Japan, Australia Ramp Up Amphib Forces: Countering China
WASHINGTON: 米国が太平洋で最も頼りにする同盟国たるオーストラリアと日本でそれぞれ揚陸作戦能力が整備中で、水陸両用車両、V-22、新型艦船を導入している。米海兵隊と比較すればずっと小規模とはいえ両国の部隊は米国を支援して域内の安定を図りつつ中国への抑止力として機能可能だ。ただしそれぞれ制約を乗り越えれば。日本は中国とのハイエンド戦を想定するが、その舞台はあくまでも日本近辺だ。オーストラリアはずっと広い範囲での作戦を想定するが、内容はハイエンドではない。
- 日本の軍事力に第二次大戦後初の渡洋運用が加わり、防御固い海浜へ直前上陸し島しょの占拠が可能となる。これだけでも日本帝国主義に辛酸をなめさせられた相手および日本国内の多数派たる平和主義者双方の神経を逆なでしそうだ。
- 日本は憲法第九条の解釈を見直し、「集団的自衛」行動を自国領土外でも実施できるようになった。にもかかわらず日本政府は新設揚陸連隊(ゆくゆく旅団規模に拡大する)は日本外延部の島しょ部分が侵略勢力(例 中国)に占拠された場合に実力で奪回するのが唯一の存在目的と説明している。そこで新設部隊をより広い範囲の太平洋で運用するよう二本を説得することが課題で、たとえば軍事的に脆弱なフィリピンの支援が想定される。
- 「揚陸部隊はわが国固有の領土の防衛を想定して発足しており、南シナ海は想定外だ」と強調するのは日本大使館付け防衛駐在官山本雅史一等陸佐で、戦略国際研究センター(CSIS)で南太平洋での運用可能性を聞かれて昨日こう答えていた。
- オーストラリアの直面する問題はこれと逆だ。同国は揚陸部隊を自国領土外での兵力投射のために整備中だ。1999年の東チモール平和維持活動で部隊派遣と補給活動が思うように維持できず揚陸作戦能力の拡充が必要との認識が政府に生まれた。
- 「率直に言って、当時は驚かされてしまいました」と安全保障問題の審議官を務めたアンドリュー・シアラーはCSISで語っている。「作戦全体はかろうじて維持されていたにすぎません」
- その後15年かけてオーストラリアが就役させた2隻のキャンベラ級強襲揚陸艦(各27千トン)は同国最大の海軍艦船でそれぞれ兵員1千名、ヘリコプター8機を搭載し、米海軍のLPD-17サンアントニオ級(25千トン、800名、ヘリ4機)の規模を上回る。これだけの規模の揚陸部隊運用能力を有する国はまれである。
- ただオーストリアは揚陸部隊の運用範囲を日本より広く想定しているとはいえ、問題は打撃力が足りないことだ。日本部隊の中核任務は沿海部を強襲し、領土を奪回することだが、オーストラリアではこれは想定外だ。
- 「発表されている目標はHADR(人道援助災害救難)、治安回復、不安定な環境と呼ぶ状態での上陸作戦です。ハイエンド能力が想定外とお気づきでしょう。つまり敵の防御を前にした上陸作戦は想定していません」とシアラーは述べた。高度作戦の実施はまだ長期的課題だというのだ。
- そうなると日本には自国外での作戦運用を求め、オーストラリアには全面戦に対応する能力の整備が必要だと説得する必要がある。ただし、ともにこれは長期的な課題であり、現時点では両国はまだ整備を開始したばかりだ。
- 「日本はオーストラリアより先行している」とシアラーは認めた。その直後に山本一佐は「日本の揚陸能力は整備開始したばかりだ」と述べている。
- 両国の揚陸作戦構想は異なるが、両国が訓練を共同実施すれば効果が生まれそうだ。援助物資の輸送、人質救出、敵の待つ海浜への突入など「基本戦術上の技能は共通だ」と山本一佐は指摘。揚陸舟艇の運用や通信手段の確立、車両の維持、隊員の技能向上を艦内でどう実行するか、などだという。
- 両国は部隊編成に陸軍隊員を投入し、米国の海兵隊のような別組織は想定していない。(韓国は海兵隊を保有) 特に日本は迅速展開部隊として西部方面隊の陸上普通連隊を島しょ部に展開し、中国が上陸する前から守りを固めているが、この部隊を揚陸部隊に格上げし、中国が占拠した島しょ部の奪回を目指す。二番目の連隊は2018年に編成するが、原隊の所属は不明だ。最終的には揚陸旅団の編成とする。(迅速展開任務には別の部隊を投入する) 揚陸部隊にはV-22オスプレイ17機の他、水陸両用強襲車両52台が装備される。
- 揚陸作戦の支援にあたるのが4隻のヘリコプター母艦で、うち二隻は24千トンのいずも級だがオーストラリアのキャンベラ級とは構造が違う。他におおすみ級揚陸艦があるが収容能力は330名にとどまり、三隻投入してやっとキャンベラと同様の輸送能力しか実現できない。したがって日本の揚陸作戦で制約条件は兵員輸送力で、特に遠隔地作戦で何度も往復輸送するのでは役立たない。
- そうなれば中国は輸送艦を沈め自衛隊の上陸を阻止すればよい。「日本が危険地帯に近すぎるのが懸念材料」とアンドリュー・クレピネヴィッチは指摘する。本人は最近戦略予算評価センター理事長を退任したが、日本側関係者と多く対話を積んでいる。有事の際に島しょ部の防御を強化して中国を抑え込むことは実施可能だとし、中国漁船や海警の低レベル艦船の撃破は可能だが、いったん中国正規軍が交戦許可を得れば「一気に開戦となり日本には島しょ部の補強はきわめて困難となり、奪回は難しくなる」と発言。
- 日本の島しょ部の防衛策で優れた選択肢は長距離ミサイルだとクレピネヴィッチは指摘した。対空、対艦、あるいは中国軍が島しょ部に残っていれば対地ミサイルを使えばよいという。日本とオーストラリアの揚陸部隊は機動予備部隊として温存し、軍事的に脆弱なフィリピンのような同盟国を守ればよい。
- 前回に日本軍がフィリピンへ上陸したのは占拠のためだったので、このつらい記憶は両国にとって共通の中国対抗策とはいえ防衛協力を進める際に抵抗となるかもしれない。■
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