この記事だとベル案の方が優位に見えますが、実は両案それぞれ欠点もあるのでしょうね。米陸軍は大変な決断を迫られそう。でも敗者も民間向けに大きな需要が狙えるかもしれません。ちょっと待ってください、ではオスプレイはあだ花になってしまうのでしょうか。それにしてもSB>1という呼称は落ち着きませんね。
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Rites of Spring: Mating V-280 Wing And Fuselage
ベルヘリコプターのアマリロ工場(テキサス)は春も真っ盛りだ。新しい生命が順調にいけば9月に生まれる。V-280ヴァラー中型ティルトローター輸送機の主翼部とナセルが胴体部分につながれた。ナセルとはV-280のローター二つを支えるポッドのことでローターを離着陸時に方向転換させる部材だ。
「3月にナセルを主翼に接合させました」と語るのはヴィンス・トービン(ベル高性能ティルトローター機およびV-280事業統括副社長)だ。「4月は各部を機体と同色に塗装しました。主翼と胴体の接合の前段取りをしています」 主翼-胴体の接合で配線、油圧系統、複合材表皮をすべてつなげるのは4月末になると米陸軍航空協会の総会(4月28日-30日、アトランタ)にちょうど間に合う形で大きな進展となる。
V-280はV-22オスプレイより小型だがベルがJMR-TD共用多用途技術実証機として参入を目指す重要な機体だ。JMR-TDは陸軍主導で進める国防総省のFVL次世代垂直離着陸輸送機の第一弾となる。FVLは回転翼機の速力上限と関係なく運航できる垂直離着陸機だ。V-280の巡航速度は280ノットと通常のヘリコプターの二倍以上になる。
ロッキード・マーティンの子会社になったシコルスキーはボーイングと組み別のJMR-TDを自社開発X2(2010年に非公式速度記録290マイル時を樹立)を元に製作中だ。シコルスキー=ボーイングチームはSB>1ディファイアントの最終組み立てを今夏に開始する。同機は同軸ローターと推進プロペラの複合ヘリコプターで高速を狙う。ディファイアント、ヴァラーの両機は2017年中にフライトテストを開始する。
各社とも陸軍UH-60ブラックホークはじめ派生型多数が各軍で運用中の機体の後継機種としての採用ををめざしている。ベルV-280ではまず陸軍採用を期待し、その後海兵隊はじめ各軍への導入を期待するとトービンは語る。
陸軍はV-22となった開発事業から1982年開始直後に抜け、オスプレイは海兵隊、空軍特殊部隊が運用中で、海軍と日本自衛隊がここに間もなく加わるが、高コストと仕様内容から陸軍は関心を示していない。だがベルはあえてティルトローターのV-280で陸軍に目を向けさせようとしている。
オスプレイでは翼端のナセルがエンジン、ローターを回転させるが、ヴァラーのエンジンは翼端に水平方向に固定する。V-280は地上に駐機するとローターは上方を向き、艦上の甲板を排気で傷つけたりガス発火を起こさない。V-22ではこれが発生している。エンジンを水平方向に固定したV-280では機体側面にブラックホーク同様のスライドドアが付き、兵員は楽に移動できる。オスプレイは後部ランプ方式で異なる。またオスプレイのハリケーン並みのローター吹きおろし突風はV-280では発生しない。一方、ヴァラーの最大機体重量は38,000 lbs.でオスプレイの52,600 lbs.と差があるが、V-280ではローター径は35フィートとオスプレイの38フィートとほぼ同じだ。大口径ローターで機体重量が軽いことでローター回転面の風圧はオスプレイの三分の二となり、吹きおろし効果も相応に低くなる。
主翼と胴体が接合したことで、トービンは次は尾部構造の接合だとする。ヴァラーではV字型でオスプレイのH字型と異なる。来年の今ごろはエイビオニクス、飛行制御系コンピュータ、ジェネラルエレクトリックT64-GE-419エンジン二基を装着しているだろうとする。「来年4月に地上走行、9月に初飛行となるでしょう」とトービンは述べた。■
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