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カーター長官のインド、フィリピン、湾岸歴訪に注目


オバマ政権が任期切れを前にしてますます機能不全になっていく中で一人気を吐いているのがカーター国防長官(物理学博士)です。今回は二週間の外遊ですが、中身はかなり濃いものになっているようです。またアジア太平洋ではインドとフィリピンを重点対象に置いているのが興味深いですね。技術ではインド、戦略ではフィリピンというところでしょうか。
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Carter Heads Out on Pacific, Gulf Swing

Aaron Mehta, Defense News 10:39 a.m. EDT April 9, 2016
WASHINGTON — アシュ・カーター国防長官は9日土曜日から二週間にわたる海外歴訪中で、インド、フィリピン、湾岸諸国を訪ねる。
  1. 今回の海外訪問の目的は二つで、太平洋での協力関係を強固にしイスラム国への戦いを協議する。
  2. アジア太平洋でインドでは形成中の協力関係を先に進めるとともにフィリピンでは長きにわたる同盟関係の近代化を図る。
  3. インドでゴアとデリーを訪問し、インド国防相マノハル・パリカーの招待を受けるナレンドラ・モディ首相とも会談し、「空母、ジェット戦闘機、ジェットエンジンでの協力の進展」を討議するとカーターは外交問題評議会で出発前に明らかにした。「さらに新規プロジェクト数件についても話し合い、その詳細はここでは明かせないが、次回パリカー大臣との会談の際に注目してもらいたい」
  4. 2012年の米印国防技術貿易協力枠組み(DTT)により、技術共有へ注目が集まる中、ペンタゴンはインドと開発案件を進めている。インドが注力するのは高性能エンジン技術で国産の高性能中型戦闘航空機Advanced Medium Combat Aircraft (AMCA)に応用を狙う。インド軍はペンタゴンが開発中の電磁航空機発進カタパルト (EMALS)へも関心を示し、国産空母INSヴィシャルへの搭載を期待する。
  5. カーター長官は前回の訪印で化学生物戦用の防護服で共同開発の合意を形成できたほか、野戦小型発電機に加え研究分野で二つの「先駆的」案件を共に進める成果を得た。
  6. インドに続きフィリピンを訪問する。フィリピンでは米比合同演習バリカタンが実施中だ。演習は7千名規模で米軍機、車両、艦船を動員し、「南シナ海想定のガス油田奪回強襲作戦」の想定もあるという。
  7. 長官からはペンタゴンから東南アジア海洋安全保障構想の最初の予算執行を開始したとの発表もあった。構想は5か年で425百万ドルを投じ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイランド、ヴィエトナムの各国の運用能力を強化するもので昨年のシャングリラ対話でカーター自らが提唱したもの。
  8. カーター長官は予算の8割はフィリピン向けでその使途は「技術近代化とともにフィリピン沿岸警備隊の訓練を実施し、情報ネットワークを強化しハワイの米太平洋軍司令部とフィリピンの司令部との間で秘匿通信を実現すること、偵察機材を提供し、フィリピン海軍哨戒艇に有効なセンサーを搭載し、域内の海洋での実効性を挙げること」と述べている。
  9. その後長官は湾岸地方へ飛び、アラブ首長国連邦、サウジアラビアとの会談をリヤドで行う。長官は湾岸協力協議会(GCC)加盟国の国防責任者とも協議する予定だ。
  10. 「対ISIL作戦とともに共同で域内防衛構想を検討するのは2015年の米GCCキャンプデイビッドサミットで決まった通り」とペンタゴン報道官ピーター・クックが述べている。■

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