スキップしてメイン コンテンツに移動

ハイテク戦の混乱状態こそ人員の資質が試される場になる 第三相殺戦略との関連


高度技術で敵を制圧する相殺戦略構想ですが、敵も同様の手段を講じればこちらはせっかくのハイテクが使えなくなる状況を覚悟しなくてはいけません。しかし状況は待ったなしです。有事には情報データが思ったように流れず、指示待ち人間では状況に立ち行かなくなる。だからシステム信奉もほどほどにということですね。たしかに米国人は自由な行動を勇気をもって実施する特質があると思いますが、中国人だって自由奔放さは半端ではありません。だからこそ統制が必要なのですが。では日本人は? 「想定外」と思考行動が固まってしまい、流動的な戦場の状況に対応できなくなるかもしれませんね。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 Counting On Chaos In The Offset Strategy: SCO

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on April 12, 2016 at 6:03 PM
CAPITOL HILL: 国防長官直属の秘密組織、戦略能力開発室(SCO)はハイテク武器の整備を活性化するのが目的だ。だが現時点のSCO指揮官は米上院に対し技術を過度に信頼しないよう警告している。戦時になればすばしこい敵の攻撃を受けてシステムは機能しなくなるとウィリアム・ローパーは述べ、、勝利を収めるの側は混乱状態にうまく適応できる人員がそろっている方だという。このクラウゼビッツ流の現実感には三つの原則がないとペンタゴンが目指す相殺戦略は実現しない。権限分散、自律そして信頼だ。(ローパーの表現ではない)
  1. 「どうしても中央で統制したくなる傾向がある。司令部にデータをすべて集め、命令を隅々まで伝えようとする」とローバーは上院小委員会でこう話している。だが戦時には「データは分断され、思った通りに流れなくなる」
  2. どうしてそうなるのか。理由は簡単だ。敵が妨害するからであり、こちらの衛星を使用不能にしたり、ジャミングで通信妨害し、ネットワークにハッキングし、偽情報を流すこともするだろう。(これはロシアの得意技だ) そこで妨害を受けた衛星から切り替え、周波数や接続を変える必要があるとローパーは指摘するが、当然その際の効率は劣化する。そのためネットワークおよび組織の前提では第一線部隊が中央司令部と接触できないまま厳しい事態に直面することがありうる。
  3. そのため小単位の組織に自由に行動できる権限を与えるべきで、センサーからの情報が常時利用できる前提で外部の監督に頼り切ってはいけないのだ。指揮官は部下を信頼し、自由に行動させる必要があり、細かい指示命令を遠隔地から与えるようなことではいけない。そこで朗報がある。米国の文化風土はこのような行動を許す土壌があり、専制主義に凝り固まった敵とは対照的だ。
  4. 「最大限の信頼を末端まで許す軍事組織の方が勝利を収める可能性が高い。こちら側に大きな優位性がある分野である」とローパーは述べている。「第一線の操作員と話をすると、米国以外の世界との比較でこの信頼度という優位性があることに気付く」
  5. 部下を信頼するのは決して難しいことではない。むしろローパーが困難に感じるのはマシンを信頼するように人員を説得することだ。ここで自律性が生まれるが決まる。
  6. 現在の米軍は無人機を好む傾向があるが、プレデターのような装備は遠隔操作されているのであり、人員が都度判断している。高性能無人機でも常時有人制御を前提としている。だが人による制御や監督は距離を超越してデータが常時流れてくるのを前提としている。この流れが阻害されることをローパーは危惧しているのだ。
  7. 自律性の高いロボットが自ら判断を下せば遠隔地にいる要員にセンサーデータを常時送信する必要がなく、操作指示のデータ受信も不要だ。自律運用が前提なら使用する帯域も少なくて済むし、ネットワークが攻撃を受けても回復力を発揮できる。
  8. 「パイプが短いほうが防御しやすい」と語るのはスティーブン・ウェルビー国防次官補(技術研究)で、ローパーと並んで証言している。最近行ったペンタゴンで有人、無人双方の装備を運用シミュレーションしたところ、「通信帯域を大幅に減らすための興味深い方法が見つかった」という。その結果として「自律型装備は信頼度が低下したネットワーク環境でも作動できることがわかった」という。
  9. ロボットをそこまで自由に行動させる前提はロボットを信頼することだ。ウェルビーによればその基準とは「まずこれから行うべき事項を信頼し、その結果を実施後にチェックすることだ」という。■

コメント

このブログの人気の投稿

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★イージスアショア導入でミサイル防衛体制強化を目指す日本

LEAH GARTON—MISSILE DEFENSE AGENCY

防衛大綱にまで記述している以上イージスアショアの導入は固いところです。が、文中に指摘あるように対外有償軍事援助=販売として許認可を持つのは米政府ですので、今後の米中関係など他の影響も考慮すべきでしょう。ただし、中国の反対意見は無視するとしても、中国が沖縄と同様に国内反対派に火をつけることのほうが怖い気がしますが。
Japan May Acquire Aegis Ashore To Defend Itself From North Korean Missiles日本がイージスアショア導入を検討中。北朝鮮ミサイル防衛を目指す。The system is especially well suited for Japan's strategic needs, but China would not be pleased with seeing it setup on Japanese shores.日本の戦略的ニーズにぴったりだが、導入されれば中国がたまっていないだろう。BY TYLER ROGOWAYMAY 5, 2017 http://www.thedrive.com/the-war-zone/10012/japan-may-acquire-aegis-ashore-to-defend-itself-from-north-korean-missiles
日本がイージスアショアミサイル防衛装備の導入で北朝鮮弾道ミサイル脅威に効果的対応が可能になるか検討を急いでいる。 THAAD導入も検討したがイージスアショアの有効距離が大きいことで日本の地理条件に合い戦略上の狙いにも合致すると判断した。またイージスアショアが日本のミサイル防衛能力装備の水上艦と相互運用性がありセンサー、発射装置、迎撃体、運用方法を共通化できることも好条件だ。 価格も問題だ。ジャパンタイムズは「THAAD一個部隊は1,250億円で全土防衛に6隊が必要だ。イージスアショアは800億円程度で二個編成で同じ面積をカバーできる」と伝えている。イージスアショアはPAC-3ペイトリオット部隊と陸上配備ミサイル防衛の二重構成とし、短距離、中距離弾道ミサイルが大気圏再突入後に迎撃する。 イージスアショアはルーマニアのデヴェセルに導入済みだ。AP 日本の地理条件…