中国国内向けだから版権も著作権も関係ないというのが制作側の考えなのでしょうが、今やこうして世界がすぐその内容を知ってしますのですから、中国政府の姿勢はかなり遅れているとしか言いようがありません。コメディとしてYouTubeにアップロードされると娯楽にはいいかもしれません。とはいえ、こうして大衆は教育されていくとしたら恐ろしいですね。ただし、中国人には多様な価値観があるようで、健全な意見も散見されるのが救いでしょうか。
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China’s Latest Bizarre Propaganda Videos Use Batman and Mr. Bean to Explain State Secrets
スーパーマン、ジョーカー等のポップカルチャーの人気者が中国のオンラインプロパガンダ宣伝に登場している。本日4月15日は新たに制定した全国安全教育日として国家機密保護の重要性を訴える記念日だ。
- この機会に国家保安省がアニメビデオを製作し、ポップカルチャーで政府の意思を伝えようとしている。ジェイムズ・ボンドなどハリウッド映画の登場人物を使ったヴィデオ作品5作で国家安全保障での党基本方針を防諜法と国家安全保障法(2014年、2015年それぞれ成立)の側面から解説している。内容は奇抜としかいいようがない。
- あるストーリーでは国家安全保障法を説明し、一般市民に外国人スパイを摘発するよう勧める。「特殊部隊、FBI、CIA以外にもスーパーマン、バットマン、アイアンマン、スパイダーマン、キャプテンアメリカもスパイだ」とナレーションが入る。「だが海外各国ではスパイ活動は国家安全保障にとって小さな要素に過ぎない。各国で中国に対抗する安全保障関係者たちは魔法の力も鋼鉄の肉体ももっていない」と述べている。「失業」や「一時解雇」のイメージが出ると上に示したスーパーヒーローたちが泣いている画像に切り替わる、つまり、正体を隠した有名人や外国人が国の安全を脅かすというのだ。
スーパーヒーローも要点解説に動員(iFeng)
- 別のエピソードでは一般市民に国家の安全を脅かす行動をとらないよう訴えている。たくましい腕の赤ちゃんがジョーカーの犯罪現場を撮影し、官憲に報告すると、ジョーカーは直ちに逮捕投獄される。「国家の安全を脅かす行為を見つけたらただちに関係当局に報告し、証拠を持参してください」とナレーションが入る。
- 笑いを狙ったのか真剣に訴えようとしているのか区別できない。ナレーションでは新法成立を告げ、30秒にわたりコリン・ファース主演の映画キングスマンが現れる。
- 「スパイの道具はここまで進歩して傘が武器になっています」のナレーションでファースが傘から銃弾を発射する場面を映す。「でも我が国の安全保障法は20年間同じままでした。2014年11月に新しい防諜法が遂に登場しました」
- またビデオ内ではほかのポップカルチャーの引用も見られる。ナレーションがビデオゲームのワールドオブウォークラフトの決まり文句を叫び、ジャック・マー(アリババ創設者)のように中国へ世界の関心を集める努力を呼びかける。アドルフ・ヒトラーも短時間ながら登場し、巨大なパンチを受ける。
パンチを受けるヒトラー(iFeng)
- このビデオ作品を見ても何が「国の安全保障」なのか「スパイ活動」なのか説明がほとんどない。これは意図されたことなのだ。中国政府はこれまでも物議をかもす行為を国家安全保障のためと強弁して正当化してきた。スウェーデンの人権運動家ピーター・ダーリンが今年拘留されているが、中国は「中国の安全保障に害をなす犯罪行為に資金提供した」と本人を追及している。
- 一方で中国政府は昨年に海外インターネット企業に中国国内のユーザー情報の記録を国家安全保障を名目に求めてきたといわれる。当初はこれを反テロ法案に盛り込むつもりだったが、昨年成立した完成法では削除している。
投獄されたジョーカー (iFeng)
- 中国国営放送のCCTVでこのアニメーションが最初に放映されている。中国版ツイッターのWeibo微博では一部ブロガーがビデオクリップを「かわいい」と評して続編を期待している。評論家のひとりは「正面から取り上げわかりやすく国民に寄り添っている」と評している。
- 一方で懐疑的な見方も生まれている。「わたしもぜひ報告を入れたい。海外報道によるとスパイ多数が我が国の資産を他国に移転している」とブロガーのひとりが伝えており、中国指導層が「パナマ文書」スキャンダルに関与していることに触れている。■
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