スキップしてメイン コンテンツに移動

★緊張高まるバルト海上空、今度はSu-27がRC-135にバレルロールで脅かした



バルト海で緊張が高まっていることは日本ではほとんど報道されていないようですね。
今回はまたもやロシア戦闘機が危険行為をしており、危機一髪という事態だったようです。
思わぬ事故にならないようにロシアに自制を求めたいと思います。米ロでの取り決めを守らないロシアもロシアですが、同様の取り決めは日中でも必要ですね。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------

Russian Jet Threatened U.S. Recon Aircraft

Barrel rolls over plane in latest Baltic Sea provocation
April 16, 2016 3:25 pm

RC-135 / image via Wikipedia
RC-135 / image via Wikipedia
     

ロシア戦闘機が米空軍RC-135偵察機に危険な接近飛行をバルト海上空で4月14日に行っていたと判明した。米欧州司令部が16日に公表。
  1. 「4月14日、米空軍RC-135がバルト海上空国際空域を飛行していたところ、ロシアのSu-27一機が危険かつ非常識な飛行で同機を迎撃してきた」と同司令部報道官海軍大佐ダニー・ヘルナンデスが発表している。
  2. 「今回の迎撃はロシアがUSSドナルド・クックを挑発した直後」で、「昨年から数回にわたりロシア軍用機が航空機艦船に危険な接近飛行をしており、深刻な安全上の懸念が生まれている。このような行為に大いに憂慮している」と述べた。ヘルナンデス大佐は同機はロシア領空に侵入していないと付け加えている。
  3. 「このような危険かつ無茶な迎撃は機の乗員に深刻な被害を生じかねない。さらに危険かつ無茶な行動が不必要な緊張のエスカレーションを招きかねない」
  4. ヘルナンデス大佐は問題のSu-27がRC-135側方から高速度で接近し、「過激な操縦」をしたと述べ、ロシア機は「米軍のRC-135Uの乗員の危険を招きかねない操縦をした」という。
  5. 「具体的にはSu-27機はRC-135の翼端から50フィート未満に近づき、RC-135の左でバレルロールを開始し、同機上空をから右側に抜けた」
  6. 米政府はロシア政府に外交チャンネルを通じ抗議中と同報道官は述べた
  7. RC-135Uは電子情報収集偵察機で通常は飛行乗員5名と電子戦要員16名、6名以上の地域専門家が搭乗して飛行する。
  8. この二日前にロシア軍機が誘導ミサイル駆逐艦USSドナルド・クックを襲う飛行をした事件がバルト海で発生しており、米政府は模擬空爆は軍事挑発行為だとし、実弾射撃が始まる一歩手前の事態だったという。この事件ではSu-24戦闘爆撃機の二機がクックを30フィート以内で通過飛行している。
  9. 冷戦終結後で米海軍艦船がここまでの嫌がらせをロシアや中国から受けたことはないとある海軍士官は述べている。「今までも危ない目にあっているが、ここまで接近されたのは初めて」だという。
  10. 空での嫌がらせはロシア軍がすすめる米軍、NATOへの威嚇行動の一環と思われる。
  11. 米国がミサイル防衛をヨーロッパに展開したことでロシアは軍事敵対行為を取っており、一方でロシアはクリミア併合で西側が実施中の制裁で打撃を受けているといわれる。
  12. ウラジミール・プーチン大統領は「近隣諸国」と呼ぶ旧ソ連共和国やロシア国境付近の東欧各国に対し影響力、支配力を再構築しようとしている。
  13. この政策でジョージアを2008年に軍事干渉し、ウクライナでは2014年にクリミア半島を強行に併合し、ウクライナ東部の分離独立派を支援している。
  14. これに対応して米国とNATOは東欧で米軍、NATO軍を強化しており、とくにバルト海のラトヴィア、エストニア、リトアニア、ポーランドで部隊規模を拡大している。
