よくわかりません。戦闘機ではこれから必要となる性能を実現できないからなのか、それでは次世代の機材構成はどうなるのか。また戦闘機を頂点とした空軍力の整備が大幅に変わってしまうことで組織は維持できるのか。中露が依然として戦闘機を主力とした構成で西側に対峙してきたらどうするのか。こういった素朴な疑問はこれからの空軍内検討チームが逐一回答を示してくれるはずで、楽しみです。でも答えが出るまで時間がかかりそうですね。
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Beyond the Fighter Jet: The Air Force of 2030
WASHINGTON — 空を制圧するのはジェット戦闘機ではなく各種機材を束ねた統合システムのネットワークだとする検討を米空軍が進めている。
- 米空軍が昨年発足させたチームによる検討結果の初期報告を公表している。チームは将来の空における優位の確立方法を検討した。同チームは航空優勢2030各種能力統合チームthe Air Superiority 2030 Enterprise Capability Collaboration Teamと呼ばれ、最善策は「システムファミリー」を開発し、高度に防空体制が整備された環境下で脅威各種に対応させることと結論した。
- ほぼ互角の実力を有するロシアや中国が能力差をうめつつあり、長距離ミサイルを開発し、対衛星兵器、対空兵器を整備している。すべて米軍の侵攻能力の無効化をめざすものだ。米空軍はこの条件で航空制圧をどう実現できるかを模索する必要がある。
- 「脅威環境は今後15年から20年で拡散するとみており、現在は想像もつかない状況に地球上あるいは地球外で遭遇するだろう」とチームをまとめたアレックス・グリンケヴィッチ大佐が空軍協会主催の会合で述べている。
- そこでシステムファミリーあるいはシステムのシステムという方法論が空軍が提示する米軍の優位性確保の回答だ。新戦略にはスタンドオフあるいは敵防空網突破が可能な装備や宇宙依存をさらに高めること、サイバーで敵の防空網に侵入するとともに自軍ネットワークを防御することが盛り込まれているとグリンケヴィッチ大佐は紹介している。
- 「敵が進めているのは各種システムをネットワーク化して統合すること....ここ数年で判明したのはネットワークを相手にするにはネットワークで対抗すればよいということ。ネットワークとともに統合システムのシステムあるいはシステムファミリーで困難な環境へ対応できる」(グリンケヴィッチ)
- 米空軍は2017年度予算要求で航空優勢分野での実験および試作品製作用の予算を確保しているとジェイムズ・「マイク」・ホームズ中将(空軍参謀次長)が同じ会場で明らかにしている。
- だがそのシステムファミリーに従来通りのジェット戦闘機は含まれるのか。グリンケヴィッチ大佐はそうは思っていないようだ。
- 航空優勢2030チームは「第六世代戦闘機」の概念から距離を置こうとしていいる。第五世代機F-35の後継機種、という表現を使っているという。「戦闘機」という言葉も陳腐化しているとし、「センサー・シューター」や「ノード=接続ポイント」という表現を広義の戦闘ネットワークの一部として使っている。
- 「戦闘機は航続距離が短い。配備すれば遠隔地から運用する必要があるが、そんな機体にセンサーを付けられるだろうか。それともどこかへ分散配備させるのか。現在『第六世代』として想像している機体からは相当変わるとみている」
- 空軍はF-X、海軍はF/A-XXとして共同で代替策検討をするつもりだったが、海軍が検討では先行し、空軍はF-X作業を遅らせると2月に明らかにしている。
- 一年遅らせることで空軍は今後の大日程を再検討できるとホームズは4月7日の会合終了後に記者団に語った。当初の構想ではF-Xは開発期間20年ないし30年を想定していた。かわりに空軍はAOAを2017年1月に再設定し、今後20年30年で利用可能となる選択肢を検討するという。構想は「次世代航空優勢」“Next Generation Air Dominance”と呼ばれ、検討作業の完了は2018年の中ごろとグリンケヴィチ大佐が付け加えた。
- 空軍は速度、操縦性能、ペイロード、航続距離の最適組み合わせを見つけようとしているとホームズが述べている。ステルス性あるいは低視認性も考慮する。
- 航空優勢2030チームの作業内容について尋ねたが、関係者から将来像を示す答えはほとんどなかった。グリンケヴィッチ大佐のチームはAOA分析を多数進めるのだろう。
- ホームズ中将の「希望的目標」は2025年までに航空優勢戦略を示すことだというが「まだその目途はついていない」と認めた。
- 関係者は脅威対象に空軍が迅速な対応すべきだと指摘する。議会とペンタゴンが進めている調達改革の効果を生かすことも必要だとグリンケヴィッチが述べた。
- 「戦略的な敏捷性が求められているのは事実だ」とグリンケヴィッチ大佐も強調している。「これが実現できないと危険な状態になる」■
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