Fighter Faceoff: Should The Air Force Buy More F-35s Or The F-15EX? 戦闘機真っ向勝負。空軍はF-35、F-15EXのどちらを導入すべきなのか。
Which is right for the Air Force of the future? どちらが空軍の将来に有益な機種なのか。
Key point: Both are capable jets, but are tailored to exceed at specific missions.
米軍の予算7,380億ドルは前例のない規模だが、事業受注をめぐる争いは熾烈を極めている。
中でも注目を集めているのが空軍が旧式戦闘機F-15イーグルの新型機種の調達に向かい、最新式F-35ライトニングの予算を流用する動きの去就だ。
話をややこしくしているのは両機種の想定任務が異なることだ。
単発のF-35Aは強固な防御体制の敵領空にステルス性で侵入し攻撃を加え、強力なセンサーで敵軍の追撃を逃れる設計だ。 A
これに対し退役が近づいてきたF-15Cは双発で空対空戦専用機材で米国周辺や海外基地付近の空域を哨戒し、敵の侵入を撃退するのが役目だ。F-15にはステルス性はないが、最高速度はマッハ2.5とF-35より33%高く、航続距離も長い。
ここ数年で海外からF-15の強化改修型への発注が続いており、ボーイングはF-15EXとして新技術を盛り込んだ機材を提供する。その中にはF-15Cでは不可能だった多任務能力もある。
F-15EX推進派からは調達はF-35予算を使うものではないとの主張があるが、ロッキード他空軍将官は別の見解で、激しく同機に反対意見を展開してる。国防総省はボーイングに有利な結論を出すことが続いており、実際に長官代行にはボーイング元役員が就任していた。
現時点でF-15EXは8機を11億ドルで初回発注されており、さらに144機が加わる可能性がある。
では両機種は実際のミッションでどこまでの効果を見せるのだろうか。
侵攻攻撃
ロシア、中国や機材輸入国は一層強力なレーダーや地対空ミサイル装備の導入に向かっており、F-15EX含む通常型戦闘機なら100マイル地点から探知し攻撃できる。
防空体制で生き残るため、第4世代機はSAM対抗手段各種を駆使せざるを得ず、ジャミング機材、HARM対レーダーミサイルやワイルド・ウィーゼル攻撃隊や高価な長距離スタンドオフミサイルも必要だ。こうした集中運用をしても脆弱性が消えるわけではなく、数日数週間に渡る実施で防空ネットワークを弱体化させるねらいだが、初期段階で全日の攻撃は実施できないだろう。
比較すると、ステルス機はレーダー断面積が小さく、ごく短距離で標的捕捉レーダーに捕まるだけで、敵レーダー網の「バブル」の間に容易に侵入し、短距離誘導兵器を発射できる。つまり、F-35は開戦日に敵の領空内を自由に飛び回れる。
さらにF-35推進派からはステルス機により多数の機材を動員する大規模攻撃は不要になると、1991年湾岸戦争時の空軍作戦を念頭にした発言が出ている。
制空権を確立した空域での航空支援・阻止作戦
タリバンやISISが相手の戦闘で高高度対応の対空装備がない環境なら、ステルス性能は無用の存在となる。代わりに戦闘地区上空で滞空し、正確にペイロードを投下する性能が鍵となる。
F-35だと機内兵装庫に4発ないし6発しか搭載できない。ステルスが不要で有利な状況の戦闘シナリオでは「ビーストモード」のF-35は機体外部にさらに4発から6発を搭載できる。だが前口上ばかり先立つこの機能はまだ開発が終わっていない。
旧型F-15Cは地上攻撃は想定していないが、F-15EXは想定しており、より多くの地上攻撃兵装を主翼下に搭載できる。
それでもF-35には別の利点がある。同機のネットワーク対応センサー一式は敵の位置を探知し、友軍と情報共有できるのだ。
迎撃・領空防衛
F-15EXとはF-15Cが行ってきた空中哨戒任務を肩代りするのが主な役割だ。中国やロシアはひんぱんに空域に接近しており、インターセプトの回数は増えている。
そのためF-15C後継機には平時、有事ともに効率よく任務を達成できるかが問われる。
F-15は平時の航空哨戒に適した機材で1,200マイルの戦闘半径により長時間の哨戒ができ、空中給油機の出番も少なくなる。これに対し、F-35Aでは770マイルしかない。さらもイーグルが双発なことからエンジン一基が不調となっても無事生還できる可能性が高い。実際に単発のF-16の事故率はF-15より高いる。
打ち合いの戦闘になれば最高速度とミサイル搭載本数の多さでF-15は特殊4発搭載ラックまで使えば20本とF-35の六本より多く、F-15なら爆撃機の迎撃に適しており、多くのミサイルで有利となる。
ただしF-35推進派はステルスにより同機は敵爆撃機を奇襲攻撃でき、撃墜の可能性は十分あると主張し、敵援護機の攻撃から逃れるともいう。
航空優勢Air Superiority
航空優勢の概念は敵戦闘機を有利な形で排除し空域を制圧することを指す。航空優勢戦闘機は有視界距離(WVR)での戦闘で操縦性の高さが必須とされてきた。敵戦闘機は視界外(BVR)ミサイルの攻撃を恐れて避難すると言われてきた。
F-15EXはBVRだと敵戦闘機の攻撃に脆弱度が高い。とくに改良型4.5世代機のSu-35や中国ステルス機の成都J-20が相手だと歩が悪い。端的に言って、F-15でも敵の4.5世代機を遠方から撃破できるし、大量のミサイルを運用できるが同時に脆弱でもある。
近距離ではF-15はF-35より有利だ。F-35は赤外線やレーダー探知を受けやすい。高度の機動性を誇るF-22ラプターとの比較ではF-35はWVR戦には適合していると言い難い。.
だが空軍によればレッドフラッグ演習でF-35は非ステルス機に対し圧倒的有利で20対1で勝っている。
納税者負担と官僚制度の判断は
予想に反しF-35Aは決してF-15EXより高価ではない。ともに85百万ドルの機体単価だ。これはF-35でペンタゴンの想定する2千機もの生産規模を反映し単価切り下げが効果を上げていることを意味する。
ただし、F-15EXに価格優位性が生まれるとすれば、運用経費の分野だ。F-15EXの一時間あたり経費は27千ドルになる予想で空軍は40年間供用しているF-15の構造を熟知しているため、F-15EXの稼働率は高くなるだろうが、現時点でF-35では恐ろしく低い。
とはいえF-15EXの命運は政治部門に大きく左右される。あくまでも同機調達は文民が主張したもので軍人の支持は少ない。そうなると政権交代になればF-15EXは生き残れなくなる可能性もある。
仮に空軍がF-15EXを不採用としたら、F-35を迎撃や航空哨戒に投入すべく航続距離延長型の検討を迫られるだろう。2019年の空軍は完全新規の第6世代有人機開発にますます消極的になっている。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This article first appeared earlier this year.
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