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冷戦時のソ連核攻撃計画の概要が情報公開されました。実施されていれば我々は存在していないかも。



This Was America's Secret Cold War Strategy to Nuke Russia Back to the Stone Ageこれがロシアを核攻撃で石器時代に戻す冷戦時の米秘密戦略構想だった

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戦が熱核戦争になっていたら、米国とソ連は相互に破壊され尽くされていただろう。
今回初めてロシアのどの都市が標的になっていたのか、その理由が明らかになった。米政府が1950年代の戦略空軍(SAC)資料を機密解除し、米爆撃部隊とミサイルが共産圏を広く攻撃対象にしていたことが判明した。
「SACは東ドイツから中国まで都市1200箇所をリストアップし優先順位も決めていた」と今回情報開示を求めたNGO団体ナショナルセキュリテイアーカイブは解説。「モスクワ、レニングラードがそれぞれ第一位、第2位で、モスクワには179地点を爆心地に指定、レニングラードは145地点で人口高密度地点も含まれていた」
だが狙いは単なる破壊にあったわけではない。SACではソ連空軍力を一掃し爆撃機の発進阻止を優先していた。ICBMが実用化となる前の話で、米本土や西欧の爆撃を恐れていた。標的に指定された航空基地は1,100箇所で、Tu-16バジャーの基地がリスト上位にあった。ソ連の航空戦力が破壊されれば次はソ連工業力が次の標的となるはずだった。
だがその過程で多くの無関係な生命が犠牲になっていただろう。SACの標的リストは1956年の作成で1959年版の核攻撃案では一般都市も当然ながら含まれていた。
SACの戦争計画はソ連圏の都市工業の「系統的破壊」であからさまに都市部の「住民」を標的とし、北京、モスクワ、レニングラード、東ベルリン、ワルシャワがリストにあがっていたことが判明した。「意図的に民間人人口稠密部を標的とすることは今日では国際規範に反し、軍事施設への攻撃と都市部への攻撃は明確に区別されている」と研究者は述べている。
800ページにおよぶ文書には標的一覧と関連情報が載っている。SAC立案部門は1959年にB-52、B-47爆撃機の他RB-47偵察機、F-101援護戦闘機合計2,130機の動員を想定していた。また核搭載巡航ミサイル、爆撃機搭載ミサイルが376発あり、初期段階の中距離弾道ミサイルも使えた。1959年の研究ではミサイルは標的に命中する確率が低く(ICBMの実用化は1960年代以降のこと)、有人爆撃機が攻撃手段の中心だった。
SACにはソ連空軍力を早期に破壊するねらいがあり、水爆は地上爆発の設定だった。空中爆破だと熱、放射線ともに出力が増大するが、爆風でソ連の空軍機材や基地を破壊する狙いだった。ただし想定外の副作用もあっただろう。「地上爆風とともに放射性降下物が友軍や陣営内都市にも影響を与えることも考慮されたものの、空軍力除去がなんといっても最大の目標だった」とSAC検討内容にある。
ただしSACではソ連空軍力のインフラを広く解釈し、指揮命令所、産業集積地もその一部としていた。そのためモスクワは多数の軍事司令部、航空機ミサイル工場、核兵器研究機関、石油精製所があることから上位に来た。
核時代に入っていたのにSACの戦略には第二次大戦のドイツ、日本爆撃を思わさせる要素が多かった。ソ連空軍力とインフラを標的にするのは大戦中のB-17やB-29爆撃隊と同じ狙いで、1950年代のSACは当時の人員が中心となっていたせいだ。その中心はカーティス・リメイであった。ソ連は核の一次攻撃を受けても爆撃機や核兵器の大量生産を行う力を温存し、戦況は長期化する前提だったようである。ミサイルが信頼性に欠け、有人爆撃機しか信頼に足る手段がなかったというのは今日の無人機対有人機の論争を思わせるものがある。
SACの標的リストは機能しただろうか。それを試す機会が生まれなかったのは人類にとって幸運なことだった。■



コメント

  1. ぼたんのちから2019年9月30日 11:24

    「狂気」に支配された冷戦初期の核攻撃計画であるが、現在もその計画の骨格は変わらないかもしれない。
    核兵器の威力の制御や運用の洗練化、運搬手段の多岐化や防衛手段の実用性向上は、現在の核大国がおしなべて行っていることである。このようなことは、敵国の核戦略を出し抜き、より効率的に敵国を破壊するためのものであり、また、核兵器使用のハードルを下げるものである。
    この意味で現在も「狂気」に支配されていることに変わりないのかもしれない。
    現在、この「狂気」の世界の不確定要素は、中国である。中国は核兵器増強をもくろんでいるかもしれない。2019年のSIPRI分析では、中国の保有核兵器数は、290と推測されているが、観測しにくい地下の万里の長城を作った意味を考えると、有事の際の核報復戦力の防御、維持のみのためでなかろう。実数は桁が一つ上がる可能性もあると考える。
    中国は、核先制不使用を言っているが、ある日、核心的利益や領土の侵害は核攻撃も有り得ると言い出すかもしれないと個人的には考える。
    さらに、中国を盟主とする「北京ブロック」の主要メンバー国、北朝鮮、イラン、パキスタンは、核兵器を既に保有しているか、それを目指している。
    盟主である中国が、どのような目論みでこのような核拡散を行うのか、世界覇権を狙う中国の戦略に絡めて深く分析すべき時に来ていると考える。

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