すべきと主張している。

つまり、SM-3はシステムの重要な構成要素で、日本は高い投資をもう始めている。同艦は垂直発射システム(VLS)セルから発射可能なスタンドオフ攻撃兵器を搭載可能となる。

構想図では、VLSセル合計64個が搭載されている。前甲板には8個のVLSセルが6セット、ヘリコプター格納庫の上にも8個のVLSセルが4セット見える。これは単なる基本的な表現であり、具体的な要件ではない可能性があるが、同艦が大級弾倉を備えていることは明らかだ。これは、日本の既存イージス駆逐艦が、幅広い任務をカバーするため多種多様な武器を搭載しているのとは対照的に、ASEVの弾倉のすべてをBMDと極超音速ミサイル防衛に充てる利点を実現する。

日本のBMD対応駆逐艦は、有事やASEVがオフライン時に追加のBMDカバレッジを支援し、連合作戦の一部で他地域にも投入されると想像できるが、ASEVが稼働開始すれば、日常的に非常に重要な本土BMD任務から既存艦を解放する。

2014年、同艦のイージス兵器システムの実射試験中にSM-6ミサイルを発射するアーレイ・バーク級誘導弾駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズ(DDG53)。Photo: U.S. Navy

稼働中の日米両国のイージス艦同様に、今後建造されるASE2隻もイージス戦闘システム(ACS)をベースに構築される。しかし、防衛省文書では、日本のASEVは、イージス・アショアのため調達が予定されていたロッキード・マーチンのAN/SPY-7アクティブ電子走査式航空捜索レーダーを組み込むとある。

Naval Newsによれば、ロッキード・マーチンはSPY-7をASEVに搭載する統合プロセス全体をJ7.Bと呼んでいる。この言葉は、日本のイージス艦に現在搭載されている最新のソフトウェJ7にSPY-7を組み込む構想を示す。J7.Bは、今年9月に海上自衛隊、ミサイル防衛庁(MDA)、米海軍と共同で、SPY-7を活用したASEVのBMD火器管制ループで弾道ミサイルにどう機能するかを実証する試験を実施したばかりだ。

MDA長官ジョン・ヒル海軍中将Vice Admiral Jon Hillは以下述べている。「MDA は、イージス・ベースライン J7.B のハードウェアとソフトウェアで SPY-7(V)1 レーダーを指揮・制御できることを確認し、日本の ASEV が求める BMD 能力をすべて実証しました。「開発と統合での重要なマイルストーンです。ASEV J7.B 版のSPY-7の全体的な取り組みは、コスト、スケジュール、性能の基準を満たすべく順調に進展中。同プログラムは、最新のBMD能力を日本に提供し、増大する地域のミサイル脅威の中で日本防衛に貢献することは間違いありません」。

J7.Bの能力を十分に発揮させるため必要な時間は、ASEV2隻の海上公試までの年月の大部分となると予想される。防衛省文書によると、日本は2027年度までに2隻を建造するようを望んでいる。

USNIニュースは、日本の予算要求では、ASEVは主に朝鮮半島沖の日本海で活動する想定と報じている。北朝鮮が弾道ミサイル活動を活発化させ、ロシアや中国との緊張が高まる中、日本と同盟国にとって、同地域はますます重要になってきている。

以上あわせると、日本は、イージス搭載の新級艦の建造まであと一歩の段階に来ており、防衛省が提供した追加情報では新級艦が日本の将来の弾道ミサイル防衛で柔軟かつ貴重な資産になることを示唆している。■

 

First Rendering Of Japan’s Ballistic Missile Defense Ship Concept Released

BYEMMA HELFRICH, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED DEC 29, 2022 4:20 PM

THE WAR ZONE

https://www.thedrive.com/the-war-zone/first-rendering-of-japans-ballistic-missile-defense-ship-concept-released


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