Locked and Loaded: Could Iran Sink the U.S. Navy If
War Breaks Out?
イランにはミサイル多数がある。それで艦船を沈められるのか Could they start sinking warships?
2009年、中国が移動式中距離弾道ミサイルDF-21Dを開発し900マイル先の艦船撃破を狙っていると明らかになった。この技術は当時出現したばかりだったが、米原子力空母の残存性が議論になった。というのはDF-21Dが空母運用の攻撃機材の戦闘半径より外から狙い撃ちできるためだった。このことから米海軍は対弾道ミサイル機能を駆逐艦、巡洋艦にSM-3ミサイルとして装備することを迫られた。
弾道ミサイルは弧を描く弾道で飛翔距離と速度を最大限に確保する。大気圏外に一旦移動してから考えられないほどの速力で標的に向かうこともある。DF-21はマッハ10までになる。ただし、10年前は対艦弾道ミサイルそのものが存在しておらず(ソ連が開発を試みたものの実用化できなかった)、というのも都市破壊用の弾道ミサイルはともかく移動中の小型標的を正確に狙う技術が未確立だったためだ。
とはいえ、わずか二年後にイランも対艦弾道ミサイル開発に成功したと発表してきた。イランは自国軍事技術を誇張したり虚偽の作り話をすることが多いが、2013年に流出した映像にはミサイルテストが成功した様子が写っていた。また2014年には米情報分析で同ミサイルの配備が確認されている。このミサイルにはハリジファルスKhalij Fars(「ペルシア湾」)の名称がつき、イラン国産開発短距離弾道ミサイルファテFateh-110の派生型だ。トラック搭載型のファテ-110は固形燃料を使用しているため短時間で発射可能だ。液体燃料ミサイルでは発射準備に数日かかる。
ペルシア湾の名称をつけたミサイルは電子光学赤外線シーカーで重量1,433ポンドの弾頭を移動する海軍艦船二名中させることができるというが、イランがシーカー部分を隠した写真しか公表していないため事実は確認不可能だ。イラン国内記事では2013年のテストでミサイルは移動中の艦艇目標に誤差8メートルで命中したとある。2014年のCSIS評価ではハリジ・ファルスミサイルの誤差は平均数十メートルで、革命防衛隊にすでに配備済みとある。
ただしファリジ・ファルスの射程はDF-21の四分の一程度の190マイルから220マイル程度であり、飛翔速度もさほど高くないマッハ3程度である。であれば、ファリジ・ファルスの迎撃は比較的容易だ。
中国のASBMでも同様だがファリジ・ファルスでも観測機材が別途必要で初期段階の目標方位を慣性誘導装置に送る必要がある。(GPS誘導も導入している可能性がある) 米水上艦艇の移動速度は30ノット程度なので空母はミサイルの「標的ボックス」内に入ると電子光学誘導によりミサイルの降下段階では進路変更しても限界があるだろう。空母部隊の艦艇は同ミサイルの発射状況を把握でき、退避行動で標的ボックス外に出ようとするだろう。そうなるとイランも複数のミサイルを発射し標的にしようとするはずだ。
ただし、ペルシア湾とは実は狭い海域でホルムズ海峡の35マイルが一番狭い部分で最大でも220マイルしかない。そうなると移動発射台を攻撃範囲に対応して多数配備することは困難ではない。ミサイルの最大速度が毎分38マイルのため早期警戒に使える時間も限られ、迎撃ミサイルの対応も困難になる。
広い太平洋と違い、ペルシア湾内で艦船の位置をつきとめ標的情報を得るのは容易になる。イラン海軍および革命防衛隊海軍は各種の偵察機材を運用しており、モーターボートから半潜水式舟艇、米製CH-53やSH-3ヘリコプター、無人機、バヴァール-2ホバークラフト、地上配備探知レーダーを投入するはずだ。
2014年にイランは高速(マッハ4)の対放射線仕様のハリジファルスをホルムズ-1、-2として陸上、海上運用型として展開しており、おそらく世界初の対レーダー弾道ミサイルである。対放射線ミサイルは艦艇が有する強力なレーダーという利点を逆に不利な条件にしてしまう。レーダー誘導からホーミングするためだ。そこで艦艇はレーダーを切り、ロックを解除するがその他の脅威に身をさらすことになる。
ホルムズミサイルは長距離のゾルファガーと同じ発射装置を共有できる。これにより対艦ミサイル部隊は短時間で多数の発射が可能となり防衛体制を飽和できる。さらに1991年の湾岸線の教訓から航空優勢状態が確立していてもトラック搭載弾道ミサイルの位置を突き止めることは恐ろしく困難であることがわかっている。