  15. ここにきてロシアが軍事挑発行為をしているのはロシアの飛び地領土カリニングラードが米軍の監視対象になっていることに符合している。
  16. 今週初めに国防次官補ブライアン・マッケオン(国防政策担当)が下院小委員会でロシアがカリニングラード上空での米軍、NATO側の飛行を認めない姿勢に出ているが、飛行はオープンスカイズ条約で認められていると述べた。
  17. マーク・シュナイダーはかつてペンタゴンで戦略兵力の分析を行い、現在はロシア専門家で、ここ数日のバルト海で発生した事件はロシアによる従来の挑発行為と全く違う性質だと指摘している。「ロシア側の強硬さがエスカレートしている。ロシア国防省は驚くほど不誠実な対応に終始している」
  18. ロシアはクック事件を軽視しようと国防省報道官イゴール・コナシェンコフが国営インターファックス通信でロシア側操縦士は安全基準を守っていたと発言した。
  19. 考えられる米側の対応としてかつてリチャード・パールが呼んだ「緩い対応」すなわちきわめて弱い形式上の抗議になるとシュナイダーは見る。「そうなると今後の事態はエスカレートしていくのでは」
  20. 今回のRC-135事案はロシア機が行った米偵察機への危険飛行では今年に入って二回目だ。1月25日にはSu-27が黒海上空のRC-135から20フィート地点を飛行したとヘルナンデス大佐は述べている。
  21. 一月の際はロシア機はバレルロールこそしなかったが、急激な高速旋回離脱をしている。これでRC-135の操縦が乱された。
  22. 駆逐艦クックへ危険な飛行を挑んだSu-24の飛行は4月12日のことでその前日にも別のSu-24二機が同艦の上空を20回通過飛行し、うち一回は給油中のNATO側のヘリコプター上空を通過している。このためヘリコプターの運用はSu-24編隊が去るまで中断されている。
  23. その同日に今度はロシアのKa-27へリックスヘリコプター一機がクックの周囲を飛行している。クックはポーランド寄港直後で艦上にはポーランドのヘリコプターが搭載されていた
  24. ロシア機は模擬空襲のパターンで飛行し、英語ロシア語で繰り返した注意喚起に反応しなかった、と欧州司令部は声明文で述べている。ペンタゴンは映像記録を公表し、接近飛行で海面上に軌跡が生まれているのを示している。
  25. 駆逐艦クックは対空兵装として接近迎撃兵装システムCIWSも搭載しているが、今回の事件では射撃準備はしていなかった。これは米ロで相互に機体へ照準を合わせないことが決まっているためだ。
  26. 「危険かつ無茶なロシア側の飛行操縦を深く憂慮している」と欧州司令部は声明文を発表している。「各事例では不必要な緊張のエスカレーションを招きかねない要素があり、誤解や事故dにより深刻な死傷者が発生してもおかしくない」
  27. 各事案は米ロ合意による海上事故予防策に反する。協定では模擬攻撃を禁じ、自動作動対空砲の使用も制限している。
  28. ロシア戦闘機とRC-135の衝突すれすれの事態が昨年5月30日に黒海で、またSu-27がRC-135の20フィートを飛行する事態がバルト海で発生している。さらに昨年10月にはTu-142爆撃機二機が空母USSロナルド・レーガン付近を超低空で通過飛行する事件が日本海で発生している。また2015年7月4日にはTu-95戦略爆撃機二機がカリフォーニア海岸から40マイル地点まで近づき、迎撃に向かった米軍パイロットに「お誕生日おめでとう」との無線交信をしている。この独立記念日の事件はオバマ大統領がプーチンと電話会談を行ったその日のできごとだった。
  29. ロシアはTu-95爆撃機を太平洋で長距離飛行に投入し、グアム島まで数回にわたり飛行させている。グアムは米軍のアジア重視の中で中心的な役割を果たす軍事拠点だ。■


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...