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2020年大統領選挙;外交安全保障政策に関するトランプとバイデンの違いは?あなたなら選ぶのはどちら?

    

 

 

11月3日の投票日が近づいてきた。 (Drew Angerer/Getty Images)

 

我々に投票権はありませんが、11月3日が歴史の分かれ目になる可能性があるわけで、大統領の座を目指す候補者の見識に注目が集まります。難しい選択なのかもしれませんが、どうもバイデンの言っていることには真実味がない気がします。左翼のめちゃくちゃな主張を前にバイデン大統領だと思考停止行動不全になりそうです

 

 

軍備管理について

ドナルド・トランプ大統領: トランプ政権は2015年のイラン核合意、1987年の中距離核兵器条約双方から脱退し、さらに1992年のオープンスカイズ条約も破棄する構えだ。ミサイル技術管理体制の緩和で武装無人機の海外販売制限も取り除いた。これは中国が中東で防衛装備を通じた関係強化に向かうのを見ての対応だ。2010年調印の新START核兵器削減条約は来年2月失効するが現政権に延長の意向がないようだ。政権の言い分は新しい枠組みとしロシアの戦術核兵器増強に加え中国への対応を目指すというものだ。中国の核兵器体系はまだ小規模だが増加傾向にあり、しかも条約に調印する姿勢はない。

 

ジョー・バイデン前副大統領: 軍備管理を主張する向きから支持を受けるバイデンは新STARTを一新し、ロシアが提言する無条件5年延長を受け入れそうだ。イラン核合意についてもイランが条約を完全実施すれば再度加入すると発言している。トランプ大統領は紛争地帯での地雷の利用で米軍が受けてきた制約を緩和したが、バイデンは一般市民が危険にさらされるとし流れを戻したいという。

 

核兵器について

トランプ: 現職大統領は核兵器の三本柱すべてで近代化を続けるとみられ、予算環境が厳しい中でも議会は超党派でこれを支持している。トランプ政権はW76-2潜水艦発射型低出力核弾頭でロシアに対抗するとし、潜水艦発射型の巡航ミサイルSLCMの実現もめざす。トランプ政権は445億ドルの核兵器関連予算を2021年度に求めており、既存核弾頭の供用期間延長とともにW93潜水艦発射型弾道ミサイル弾頭の開発もすすめ、プルトニウムの増産で核弾頭を年間少なくとも80個生産させる。

バイデン: バイデンからはトランプの拡大路線にブレーキをかける意向が感じられる。W76-2及びSLCMには反対の姿勢だ。バイデンは左翼からの圧力を受け、現行ミニットマンIIIを新型ICBMで更改する方針を撤回するだろうが、本人はまだ意向を表明していない。核兵器投入の選択肢を残す現行政策の見直しをしたいとの発言があった。

 

国防予算について:

トランプ: ペンタゴンの五か年国防構想では2021年以降はコロナウィルス関連支出のため国防予算は横ばいになるとあり、これは大統領当選者にかかわらず既定の方針だ。トランプは2018年に7千億ドルの大規模国防予算で記録更新したが、さらに2019年に7,160億ドル、2020年には7,330億ドルへ膨れ上がり、宇宙軍も創設した。国防予算を大量に流用し、国境の壁を建設したが、国防予算7,500億ドル規模となるのは「クレージー」と切り捨てた。

バイデン: バイデンはトランプが「国防支出に関する限り財政規律を放棄している」と言っているが、大統領に当選しても国防費の大幅削減はないと見ている。ロシア、中国を封じ込めるためバイデンは「意味のなくなった既存装備」から「技術イノベーションに賢い投資」へ転換するとし、サイバー、宇宙、無人装備、人工知能を重視するという。これまで軽視されてきた非軍事部門への投資を重視するとし、外交、経済力、教育、科学技術を対象にする。

 

アフガニスタン、イラク、イランについて:

トランプ: 両候補とも「終わりなき戦争」をよしとせず、ともに米軍部隊をアフガニスタンから撤退させると公約している。米国はタリバンとの和平交渉を経て6月にはプレゼンスを8,600名に削減したが、11月までに4,500名にとする予定で来春にはゼロにする。イラクについてトランプ大統領は現行の5,200名を11月に3千名に削減するとした。イランに関しては、核合意から米国脱退を決め、最大限の圧力をかけるべく厳しい貿易制裁を課した。政権はイラン代理勢力の民兵組織指導者が米軍部隊やイラク国内の外交使節を標的にしていると同盟各国へ警告している。

