スキップしてメイン コンテンツに移動

中国の新型極超音速兵器DF-17は完成した装備ではない可能性



Check Out China's New DF-17 Hypersonic Glide Vehicle: A Real Killer? 中国の極超音速滑空ミサイルDF-17が要注目、威力はどこまであるのか。

Can the U.S. military match it? How capable is it? 米軍に匹敵する装備はあるのか。どこまでの性能があるのか
by David Axe 
October 1, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaMillitaryTechnologyWorldDF-17HGV
.
国人民解放軍が2019年10月1日公開した新型極超音速ミサイルは太平洋に展開する米軍に新しい脅威となりそうだ。
DF-17極超音速滑空飛行体(HGV)は15千名を動員した人民共和国体制発足70周年を祝うPLA軍事パレードで初公開された。
極超音速兵器の開発に取り組む各国が、音速の5倍超の速度で移動する動力付きあるいは滑空方式の精密誘導攻撃手段の実現をめざす中で、DF-17は初の、または二番目の極超音速滑空体として配備される装備となる。ロシアはHGV配備を2019年に発表している。
パレードにはDF-17が16本登場し、DF-16中距離弾道ミサイルと思われるものの上に搭載されていた。DF-16がDF-17をマッハ5超まで加速し、DF-17が分離されて標的に向かい飛翔経路を変更しながら敵の防空網を回避する。
DF-17が弾頭を搭載しているか不明だ。「DF-17は通常弾薬を装備しHGVの運動エナジーから破壊力を発生する構想だろう」とJane’sのアンドリュー・テイトがコメントしている。
推定射程が1000マイル程度なのでDF-17は西太平洋に展開する米軍に脅威となる。
元陸将の日大の吉富 望教授はDF-17の登場で既存の防衛体制は陳腐化するとロイターに述べている。「もっと高性能の弾道ミサイル防衛体制がないと日米両国は対抗できなくなる」
「こんな兵器が配備されれあば対応できる装備がない」とジョン・ホイテン米戦略軍司令官(当時)は上院軍事委員会で2018年3月に発言していた。
極超音速兵器は拡散しつつある。2018年12月にロシア大統領ウラジミール・プーチンがロシア軍が高性能極超音速滑空体をテスト中と認め「技術面ではすべて実証に成功した」と国営TASS通信が報じていた。
他方で米国は初のHGV部隊を発足させようとしている。ペンタゴンは2018年末にダイネティクスおよびロッキード・マーティンにあわせて7億ドル相当の契約を交付しており、「共通型の」極超音速飛翔体20基、誘導装置8式、発射台4基の製造をさせる。米陸軍がHGV発射部隊をはやければ2023年に発足させる。
米海軍、米空軍も同じHGVの導入を予定している。このうち海軍はトマホーク巡航ミサイル同様に潜水艦から垂直発射させるとする。
空軍は爆撃機に搭載する。B-1爆撃機を発射母機とする意向だが、B-1では信頼性が引き続き問題となっている。
一番乗りを競うロシアと中国は信頼性が低いままで配備することになるかもしれない。米国防次官(研究開発)マイケル・グリフィンが2018年にライバル国が進展をみせているものの、極超音速兵器研究では米国が世界のリーダーであることに変わりないと2018年7月に述べている。
ペンタゴンとしては未完成の装備品を第一線配備する必要はなく、焦る必要もないと達観している。「その必要もない」
米国の極超音速兵器の成熟化には「2020年代をかけて」かかるとグリフィンは述べる。「今後はテストのペースが加速し、2020年代初めに装備品が実現し、2020年代通じて成熟化する様子が今後見てもらえますよ」とグリフィンは語っている。■

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

コメント

  1. ぼたんのちから2019年10月9日 11:03

    中露の極超音速兵器が完成に近づき、あるいは実用化され米国は後れを取っているように見える。米国は極超音速兵器をまだ配備できず、また、現在、迎撃は極めて困難だ。
    この状況は、かつての米国のスターウォーズ計画の中露版のようだ。米国は、対テロ戦争と、その後の軍事費削減のつけを今払おうとしているようだ。
    米国の軍事的優位は相対的に低下し、東アジアや西太平洋はリスクの高い地域になることは間違いないだろう。米軍は、中国からより離れ、分散し、あるいは、強固な防衛システムに守られた基地に集中し、極超音速兵器の有効性を減殺しようとするだろう。
    しかし、よく考えてみよう。DF-17やアバンギャルドのような極超音速兵器の数には限りがあり、多くても数十程度であり、その程度の数で日本や西太平洋の米軍の基地機能を喪失させることはできない。通常弾頭を使用する限り準中距離・中距離ミサイルを加味しても同じだろう。そのように考えると極超音速兵器の効果は限定的であり、その位置づけは中距離ミサイルより多少ましな兵器と言える。
    米軍も近い将来、極超音速兵器や中距離ミサイルを配備するから、当面は、これらの兵器の競り合いとなるだろう。
    加えて既存のミサイル迎撃システムは、改良により極超音速兵器のより効果的な迎撃が可能となるだろう。さらに新たなミサイル迎撃兵器、レーザー兵器や電磁兵器等は進展が著しく、10年後には主要なミサイル迎撃システムとなると期待される。
    新たな攻撃・防御兵器の進展は、中露、それに対する日米どちらに有利に働くであろうか。今のところ日米が優勢と考えるが、中国の技術の進展も侮れない。ロシアはこの競争から脱落するだろう。
    いずれにしても、このような軍拡競争は当面続くことになる。

    返信削除
  2. たしかに、放物線を描く弾頭を迎撃するために構築された現行の防空システムでは、対抗は難しいでしょう。
    とはいえ、既存の弾道弾だって、数を撃たれれば対処できませんしねえ。
    中国人が用意できる弾道弾の数を上回る迎撃弾を備蓄するのは、今だって無理です。
    結局、チョー強力な指向性エネルギー兵器、あるいはレールガンの実用化しか対策はないのでしょうか。

    ところで、「エネルギー」は日本語化して久しいので、これを「エナジー」等とわざわざ英語読みにするのはいただけませんな。日本では、「エナジー」は別の役割が与えられておりまする。エナジードリンク、とか。エネルギードリンク、とは言わない。
    「オットーメララ」を「オートメラーラ」と書くのも気に食わない。
    「ドカティ」を「ドゥカティ」と(以下略

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...