2018年8月にイランはファテモビン{輝かしき制服者)をファテ-110の派生型として赤外線シーカーを最終段階の誘導方式に使うと発表し、レーダー探知を逃れると主張したが、外観上それを裏付ける兆候は見られない。モビンのシーカーは明らかに対艦と対地攻撃両用だ。
2018年10月には革命防衛隊航空宇宙軍の司令官アミール・アリ・ハジゼダからイランが射程700キロの新型ASBMを開発したと主張した。これだとオマン湾も射程に入る。米水上艦艇にはイージス防空システムから大きな効果を受けており、ハリジファルスより高性能のミサイルにも対応可能だ。さらに米空母は常に支援用艦艇と同時に運用される。
ただし革命防衛隊の短距離ASBMはペルシア湾内の一部方面に展開しているのでその位置を探知する機会は多数生まれる。さらにASBM攻撃は水面ギリギリを飛翔する対艦巡航ミサイルとことなる飛翔経路を取ることで、多数のミサイルを同時発射する飽和攻撃で、各種ミサイルを取り混ぜて発射すれば防衛側を圧倒する可能性もある。
ペルシア湾内を通行する民間商用船舶の存在が重要であることから、イランはASBM改良に注力しながら世界にその能力を喧伝して通常兵器による抑止効果を保ちつつサウジアラビア、イスラエル、米国との緊張を高めていくのだろう。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in
conflict resolution from Georgetown University and served as a university
instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education,
editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently
writes on security and military history for War Is Boring. This first appeared
earlier in the year.
今回の攻撃は、明らかな戦争行為だ。今までの挑発行為と次元が異なる。この攻撃によりサウジは、国家の主要収入の半分を一時的にせよ失った。このような攻撃が続くと、サウジは立ち行かなくなるから、戦争を始める理由に成り得る。
返信削除攻撃に使用された巡航ミサイルやドローンが、フーシ派でなく、イランが直接打ち込んだとなれば、なおさら戦争理由になり易い。
イランの最高指導部と革命防衛隊は戦争を辞さないのであろうか。この記事のように対艦ミサイルや、以前のこのブログ記事のように潜水艦や、ドローンを撃墜した対空ミサイル網等のA2/AD戦略に自信を持っているようにも見える。
また、極度の軍事的緊張の陰で、イランは核兵器の開発を行っているだろう。
イランの強硬な姿勢の背後に「北京ブロック」がある。核兵器を含め、様々な装備の開発や装備は中国や北朝鮮等の「北京ブロック」を通じた支援がなければ達成できなかったであろう。
中国は、米中経済戦争で疲弊し、打開策の一つとしてとして米国を追い込むような国際的混乱を望んでいるだろう。
イランとの戦争が始まり、米国と米軍が疲弊することは、中国の利益である。反米姿勢を鮮明にし、国際的に反米勢力を中国の下に糾合し、さらに米国を疲弊させる大規模で長期の中東での反米戦争を促し、さらに最終的に米国に対する政治的・軍事的勝利を得たい中国にとって好都合な状況になるかもしれない。
今回の攻撃は、米国にとって外交的・軍事的失敗を意味するだろう。イランに対する軍事力の誇示は十分でなく、イランを封じ込めるのに失敗した。トランプのマッドマン戦略は、メッキがはがれてしまったように見える。
追い込まれたサウジと米国は、イランとの戦争を決断するかもしれない。ドローン工場を攻撃すべきとの報道もあるが、イランに対する小規模の限定的攻撃は、報復と反撃の繰り返しになり、効果が薄いだろう。何よりもそのような時期は過ぎ去ったのと、十分な軍事力の背景が無ければ、目的であるイランの封じ込めを達成できないだろう。
米国は、先ずは国連を舞台に、イラン制裁の拡大などを求めるだろう。それに対し中国は拒否権を使うかもしれない。イランは非妥協的姿勢を続けるであろうから、本当に戦争が始まるかどうかは、その間にサウジの防衛力をどのくらい高められるか、そして米軍とNATOなど他同盟国の軍事力の集中の程度によるだろう。