今回の結果には驚かされましたが国内では、中国の意図が裏にあったのではとの意見(ターンブル首相は中国と近い)、面倒な国外生産にならなくてよかったという安堵の両論が見られますが、選考の仕組みを考えると中国云々を言うのはいかがなものでしょうか。むしろ艦の設計でフランス艦に米系装備を取り入れさらに通常動力化する技術上の課題、国内造船業の救済として国内生産を選択したオーストラリアが予定通りの建造ができるのか、就航したあとの作戦運用が果たしてオーストラリアが想定する広大な海域で円滑に実施できるのかがポイントになるでしょう。日本側は熱意がないと見られていたことがわかりますね。きちんとした選定がされているのがわかりますので負け惜しみはやめましょう。
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French Design Wins Australia’s Next Generation Submarine Competition
By: Mike Yeo
April 26, 2016 9:06 AM
https://news.usni.org/2016/04/26/french-design-wins-australias-next-generation-submarine-competition
DCNSのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A DCNS Photo
MELBOURNE, AUSTRALIA — フランスのDCNSが注目のオーストラリア総額385億ドル相当のプロジェクトSEA1000新型潜水艦建造計画で受注に成功した。オーストラリア海軍(RAN)のコリンズ級6隻の後継艦となる12隻の建造が始まる。
- オーストラリアのマルコム・ターンブル首相はマライズ・ペイン防衛相と並んで発表に臨みフランスのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A案がドイツのティッセン・クルップ・マリンシステムズ(TKMS)および三菱重工業が代表の共同事業体を破り採択されたと明らかにした。ペイン国防相は競争評価手順 Competitive Evaluation Process (CEP) に従い厳正かつ規定通りに選考したと述べた。
- フランスの支援の下でオーストラリアのASCが南オーストラリア州の造船所で合計12隻を建造する。同社はコリンズ級潜水艦を建造しており、現在は稼働中の各艦の補修契約を受けている。
- ターンブル首相は談話で選定チームはDCNS提案がオーストラリアの求める航続距離と航続性で「疑いなく」一番近い内容だと結論を出し、またセンサー性能も優秀でステルス性にも優れ、同時に「価格、日程、実施面、可動期間中の支援および「オーストラリア産業の参画度合」が優秀だったと述べた。
- CEPは15か月におよび、新型潜水艦調達事業を率いるグレッグ・サムット少将を主査とし退役米海軍少将スティーブン・ジョンソンが総括役となった。後者はオハイオ級後継艦となる弾道ミサイル潜水艦SSBN(X)も担当している。
- 選考過程は中立の立場の専門委員会が監視し、ここに元米海軍長官ドナルド・ウィンター教授が入り、同時にポール・サリバン退役海軍中将およびトーマス・エクレス退役米海軍少将も加わっている。
- 入札参加三社にはオーストラリア国内で完全建造、海外で完全建造、海外建造と国内建造の組み合わせの三案をそれぞれ提案するよう求められた。
- DCNS案のショートフィン・バラクーダ・ブロック1Aはフランスのバラクーダ原子力攻撃潜水艦を通常動力にしたもので、同社は今年中にも最終設計案でオーストラリア政府の承認をうけたいとするが、実務上の話し合いの行方次第だという。
- 新型艦は「全長90メートル超、潜水時排水量4,000トン」とDCNSオーストラリア法人のCEOショーン・コステロは述べた。フランス提案では最新ステルス技術も完全公開するとしている。
- オーストラリアは米豪共同開発Mk48 Mod7共用広帯域高性能ソナーシステムCommon Broadband Advanced Sonar System (CBASS)を搭載した魚雷の運用を求めており、戦闘関連のシステムは米国製とし、ジェネラルダイナミクスのAN/BYG-1(コリンズ級で搭載)の発展形の搭載を想定している。
- そこでショートフィン・バラクーダ・ブロック1Aが採択されたことで多少のリスクがないわけではない。特に技術面では原子力推進を前提にした艦体に通常動力を搭載することになる。オーストラリア戦略研究所専務理事のペーター・ジェニングスはそれでも「ドイツの新型艦や日本提案にあった大幅な改修」に比べれば大した問題ではないとする。
- 今回の結果は日本には特に打撃だろう。安倍晋三首相は日本案に相当の力を入れて、これまでの平和主義から転じて動的な役割を安全保障や防衛面で示す政策の一部ととらえていたからだ。またオーストラリアとの戦略的なつながりを強化して中国の一層の域内拡大を抑えたいねらいもあった。
- ロイターによれば中谷元防衛相は今回の選定結果を「大変残念」と述べ、「オーストラリア側へは不採択理由の説明を求めていく」と発言したという。
- ただし外部には日本の行政官と民間防衛企業は本国政府の熱意を共有せず、フランスやドイツに比べて営業積極性に欠けていたとの評がある。多分に防衛装備の海外輸出契約の経験がないためだったのだろう。
- TKMSからは結果は残念だが、同社としては「誠実かつプロ意識」で行われた選考過程を尊重するとの発言が出ている。■
「熱意」ってのが賄賂の類の隠語ではないとしたら(実際よくあることです)、
返信削除おかしな話です
そもそも話を持ってきたのは豪州側であるのに、いきなりケチをつけられて競争入札にされたのですから、言い訳にしてはムチャクチャです。
本当に合理的な考え方をするなら担当者の熱意などと言うあやふやなものよりも、性能、信頼性、コスト、雇用問題関係やら、他にいくらでも理由がつけられる問題があるからです。
それをしないと言う事はある程度わかります。
つまり、どうしても日本製は採用したくない本当の理由があると言う事です。
中国に配慮してなのか、国内の捕鯨問題のせいなのか
あるいは本来は原潜調達をしたいけど、国内政治上今のところは無理なのでフランスの空母を通常潜に換える案に乗っておくと言う事かもしれません。
(おおすみでワンクッションおいてからひゅうがやいずものような全通甲板で実質ヘリ空母を導入した海自のような)
いやいやいやw、こう言うのは潔いって発想でもなんでもないし、こういう発想で思考停止しては駄目ですよ
返信削除もともと安倍首相が力を入れていたのは、対中国強化が目的です。それははっきりしていたいし、
豪州で地元製造云々でもめ始めたのも、欧州の沖縄問題みたいな物で中国の影響です
豪州首相が判断の最上位で考えるのが対中国としてのこの潜水艦問題ですよ。
潔さは大事ですが、こういう安直は発想は害でしかないです。思考停止です。やめてください
中国にからんだ論点がいくつかありますね。首相の奥さんが中国人でお父さんが中国の高級幹部だったとか、
返信削除それに先だってのダーウィンの港を中国がリースした話とか、豪州の重要な場所の土地を買収した話とか、豪州の中国への経済的依存度が高いとかいろいろ。
DCNSは仏国75%出資なら国営みたいなもんだろうし、エジプトで軍事艦船建造の仕事を受けているようだし、
日本には海外軍需事業を実施する経験は日本の企業には乏しかったから、営業もなかったのが今までか。役人が
出馬しても海外に比して営業的センスに欠けていたと思われる。
一方、豪は宇宙監視では米をサポートして豪州に地上局を設置することにしたし、潜水艦の選定でも退役米軍人を多数入れて実施のようだし。
総括すれば、豪は雇用を考えた経済と安全保障の間でバランスをとった選択をしたに違いない。