太平洋のマリアナ諸島沖で行われたSINKEXで、元USSジュノーは、大型魚雷の直撃により船尾の大部分が数十フィートも空中に吹き飛ばされた後、左舷に大きく傾いている。(米海軍/MCSアンソニー・ヴィラルディ)
「リベレーター」は米海軍の新型海底空母キラーとなる
Liberator: Understanding the U.S. Navy’s New Seabed Carrier Killer
2026年8月26日公開
カーター・ジョンストン著
「リベレーターLiberator」は、無人潜水機(UUV)向けの最先端遠距離攻撃能力として米海軍の予算案に盛り込まれ、大型魚雷の海中配備を可能にする
2025年、米海軍は「リベレーター」計画をこっそり公表した。これは、遠征環境や敵対環境向けを想定しtコンテナ化された大型魚雷の開発、試験、実戦配備に焦点を当てた取り組みである。2025年6月に公表された5,000ページに及ぶ研究開発予算書の奥深くに隠されていたこの計画について、海軍は「魚雷または類似装置のための代替発射システム」を開発する手段であると簡潔に説明しただけで、それ以上の情報は明かされなかった。
今年、リベレーターの目的と能力に関する新たな詳細が明らかになった。依然として厳重に隠されているものの、その内容は、同システムの用途や配備プラットフォームについてこれまで知られていたことや推測されていたことをはるかに超えるものである。
「リベレーター」は、魚雷および機雷戦での「革新的なアプローチ」であり、「海底に設置され、様々なペイロードを発射する固定式システム」として展開される。開発は数年前から進められており、2026会計年度には、実物大の試験用資産の設計・製造に向けた試作段階を推進するための資金が割り当てられた。
このシステムは、米海軍の「オーカ(Orca)」超大型無人潜水機(XLUUV)の機能拡張として、同海軍の「マーク48アドバンスト・キャパビリティ(ADCAP)」重魚雷をさらに活用するための、ステルス性が高く秘密裏に投入可能なツールとして機能することを目的としている。コンテナ化(および密閉)されたADCAPを搭載するこの展開可能システムは、オーカの全長10メートルの多目的ペイロードモジュールを基に設計されているようだ。これは、ハンター(既知のオーカ用ペイロード運搬システム)に対する付帯要件に基づいており、予算文書によれば、その試験および実戦配備はリベレーターの開発と試験に依存している。
「ハンター・プログラムの調達戦略は、リベレーター・プログラムのスケジュールに合わせて、FY28第1四半期までに策定される予定である」と、米海軍のFY2027研究開発予算には記されている。
本誌は以前、2024年に実施されたオーカへの最初のペイロードモジュール搭載について報じており、少なくとも1つの大型の垂直開閉式ミッションベイが確認できた。ミッションベイのサイズから判断すると、リベレーターのようなサブシステムを展開できる可能性がある。ミッションベイの以前のレンダリング画像には、少なくとも12基の大型魚雷発射管が搭載されている様子が示されていた。レンダリングとは異なり、「リベレーター」は、オーカXLUUVに対し、ADCAP用の自律型海底発射装置を展開する能力を与える。これにより、無人潜水艦は直接的な戦闘から遠ざかることができる。
実戦環境で「リベレーター」は、オーカやその他のプラットフォームから、争奪中あるいは立ち入り禁止の水域の海底へ、ある程度の時間的余裕を持って密かに展開され、高価値な敵潜水艦や水上艦を辛抱強く待ち構える。米海軍の予算文書によると、こうした標的には「到達困難な場所」にあるものも含まれる。オーカやその他のXLUUVは、海上要衝や敵対海域に数十基の「リベレーター」ペイロードを投下することが可能であり、それらはすべて、SINKEX(艦船沈没演習)において長年にわたり「とどめの一撃」として使用されてきた、艦船を撃沈する重魚雷を装備している。
今年初め、太平洋のマリアナ諸島沖で行われたSINKEX(沈没演習)において、日本の89型重量級魚雷が、元米海軍艦「ジュノー」の船尾の大部分を数十フィート上空へ吹き飛ばした。89型は米海軍のマーク48 ADCAPよりも弾頭は小さいが、この演習においてジュノーに対して致命的な威力を発揮した。(米海軍/MCS アンソニー・ヴィラルディ)
