スイスといえば永世中立国ですが、その中立を守るため強力な空軍部隊が必要な実態は中立非武装で平和が実現するといまだに信じる人にどう映るのでしょう。National Interest記事のご紹介です。
ロッキード・マーティンのF-35ライトニングII共用打撃戦闘機の次の購入先にアラブ首長国連邦があがっているが、実現するかはっきりしない。一方で同機のスイス売却で米国務省の承認が下りている。
スイスへの売却承認の直前にスイスは住民投票で戦闘機部隊の機材を米国装備に更新する案を承認していた。だが、得票率は50.1%、票差はわずか8,670票だった。
米国防安全保障協力庁(DSCA)は議会に売却案を以下通告していた。
「今回提案の売却案件は米国の外交政策ならびに安全保障に資するものであり、ヨーロッパの政治的安定並びに経済発展の維持に大きな影響を及ぼし続けているヨーロッパ友邦国の安全保障の向上につながる」
スイスはF-35Aの40機購入を希望しており、付属品まで含め65.8億ドルの調達規模になる。合わせてF/A-18E/Fスーパーホーネットも40機導入を総額74.5億ドルでめざす。F/A-18E単座型が36機でF414-GE-400エンジンを搭載する。F/A-18F複座型は4機でF4140GE-400がエンジンだ。
さらにスーパーホーネットには予備エンジン16基、M61A2 20mm機関砲44門、高性能標的前方ロック赤外線(ATFLIR)ポッド25基、AN/ALR-67(V)3 電子戦対抗装置受信器55基、AN/ALQ-214統合対抗装置55基も導入する。
F-35案件ではプラット&ホイットニーF135エンジン46基、サイドワインダーAIM-9XブロックII+空対空ミサイル40本、再度ワンダーAIM-9XブロックII訓練用ミサイル50本、サイドワインダーAIM-9XブロックII特殊訓練用ミサイル6本の導入が含まれる。
国務省はペイトリオット防空システムの売却も先に承認しており、こちらは22億ドル相当といわれる。
スイスは1815年パリ条約で中立となって以来、国外の戦役に加わった事例がない。第二次大戦中に、連合国が同国に誤爆した事例があったが、ドイツの戦況が好転していればスイスへの侵攻もありえただろう。
中立国というもののスイスは相当の軍事力を維持しており、兵役は国民の義務となっている。
スイス空軍の現状の兵力は飛行隊3個でF/A-18ホーネット30機、F-5タイガーIIが53機ある。国土規模のためスイス空軍が常時警戒態勢をしくことはまれだったが、武装ジェット2機を常時待機させる体制に向かっている。訓練を除けば、中立国スイスの機材が国外に展開することはない。■
この記事は以下を再構成したものです。
F-35 Joint Strike Fighter: Coming Soon to Switzerland's Air Force?
October 5, 2020 Topic: Security Blog Brand: The Buzz Tags: F-35MilitaryTechnologyStealthSwitzerlandAir Force
by Peter Suciu
Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.
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