高度技術で敵を制圧する相殺戦略構想ですが、敵も同様の手段を講じればこちらはせっかくのハイテクが使えなくなる状況を覚悟しなくてはいけません。しかし状況は待ったなしです。有事には情報データが思ったように流れず、指示待ち人間では状況に立ち行かなくなる。だからシステム信奉もほどほどにということですね。たしかに米国人は自由な行動を勇気をもって実施する特質があると思いますが、中国人だって自由奔放さは半端ではありません。だからこそ統制が必要なのですが。では日本人は? 「想定外」と思考行動が固まってしまい、流動的な戦場の状況に対応できなくなるかもしれませんね。
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Counting On Chaos In The Offset Strategy: SCO
CAPITOL HILL: 国防長官直属の秘密組織、戦略能力開発室(SCO)はハイテク武器の整備を活性化するのが目的だ。だが現時点のSCO指揮官は米上院に対し技術を過度に信頼しないよう警告している。戦時になればすばしこい敵の攻撃を受けてシステムは機能しなくなるとウィリアム・ローパーは述べ、、勝利を収めるの側は混乱状態にうまく適応できる人員がそろっている方だという。このクラウゼビッツ流の現実感には三つの原則がないとペンタゴンが目指す相殺戦略は実現しない。権限分散、自律そして信頼だ。(ローパーの表現ではない)
- 「どうしても中央で統制したくなる傾向がある。司令部にデータをすべて集め、命令を隅々まで伝えようとする」とローバーは上院小委員会でこう話している。だが戦時には「データは分断され、思った通りに流れなくなる」
- どうしてそうなるのか。理由は簡単だ。敵が妨害するからであり、こちらの衛星を使用不能にしたり、ジャミングで通信妨害し、ネットワークにハッキングし、偽情報を流すこともするだろう。(これはロシアの得意技だ) そこで妨害を受けた衛星から切り替え、周波数や接続を変える必要があるとローパーは指摘するが、当然その際の効率は劣化する。そのためネットワークおよび組織の前提では第一線部隊が中央司令部と接触できないまま厳しい事態に直面することがありうる。
- そのため小単位の組織に自由に行動できる権限を与えるべきで、センサーからの情報が常時利用できる前提で外部の監督に頼り切ってはいけないのだ。指揮官は部下を信頼し、自由に行動させる必要があり、細かい指示命令を遠隔地から与えるようなことではいけない。そこで朗報がある。米国の文化風土はこのような行動を許す土壌があり、専制主義に凝り固まった敵とは対照的だ。
- 「最大限の信頼を末端まで許す軍事組織の方が勝利を収める可能性が高い。こちら側に大きな優位性がある分野である」とローパーは述べている。「第一線の操作員と話をすると、米国以外の世界との比較でこの信頼度という優位性があることに気付く」
- 部下を信頼するのは決して難しいことではない。むしろローパーが困難に感じるのはマシンを信頼するように人員を説得することだ。ここで自律性が生まれるが決まる。
- 現在の米軍は無人機を好む傾向があるが、プレデターのような装備は遠隔操作されているのであり、人員が都度判断している。高性能無人機でも常時有人制御を前提としている。だが人による制御や監督は距離を超越してデータが常時流れてくるのを前提としている。この流れが阻害されることをローパーは危惧しているのだ。
- 自律性の高いロボットが自ら判断を下せば遠隔地にいる要員にセンサーデータを常時送信する必要がなく、操作指示のデータ受信も不要だ。自律運用が前提なら使用する帯域も少なくて済むし、ネットワークが攻撃を受けても回復力を発揮できる。
- 「パイプが短いほうが防御しやすい」と語るのはスティーブン・ウェルビー国防次官補(技術研究)で、ローパーと並んで証言している。最近行ったペンタゴンで有人、無人双方の装備を運用シミュレーションしたところ、「通信帯域を大幅に減らすための興味深い方法が見つかった」という。その結果として「自律型装備は信頼度が低下したネットワーク環境でも作動できることがわかった」という。
- ロボットをそこまで自由に行動させる前提はロボットを信頼することだ。ウェルビーによればその基準とは「まずこれから行うべき事項を信頼し、その結果を実施後にチェックすることだ」という。■
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