スキップしてメイン コンテンツに移動

★F-22生産再開>本当に実施したらどうなるのか 専門家による検討結果



政治家の発想から始まった今回の案件ですが、どこまで真剣な議論なのかわかりません。とりあえず専門家の見地から実施できるのか、実施するとしたらどうなるのかを手短にまとめていますのでご参考に供します。ゲイツ長官がせっかく正しい結論を出していたのにここにきて戦闘機万能主義がまた出てきたのでは航空戦力の正常な進化が数十年後退しませんかね。とはいえ日本、イスラエルが生産に参加できる条件なら検討してみるのもいいかもしれません。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------


Want More F-22s? Here’s What That Would Take

APRIL 22, 2016 BY MARCUS WEISGERBER

Lockheed Martin F-22 Raptors line up on a runway in 2006.LOCKHEED MARTIN

ラプター生産ラインは閉鎖から5年近くたっている


米議会がF-22ラプター戦闘機の生産再開の検討を空軍に求めているが、これは小切手を切って照明を再点灯するような簡単な話ではない。

2017年度国防予算認可法案の審議で下院軍事委員会から空軍に194機のラプターを新規製造した際の検討を求めている。実現すれば空軍が算定した必要機数381機に十分となる。同委員会の委員長マック・ソーンべリー議員(共、テキサス)他は世界は2009年から変化したと主張。ロバート・ゲイツ国防長官(当時)がF-22製造を187機で打ち切り、F-35共用打撃戦闘機に比重を移したのがその年だ。ステルスで超音速巡航飛行が可能なラプターは敵となる相手のない制空戦闘機としての地位を数十年は保持すると見られていたがこれは楽観的過ぎると判明した。
「ロシア、中国両国が予想を上回る高速の機体を開発しています」とジェイムズ・ホームズ中将(空軍参謀次長、立案要求部門担当)が上院軍事委員会の公聴会で3月8日に話している。
「増産が有効な回答になるのかわからないが、選挙区の住民会合で支持者からこの件が持ち出された」とソーンベリー議員は国防記者朝食会で述べている。「当時から議会ではあの決断には疑問があり、今回もペンタゴンがどう言うかが関心の的だ。答えは『つじつまが合わない』になるかもしれない。わからないがこの質問は出していく」

答えは想像がつく。言うは易し、だ

資金はどこから確保するのか

まず空軍は予算を見つけなければならない。現時点で予算はない。すでにF-35の調達機数を削り予算削減に対応しているくらいだ。さらに空中給油機、ステルス爆撃機、レーダー搭載機、捜索救難ヘリコプター、ジェット練習機、新型エアフォースワン、ICBM運航用のヘリコプター調達が決まっている。「F-22生産再開となれば他の機材が犠牲になる」と戦略国際研究所でペンタゴン予算を専門に見ているトッド・ハリソンは言う。

ロッキードがF-22最終組み立てラインを閉鎖する2年前、RAND研究所が75機を追加生産した場合の試算で170億ドルが必要とはじき出した。インフレを加味し、194機まで拡大した場合の最終費用は300億ドル近くになるだろう。

「数百億ドル規模で新型機を買うというが空軍は近代化改修が必要な機材が多数あり、正気を疑う話だ」(ハリソン)

一方でペンタゴン予算の上限が2021年まで設定されており、議会と次期大統領がこれを反故にするのなら他の予算費目を削って予算を確保する必要があるということだ。

生産再開の費用を海外販売で外国に負担させるのはどうか。日本、イスラエル、オーストラリアはそれぞれラプター導入の希望を表明していた。だがここには落とし穴がある。同機の海外販売は違法だ。その根拠となる法案を作成したデイヴ・オベイ下院議員(民、オハイオ)で2011年に引退している。だが今回検討を求めている議員連はオベイ修正法案が足かせになるとは見ておらず、空軍には海外需要の評価も同時に求めている。

機体装備の再設計をどうする

次の問題はチャンスになるかもしれない。新型ラプターに新型電子装備を装備することだ。原型の電子装備仕様は陳腐化している。何しろ初飛行が1997年で配備開始が2005年である。空軍は現存する183機のラプターに15億ドルでソフトウェア、ハードウェアの更新の真っ最中だ。

