この話題は以前からお伝えしていますが、背景には西側とは異なる倫理観を持つロシア、中国が人体改造を行っているのではとの危惧があるのでしょうね。それとは別に文中で指摘されているような生物兵器による食糧生産の妨害や水資源の汚染という現実的な課題もあるのでしょう。遺伝子操作とまでいかなくてもエクソスケルトンのような補装具が現実のものとなっている今、軍の兵力が人体の限界から解放される日が近づいているのかもしれません。一方でAIの進展が今後の戦場をどう変えるのかが注目されます。
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WASHINGTON: 米軍上層部は遺伝子操作による人体強化および人工知能を備えたマシンの二つが一番悩ましい政策内容だと認めている。
- 国防副長官ボブ・ワークはこの問題を把握しており、米国は人工知能兵器やその他自動化装備による殺傷は認めないと語っている。ただし人体の遺伝子操作を米軍が実施するかについては言葉を濁し、「実施すれば物議をかもすだろう」とだけ述べた。
- ワシントンポストの人気コラムニスト、デイヴィッド・イグナシウスから敵がロボットに強力な威力を与えることを躊躇しないとしたら米国はどう対抗するのかと聞かれたワーク副長官は「人体機能支援」と「人体機能強化」の違いを説明することであいまいな答えに終始した。前者はコンピュータやセンサーで人体機能を引き上げること、後者は遺伝子改良された人体のことだという。「今のところ、人体機能支援の範囲で考えている」とワークは答えた。
- DARPAの案件をチェックすれば、生物工学部などで最先端のプロジェクトがあり、改良型人体につながる要素が見えてくるはずだ。
- 「各種技術と技法を開発し、遺伝物質の迅速な処理、合成、操作を行うことで、合成生物学の熟成化加速に成功した。合成生物学の応用分野にはオンデマンドによる新薬、燃料、表面塗装剤で生物学的生産を行い、微生物レベルの操作でヒトの健康維持、疾病の予防あるいは治療を可能にすることが考えられる
- 「もし上述の応用が実現すれば、生体上の頑健度や工学操作した生体の安定度が実現する一方で生体の安全の維持向上につながる。本事業は技術開発を促進し、工学操作した生命体の安全な応用での前提条件を形成することであるが、国防総省が関心を有する全領域での応用が必要で、まずは実験室の制御された条件において成立させる」
- 遺伝子工学が浮上してきたのは米国にとって生物兵器が最上位の脅威になっているからだろう (国内の農業生産が目標となるのか、国民あるいは水資源が狙われる可能性がある) 敵のこのような攻撃に対して人員を防護するためには反作用薬や遺伝子強化を組み込んだ特効薬の素早い生産が必要になる。
- もちろん補装具を開発すれば今以上の体力や耐久力、スピードを有するヒトを遺伝子操作がなくても実現できる。
- 記者はセルヴァ大将にこの問題を1月に尋ねており、本人はこう言っていた。
- 「どこで一線を超えるのか、だれがまず一線を超えるのか」とセルヴァ大将は人体へのマイクロエレクトロニクス埋込みの可能性について述べている。「人体改造はどの時点で許されるか。まただれがこれを一番早く実施するのか。これは本当に困難な倫理上の問題だ」と国際的な議論が必要だとし、本人は明らかにジュネーブ条約の改正あるいは追加または全く新しい国際合意の形成を考えていた。
- ボブ・ワーク副長官はそんな議論を歓迎しそうだ。■
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