スキップしてメイン コンテンツに移動

★2030年に戦闘機は主役の座から離れる 米空軍の検討結果 



よくわかりません。戦闘機ではこれから必要となる性能を実現できないからなのか、それでは次世代の機材構成はどうなるのか。また戦闘機を頂点とした空軍力の整備が大幅に変わってしまうことで組織は維持できるのか。中露が依然として戦闘機を主力とした構成で西側に対峙してきたらどうするのか。こういった素朴な疑問はこれからの空軍内検討チームが逐一回答を示してくれるはずで、楽しみです。でも答えが出るまで時間がかかりそうですね。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Beyond the Fighter Jet: The Air Force of 2030

Lara Seligman, Defense News11:48 a.m. EDT April 8, 2016
WASHINGTON — 空を制圧するのはジェット戦闘機ではなく各種機材を束ねた統合システムのネットワークだとする検討を米空軍が進めている。
  1. 米空軍が昨年発足させたチームによる検討結果の初期報告を公表している。チームは将来の空における優位の確立方法を検討した。同チームは航空優勢2030各種能力統合チームthe Air Superiority 2030 Enterprise Capability Collaboration Teamと呼ばれ、最善策は「システムファミリー」を開発し、高度に防空体制が整備された環境下で脅威各種に対応させることと結論した。
  2. ほぼ互角の実力を有するロシアや中国が能力差をうめつつあり、長距離ミサイルを開発し、対衛星兵器、対空兵器を整備している。すべて米軍の侵攻能力の無効化をめざすものだ。米空軍はこの条件で航空制圧をどう実現できるかを模索する必要がある。
  3. 「脅威環境は今後15年から20年で拡散するとみており、現在は想像もつかない状況に地球上あるいは地球外で遭遇するだろう」とチームをまとめたアレックス・グリンケヴィッチ大佐が空軍協会主催の会合で述べている。
  4. そこでシステムファミリーあるいはシステムのシステムという方法論が空軍が提示する米軍の優位性確保の回答だ。新戦略にはスタンドオフあるいは敵防空網突破が可能な装備や宇宙依存をさらに高めること、サイバーで敵の防空網に侵入するとともに自軍ネットワークを防御することが盛り込まれているとグリンケヴィッチ大佐は紹介している。
  5. 「敵が進めているのは各種システムをネットワーク化して統合すること....ここ数年で判明したのはネットワークを相手にするにはネットワークで対抗すればよいということ。ネットワークとともに統合システムのシステムあるいはシステムファミリーで困難な環境へ対応できる」(グリンケヴィッチ)
  6. 米空軍は2017年度予算要求で航空優勢分野での実験および試作品製作用の予算を確保しているとジェイムズ・「マイク」・ホームズ中将(空軍参謀次長)が同じ会場で明らかにしている。
  7. だがそのシステムファミリーに従来通りのジェット戦闘機は含まれるのか。グリンケヴィッチ大佐はそうは思っていないようだ。
  8. 航空優勢2030チームは「第六世代戦闘機」の概念から距離を置こうとしていいる。第五世代機F-35の後継機種、という表現を使っているという。「戦闘機」という言葉も陳腐化しているとし、「センサー・シューター」や「ノード=接続ポイント」という表現を広義の戦闘ネットワークの一部として使っている。
  9. 「戦闘機は航続距離が短い。配備すれば遠隔地から運用する必要があるが、そんな機体にセンサーを付けられるだろうか。それともどこかへ分散配備させるのか。現在『第六世代』として想像している機体からは相当変わるとみている」
  10. 空軍はF-X、海軍はF/A-XXとして共同で代替策検討をするつもりだったが、海軍が検討では先行し、空軍はF-X作業を遅らせると2月に明らかにしている。
  11. 一年遅らせることで空軍は今後の大日程を再検討できるとホームズは4月7日の会合終了後に記者団に語った。当初の構想ではF-Xは開発期間20年ないし30年を想定していた。かわりに空軍はAOAを2017年1月に再設定し、今後20年30年で利用可能となる選択肢を検討するという。構想は「次世代航空優勢」“Next Generation Air Dominance”と呼ばれ、検討作業の完了は2018年の中ごろとグリンケヴィチ大佐が付け加えた。
  12. 空軍は速度、操縦性能、ペイロード、航続距離の最適組み合わせを見つけようとしているとホームズが述べている。ステルス性あるいは低視認性も考慮する。
  13. 航空優勢2030チームの作業内容について尋ねたが、関係者から将来像を示す答えはほとんどなかった。グリンケヴィッチ大佐のチームはAOA分析を多数進めるのだろう。
  14. ホームズ中将の「希望的目標」は2025年までに航空優勢戦略を示すことだというが「まだその目途はついていない」と認めた。
  15. 関係者は脅威対象に空軍が迅速な対応すべきだと指摘する。議会とペンタゴンが進めている調達改革の効果を生かすことも必要だとグリンケヴィッチが述べた。
  16. 「戦略的な敏捷性が求められているのは事実だ」とグリンケヴィッチ大佐も強調している。「これが実現できないと危険な状態になる」■


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