スキップしてメイン コンテンツに移動

PAK-DPことMiG-41の開発を進めるロシア、性能が本当なら亜宇宙戦闘機としてミサイル防衛の要になるのか。

 

ッハ5級の戦闘機というとすごいが、設計図のまま終わるかもしれない。Su-57が量産に入ろうとする中、ロシアが次世代戦闘機の基礎技術作業に向かっている

第六世代ステルス迎撃機との触れ込みのPAK-DP別名MiG-41は現行のMiG-31「フォックスバウンド」迎撃機の後継機に期待されている。ミコヤン設計局長のイリヤ・タラセンコがロシア報道陣に2018年語ったところではMiG-41事業は「試験設計段階」に入っており、完成まであと10年とのことだった。もちろん「完成」と量産は異なる。PAK-DPの生産規模は不明だし、どこまで迅速に実現するかも不明だ。

 

最終設計は2019年末に決定し、PAK-DPはMiG-31のコンセプトをもとに製造するとタラセンコは2020年夏に述べていた。実現すれば相当の性能向上となり一気に30年分の技術が進展する。MiG-31は最高速度マッハ2.8だが巡航時は2.3がやっとだが、MiG-41は最高マッハ4から4.3、巡航速度がマッハ3と圧倒的な水準となる。最高速度はマッハ5になるとの見方もロシアにある。

 

MiG-41は超高度飛行を実現するといわれるが、詳細は不明だ。ロシア国防分野の専門家はPAK-DPは大気圏の末端を飛行すると見るが、タラセンコがロシア通信社のRIAノーボスチに同機に大気圏外飛行性能があると述べたのが原因のようだ。

 

 

以前の報道でミコヤンは無人機型PAK-DPの実現を目指すとあったが、実現の可能性は今のところないと見てよい。軍事技術に詳しいサミュエル・ベンデットは「既存有人機を無人機に改装するには技術課題が多く、投入すべき資源も多大となる。ロシアの高性能UAV技術はまだ十分ではない水準だ」とNational Interestに述べていた。

 

PAK-DPの装備品も不明だ。ロシア航空宇宙軍司令を務めたヴィクトール・ボンダレフが今年初めに記者団にMiG-41にR-37長距離空対空ミサイルはじめ、「完全新型ミサイル」も搭載すると述べていた。R-37は初期構想が1980年代で一線配備開始は2019年と長期の研究開発期間を経ている。MiG-41が量産に入る時点でR-37は旧式化しているはずだ。より近代的かつ極超音速の「R-37M」が開発中だが、MiG-41に搭載できるのか注目される。

 

ロシア紙イズべスティアによれば、MiG-41は「多機能長距離迎撃ミサイルシステムで極超音速ミサイルを撃破する」とあるが、このコンセプトでロシア地上レーダーあるいは早期警戒網で敵極超音速飛翔体を探知すれば、MiG-41が迎撃ミサイルを遠距離地点から発射するとある。このミサイルはその後二つの小型ミサイルに分離し、目標に正面から衝突して撃破する構想だ。ロシアの国防専門家ディミトリ・コレネフはこの装備で敵の極超音速兵器発射装置を先に攻撃するのだという。MiG-41の迎撃装備があればロシアのミサイル防衛体制が安泰となるが、そもそも同機でICBMを狙えるのか、それとも戦術極超音速ミサイルを対象にするのか不明だ。

.

PAK-DPはロシアの戦闘機の頂点に立つ存在となるのか。しかし、その他ロシア製軍事装備品の例にもれず、現在入手できる情報は報道記事、業界の内部リーク、専門家の意見に限られる。PAK-DPがどう進化していくのか興味をひかれる。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Russia's Mysterious PAK-DP Stealth Fighter: 6th Generation Game Changer?

 

October 27, 2020  Topic: PAK-DP  Blog Brand: The Buzz  Tags: PAK-DPRussiaMilitaryStealthSu-576th Generation Fighter

by Mark Episkopos

 

Mark Episkopos is the new national security reporter for the National InterImage: YouTube Screenshot. est. 


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...