バイデン: バイデンはイラク、アフガニスタンから米軍部隊を帰国させると公約しているが、対テロ部隊は残留させるようだ。バイデン陣営は小規模作戦(特殊部隊主導か)を好む傾向があり、大規模かつオープンエンドの部隊展開よりよいとする。バイデンは上院議員時代にイラク戦争に賛成票を投じており、今回の選挙運動でもオバマ政権時のイラク派遣軍15万名体制の縮小に大きな役割を演じたと強調している。イランについて、核兵器をイランが取得するのを防ぐことに全力を挙げるとし、制裁措置は継続しながらも外交による解決方法を残すとした。イスラエルとは密接に協力し、イランまたは代理勢力からの同国防衛を確保すると述べた。

 

武器売却について:

トランプ:トランプ政権の外交政策では米製装備品の販売を中心の課題に据えてきた。大規模案件の審査を迅速化し、武器輸出を簡素化し、ミサイル技術管理体制下での武装無人機販売の条件を緩和したうえ、米外交団に米国製装備品販売の促進を指示した。オバマ政権で止まっていた案件を進めて議会と対立しているのは、サウジアラビア案件で、同国がイエメンとの戦闘に直接関与しているためだ。トランプ政権は米製装備品売却による経済効果を強調するが、ロシア製中国製装備品にかわる選択肢として米国装備品を売り込み米国の影響力を維持する狙いもある。

バイデン: バイデンは武器輸出について明確な立場を表明していないが、イエメンで展開中のサウジ主導の戦闘は終結させると発言している。米サウジ関係を見直すとし、同国への武器販売は認めない意向だ。(サウジアラビアは米国製武器の最大の購入国)選挙運動ではトランプ政権の武器販売ルールを見直し、認証権限を国務省から商務省に変更するとある。

 

NATO・欧州について

トランプ: トランプ政権の外交政策は初期段階に「同盟各国に相応の負担をさせる」とし、とくにNATO加盟国に最低でもGDP2パーセント相当の防衛費負担を2024年までに実現させるとしていた。この比率はNATOが認めた目標でもある。トランプ自身は同盟各国が米国の負担を使う「不良」だと誤って述べることがある。また欧州各国に厳しい貿易ルールを求めて各国との緊張を増している。

バイデン: バイデン陣営はトランプ側と対照的に、傷ついた同盟関係の回復をめざすとする。バイデンはトランプが米欧関係を追い込んだと非難した。バイデンは「次期大統領は米国の評判を回復し、国家指導部間の信頼を再建し、米国・同盟国の力を発揮することで新課題に向かうべき」と述べている。また「米国の民主体制を一新し、同盟関係も見直し、米国の経済、未来を守ることで米国を世界の指導者に復帰させる」と公約。当選後はドイツから部隊引き上げを検討すると同陣営の上級外交政策顧問が述べている。

 

中国ロシアとの競合について:

トランプ: トランプ政権が打ち出した国家防衛戦略構想では超大国間競合が新時代に入ったとしている。紙の上ではロシアを想定するものの、同政権の経済・軍事上の焦点は中国にあてられている。トランプ大統領の発言は特にCOVID-19の大量発生後に厳しさを増し、「中国ウイルス」とさえ呼んだ。軍事面ではペンタゴンが太平洋重視に姿勢を変更しつつあり、欧州から兵力を撤退させようとしている。

バイデン:上院議員当時にバイデンは中国との関係改善を民間取引強化で目指すべきと主張した。だが現在は中国を「米国並びに太平洋欧州の同盟各国にとって最大の戦略上の挑戦」と呼び、トランプ大統領と数少ない共通認識といえる。バイデンは習金平主席を「やくざ者」と呼び、中国が米企業や国民を操ろうとした場合は「迅速な経済制裁」を課すと公約している。トランプはロシア大統領ウラジミール・プーチンとよい関係を維持しているが、バイデンが当選すれば状況は変わりそうだ。バイデンはトランプはプーチンの「いいなり」とし、プーチンには「貴殿には良心がない」と直接伝えるそうだ。

 

上記内容は以下の取材源を採録した。

Defense News; Military Times; Al-Monitor; Arms Control Association; Center for International Policy; CNBC; CNN; Council for a Livable World; Defense One; Foreign Affairs; Forum on the Arms Trade; Los Angeles Times; Military Officers Association of America; New York Times; New Yorker Magazine; Reuters; Stars and Stripes; The Associated Press; Vox; Washington Examiner; and Washington Post.


この記事は以下を再構成しました。


Find out where Trump and Biden stand on defense and security issues

By: Aaron Mehta and Joe Gould


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