本誌はすでに、「リベレーター」によるMark 48 ADCAP重魚雷およびMark 54軽量魚雷(LWT)の将来的な配備に向けた道筋を明らかにしている。前述の通り、このシステムには追加の搭載兵器を組み込むことも可能だ。例えば、国防革新ユニット(DIU)を通じて開発された片道攻撃型無人潜水機(UUV)や、ADCAPと同等のサイズに複数の魚雷を収めることを目指し、現在艦隊向けに開発中の「マーク54コンパクト・ラピッド・アタック・ウェポン」といった新型魚雷などが挙げられる。
重魚雷を収納した「リベレーター」のような海底プラットフォームは、一連の機雷戦用魚雷エフェクターの最新形態であり、米海軍の冷戦時代の「マーク60 CAPTOR」や、より最近の「ハンマーヘッド・エンキャプシュレーテッド・エフェクター」を基盤としている。後者は、対潜戦においてすでにマーク54 LWTを採用している。カプセル化されたADCAPは、これら両者より射程が飛躍的に長くなり、大型水上戦闘艦に対する追加能力も米国海軍にもたらすだろう。公開されている推定値によると、この大型魚雷の射程は12~21海里を超えるとされている。
また、カプセル化型ADCAPは「ハンマーヘッド」と比較して、殺傷能力も劇的に向上する。ADCAPは、最大級の損害を与えるため艦艇の船体直下で起爆するよう設計された650ポンド(295kg)の弾頭を装備しているのに対し、「ハンマーヘッド」は潜水艦を破壊することを目的とした100ポンド(44kg)の弾頭しか備えていない。
これほど巨大な弾頭は、小型コルベットから10万トン級航空母艦に至るまで、戦闘作戦でほぼあらゆる種類やクラスの艦艇に甚大な損害を与える能力がある。
台湾海峡やルソン海峡のような場所に配備されれば、リベレーター・システムによって、敵の潜水艦や、空母、強襲揚陸艦、補給艦といった重要目標をすべて脅威にさらすことができる。海底に設置されたこのシステムは無力化することが極めて困難であり、敵の艦艇や潜水艦を太平洋の第一島嶼線内に封じ込めることになる。
本誌はリベレーター計画とその目的について2025年7月、初めて報じた。記事では、コンテナ化されたペイロードを活用して発射効果を生み出すことを目指す無人水上艦(USV)やXLUUVといった無人プラットフォームへの独自の適用について言及した。同年10月に開催された機密扱いの業界説明会では、リベレーターとハンターの両方の要件について業界パートナーに説明が行われ、両者の要件と能力が共通していることが示された。当時、米海軍当局者は「リベレーター」の詳細についてコメントを控えていた。
「無人・小型戦闘艦プログラム執行局(PEO USC)がこの取り組みを主導しており、来週、業界パートナー向けに『リベレーター』および関連する無人潜水機(UUV)ペイロード『ハンター』について3.5時間のプレゼンテーションを行う予定だ。ハンターは、ボーイング社の『オーカ XLUUV』の共同緊急作戦要件(JEON)向けに設計された、戦闘能力強化ペイロードである」と、 本誌は2025年に報じ、リベレーターの目的について、オーカの以前から知られていたハンター・ペイロード・モジュールと密接に関連したプログラムであると推測した。「ハンターがオーカ向けにADCAP魚雷も統合するかどうかは不明だが、両者の組み合わせから見て、その可能性は示唆されている。」
米海軍は、2026会計年度の今四半期中に、プロトタイプに関する競争入札による「その他取引権限(OTA)」契約を複数の競合他社に授与する見込みであり、その結果を踏まえて、2027会計年度に予定される量産契約に関する決定が行われることになる。2027年には、メンテナンスおよび運用試験計画が最終決定されるほか、艦隊乗組員向けの初期訓練も実施される。同年後半には、リベレーターのエンドツーエンドの能力を検証する海上実証試験が行われる予定だ。■
カーター・ジョンストン
カーター・ジョンストンは、ジョージ・ワシントン大学の学部生で、国際関係学および国家安全保障学を専攻している。彼の関心は、造船所のインフラ、およびインド太平洋地域の勢力均衡を形作っている米海軍と米海兵隊の新たな戦術・技術に焦点を当てている。
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