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米海軍と合同演習を実施した航空自衛隊F-35Aは、いずも級空母の登場前に海上航空作戦の知見を深めている。米艦に空自F-35Bが搭載される日が来そう。

 

U.S. NAVY/MASS COMMUNICATION SPECIALIST SEAMAN MATTHEW CAVENAILE

USSアメリカ(LHA-6)上空を飛行する航空自衛隊所属のF-35編隊October 20, 2020.

上配備の日本F-35A編隊が米海軍の新鋭強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)と「高度連合作戦」演習を2020年10月20日西太平洋で実施し、統合防空演習に日米両国の部隊が参加した。

USSアメリカ発表では今回の演習の狙いは「戦術対応力とともに、米遠征打撃集団と日本航空自衛隊の海上での共用作戦体制を強める」ことと発表。なお、同艦は日本が母港で西太平洋地区で作戦を展開している。▼「六十年間にわたり日米同盟はインド太平洋の安定と安全の基礎となってきた。自衛隊ほど強力なパートナーは世界にない。ともに訓練を重ね相互作戦能力を強め、両国の統合能力を強化していく」とUSSアメリカ艦長ルーク・フロスト大佐がコメントしている。」▼「訓練はとても良い機会になった」と航空自衛隊第三航空団飛行隊司令の野村真一一佐も述べている。「他軍部隊との演習は相互作戦能力向上に不可欠だ」

発表された写真で航空自衛隊の通常離陸型(CTOL)F-35A2機が2020年10月20日の演習に参加していることがわかる。▼短距離離陸推力着陸型(STOVL)のF-35Bが日本に配備され、いずも級空母に搭載される日が来る。日本はいずも級を当初ヘリコプター駆逐艦と称していたが、実態は軽空母だ。▼今年はじめに米国務省はF-35B合計42機の日本向け売却を承認した。日本が合計147機のライトニングIIを導入すると米国に次ぐ規模のF-35運用国となる。

そこで日本のF-35Bは米海軍の強襲揚陸艦や海兵隊F-35Bと共同作戦の機会が増えそうだ。合同訓練で日本はいずも級空母二隻の運用開始から技量を獲得できる。▼ヨーロッパでは米海兵隊F-35Bが英海軍空母HMSクイーン・エリザベスへ搭載され、来年にも作戦展開を始める。海兵隊機材で英海軍は固定翼機兵力が強化され、米海兵隊は英海軍とSTOVL運用の知見を共有できる。▼同様の取り決めができれば日本のF-35Bが米海軍強襲揚陸艦に搭載され海兵隊機材と運用可能となる。

日本側も米海兵隊との共同運用に前向きだろう。海兵隊は「ライトニング空母」構想を検討中で、これはF-35搭載を増やして強襲揚陸艦を軽空母として運用するものだ。航空自衛隊パイロットは海軍部隊の防空任務海上制圧任務にF-35を使う知見を今回の演習で得たはずだ。

今回の演習は中国の軍事力が存在感を増す中で、日米の海軍協力関係が強化される背景で実施された。今夏はオーストラリアを加えた三カ国が演習を実施していた。▼演習は日本のF-35部隊が米海軍強襲揚陸艦で運用される可能性ともに日米両国が中国の軍事プレゼンス強化をしり目に一層複雑になる太平洋で共同運用を強める姿を如実に示している■

この記事は以下を再構成したものです。

Japanese F-35As Train With USS America As Tokyo Looks Toward Its Aircraft Carrier Future

 


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