新型電子装備でF-22に新しい息吹を加え、耐用年数を延長することができる。生産を再開するとしても初号機の完成は5年以上先のことで、現時点の標準で作りこめば完成した時点ですでに数年前の技術となってしまう。これとは別に機体内部のハードウェア各部が旧式化しており、新型に切り替える必要もある。

そこでF-22Bの名称で高性能コンピュータ処理能力やレーダーをF-35から流用すればよいとの主張がある。

「F-35の優秀なミッション装備には優秀な機体が必要で、F-22は優れた機体だが優秀なミッション装備が必要だ」とTeal Groupのリチャード・アブラフィアは指摘する。双発のラプターはライトニングIIよりはるかに敏捷性ですぐれている。

F-22Bにはプラット&ホイットニーが開発中の新型B-21ステルス爆撃機用の極秘ジェットエンジンを搭載すれば一気に次世代エンジン技術が利用できるとアブラフィアは言う。

F-22内部の装備でアップグレードは必要だが、機体構造は十分実用に耐えるとアブラフィアは見る。

どこで生産するのか

次にどこで機体や数々の専用部品を製造するかが問題だ。F-22ではロッキード、ボーイング、プラット&ホイットニーの三社が主要契約企業だったが、同時に全米44州で1千社超の企業がF-22の各種部品製造に携わっていたと議会調査部がまとめている。ロッキードによれば全部で25千名相当の雇用が同機から生まれていた。

同機の組み立て場所だったところは別事業で使用中だ。ボーイングのシアトル工場はラプターの主翼部分や機体後部を製作していたが、今は民生用で稼働中だ。プラットもラプター向けにF119エンジンを生産していたが、現在はティンカー空軍基地(オクラホマ)で同エンジンの点検修理を行っているだけだ。

最終機体組み立ては空軍の第六工場内で行っていた。ジョージアのドビンス空軍予備基地内の施設だが、ロッキードは現在はそこでC-130Jを生産し、F-35共用打撃戦闘機の中央主翼部分を製造するほかC-5ギャラクシー貨物機のオーバーホールを行っている。

F-22最終号機が空軍へ納入されたのは2012年初めのことで、すべての治工具類、生産設備は梱包されシエラ陸軍保管施設(カリフォーニア)へ送られた。

仮に生産用のスペースが見つかり、治工具類を再度可動開始させても、F-22製造に必要な技術技能を新規作業員に体得させるのは並大抵ではない。ロッキードは生産終了前に可能な限りの知識情報を集めており、「F-22組み立て工程はそれぞれ録画、写真撮影、記録し保管してある」と同社は2012年に発表していた。

だがハリソンはそれは一部にすぎないとする。「映像は助けになるが、技能習得の効率はそれだけでは高くならない。結局、新規採用の各自が一から学ぶことになるのではないか」

すべてを勘案すると空軍が生産再開を提言する検討結果を出し、資金のめどがついて、設計に手を入れて、サプライチェーンが再建され、生産用のスペースを確保し、新規の作業者が訓練を受けて初めてラプター新型が実現するが、その完成は2020年より先のことだ。

「10年近く閉鎖したままの状態を再起動するわけですから」とハリソンは言う。

だが安全保障を真剣に考えれば、時間と労力をかける価値があると見る向きもあろう。F-22を巡りゲイツ長官と対立した当時の空軍参謀総長T・マイケル・モズレーは今でも空軍はもっと多くのラプターが必要だと信じている。「生産再開は絶対必要だ。これで空軍戦力は新しく向上できる」という。■


本稿の執筆者マーカス・ワイスガーバーは Defense One のビジネス記事編集者で、ビジネスと国家安全保障の接点が専門。国防、安全保障関連の記事を多数執筆しており、Defense Newsでペンタゴン特派員を務めたこともある。



コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★真偽は?日本もUCAVを開発していた

日本にもブラック事業がある(あった)のでしょうか。映像公開したのは機密解除になったのか、事業がもっと先に進んでいるからでしょうか。各務原での目撃がないことから別の場所で秘密裏に開発されたのでしょうか。川崎重工関係者は口がさけても語れないと思いますが、事実なら日本もUAV-UCAVを開発していることがわかりますね。判断は読者の皆さんにおまかせします。
This is the combat drone Japan has been building in secretこれが秘密裏に開発していた日本の戦闘無人機だ 川崎重工ブースのビデオでUCAV試作機の飛行状況を写していた (Photo by Harold Hutchison) By Harold HutchisonOct. 06, 05:10 AM http://www.wearethemighty.com/news/this-is-the-combat-drone-japan-has-been-building-in-secret
無人戦闘航空機、つまりUCAVはこれからの軍事航空のカギを握ると言われる。米国、ロシア、フランスが開発中と判明している。 だが本誌We Are The Mighty (以下WATM)はこのたび日本も秘密裏にUCAV開発を進めていたことを知った。 ワシントンで先ごろ開催された空軍関係のイベントでWATMは川崎重工業のブースでビデオ画像を見た。それは同社によるUCAV研究開発の様子で、画像内のUCAVはボーイングX-45やノースロップ・グラマンX-47に似ているようだった。 会場で詳しく聞こうとしたが、同社係員が日本政府の意向だとしてやんわりと断ってきた。翌日も別の係員はこの件は存じていないと答えてきた。 結局三番目に会った川崎重工の小林タクミ氏が「試験機で10年近く前のもの」とし、「防衛省予算による実験事業だった」と説明してくれた。同氏はさらにメールで「2008年ごろのプロジェクト」と述べている。 WATMが当時空軍の筆頭参謀次長として情報監視偵察分野を担当し現在は航空宇宙研究にあたるミッチェル研究所の所長をしているデイブ・デプチュラ退役空軍中将に日本がUCAV開発をしていた事実を知っているか聞いたところ、即座に「知らない」との答えが返ってきた。 このことから日本のUCAVは秘密のベールに隠されていたことがわか…

★★ロッキードが極超音速技術の完成に近づいている模様、SR-72との関連へ注目

Amid SR-72 Rumors, Skunk Works Ramps Up HypersonicsSR-72の噂と関連か、スカンクワークスの極超音速技術が加速中
Sep 27, 2017Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report http://aviationweek.com/technology/amid-sr-72-rumors-skunk-works-ramps-hypersonics
SR-72: Lockheed Martin FORT WORTH, Texas—ロッキード・マーティンが極超音速技術開発を加速化しており、初の実証機を目撃したとの報告もあり、スカンクワークスが進めるSR-72高速機開発との連関が注目される。 「詳細は言えませんが、スカンクワークスのあるカリフォーニア州パームデールで超高速飛行実現の動きを倍増しています」とロッキード・マーティンで航空力学執行副社長オーランド・カバルホOrlando CarvalhoがSAE 国際航空技術学会で語っている。「端的に申し上げれば米国は極超音速革命まであと一歩まで来ています」 Darpaと米空軍研究実験部門が共同で進める推進滑空兵器および極超音速空気取り入れ式兵器コンセプト研究に言及して、カバルホは「この十年で研究は大幅に進み、極超音速技術で状況が一変する意味があることが明らかになってきました。今後も研究テストを進め、極超音速飛行の実現にDarpaとのプロジェクト二件を活用します。国家安全保障ではスピードが肝心です」 SR-72への言及はなかったが、同社が極超音速機として退役済みの高速SR-71ブラックバードの後継機を提案中であることは広く知られており、カバルホの前向きな発言はロブ・ワイスRob Weiss(ロッキード・マーティンの高性能開発事業体執行副社長兼総支配人)の発言に重なる。6月にワイスはAviation Weekに選択的に有人操縦となるSR-72の前身となる飛行研究用機体(FRV)が予定通り進行中と暗に述べていた。 スカンクワークスはFRV開発を来年から始めるといわれ、初飛行予定は2020年だ。FRVはF-22ほどの機体サイズで推進力はフルスケールのコンバインドサイクルエンジン一基だ。しかし実証機に先立ち、ロッキードは各種技術の地上・飛行テスト…