2016年7月18日月曜日

2030年のアジア経済上位5カ国は


2020年はもうすぐ先なので予測としては2030年が浮上しているようです。安全保障の環境を考える際にも国力の推移を見通すことが大事です。以下の予測には驚くべき要素がありませんが、それだけ主要各国の方向が定まってきつつあることの裏返しなのでしょう。この経済力を背景とした安全保障の議論が必要ですね。

 Asia's Top 5 Economies in 2030

Who are the winners and losers?
Shanghai's financial district. Wikimedia Commons/@Yhz1221
Shanghai's financial district. Wikimedia Commons/@Yhz1221


July 8, 2016


日本が世界最大の経済大国になるといわれていた時代を覚えているだろうか。予測にはリスクがつきものであるが、最近も中国が二ケタ成長を永遠に続ける、インドが急速に「新しい中国」になるとの予測が流布している。

アジアが世界経済の主役になるのは幻想ではなく、中国とインドの台頭は戦後世界を米国が独占していた時代から歴史的な経済規範が復活してきただけと見る向きが多い。

20世紀半ばまでアジアは世界GDP比で20パーセント相当に甘んじてきたが、日本や韓国の「経済奇跡」、東南アジアの新興勢力、中国の経済好況により今や40パーセントになっている。国際通貨基金は今後数年で世界の経済成長の三分の二を占めると見ている。

2030年アジアの上位五カ国を大胆に占えば、中国、インド、日本、インドネシア、韓国と見る。ただし、リスクは多数あり、地政学や経済上のショックが出現するかもしれない。疾病、革命、テロリズム、戦争がいったん発生すればその国はあるいは地域としてコースを外れることもありうる。

たとえば中国で民主勢力が蜂起し共産党政府を揺るがしたら、あるいは南シナ海で戦争が勃発したらどうなるか。韓国は北と統一を実現するのか。日本が移民制限を撤廃したら。インドではテロ攻撃の他に核戦争のリスクもある。

それにしても可能性のバランスの下に以下の五カ国が2020年代末までにアジアを牽引しているはずだ。

1. 中国
鄧小平が「最高指導者」に就任した1978年当時の中国経済は毛沢東一派の経済政策が数十年続いたための負担でつぶれそうだった。だが画期的な経済改革で共産中国が外資に門戸を開き、国営企業を民営化して中国は前例のない高度成長を数十年継続し、2010年には世界第二位の経済大国の座を日本から奪うに至った。

昨年のGDP成長率6.9パーセントは過去25年間で最低となったとはいえ、一部専門家がいうように従来が水増しだったとしてもこの数字はインド除けば世界のどの国よりも高い。年率10パーセントのGDP成長が続いた幸福な時期は終わったが世界最大の人口を有する同国の経済成長は終わることはない。

経済改革で輸出から内需へ、製造業からサービス業さらに国内需要へ切り替えたが、米農務省(USDA)の最新予測では中国経済は2030年まで年率5.2パーセントで成長する。

予測が現実になるかは成長減速を中国政府がどう乗り切るのか、また急増する債務と生産設備の過剰にどう対処するかにかかっており、投資先導の経済から消費中心の経済にゆっくりと舵を切れるかにもよる。

現時点でエコノミストの大方は中国が各課題に対応できると見ている。もしそうなら中国経済は米国との差を埋めるだろう。USDAは米経済の成長率を2030年まで2.4パーセント近くと見ている。

あとわずかのところで中国が世界最大の経済大国になれないとの予想もあるが、2030年のアジア経済では圧倒的な存在感を示していくだろう。

2. インド
この数十年間で中国が世界経済に躍り出たが、次はインドが同じ立場になる。

経済成長率ではインド経済は中国から第一位の座を2014年に奪い、USDAは2030年まで7.7パーセントで次の世界経済大国になると見ている。

IMFは現在第七位の経済規模のインドが早ければ2019年に第三位になると見ている。この後押しになるのが改革志向の強い政権と若年層が厚い人口構成による配当だ。

一次産品価格の低迷で打撃を受けるBRIC各国のブラジル、ロシア、中国に対しインドは一次産品の純輸入国であり消費国であるため現在の市況から大きな恩恵を受ける立場だ。

原油、石炭、鉄鉱石で低価格水準が続けば、インドの貿易赤字は縮小を続け、消費者の購買力は伸びるが、経済成長の最大の障害であるインフレはここ十年間で最低水準になっている。

課題は国民の不満をどう制御するかだが、世界銀行はインドがこのまま世界最速の経済成長を維持できると見ており、公共部門での投資と適度な規制緩和を背景にあげ、インドがアジアの成長株の座を守るのは確実と見ている。

3. 日本
さほど前でないがアジア経済再復興の象徴は日本だった。米専門家は争って東京へ飛び、日本の産業力の秘密を探り、政府行政官による民間部門の「指導」、勤労好きな日本のサラリーマンを経済力向上の原動力だともてはやした。

日本経済は1960年から30年間に年平均16パーセント成長をとげ、世界第二位の経済大国になったが、今となると予測はかならずしも大胆ではなかった。大規模な経済バブルで資産価格が不条理なまでの高額になり、皇居の土地価格でカリフォーニア州全部を上回るまでになったが、宴は1990年代初頭に終結を迎える。

「失われた20年」を現在まで早送りすると、経済予測がいかにばらばらだったかがわかる。安倍晋三内閣は「アベノミクス」で景気刺激を模索しているが向かい風に立っており、高齢化、労働人口減少、生産性の低下に加え公共部門の負債が増え続けている。

では2030年までにどうなるか。日本は史上最大規模の労働人口減少に見舞われることになり、OECDは政府財政の立て直し、経済構造の再構築、さらに女性や高齢者の労働増加を推奨している。

日本がここまで大きな経済や人口構造の変化に対応できるか不明だ。だがUSDAはインドがあと数年で日本を追い越すとしており、2030年の日本経済は世界第四位になっているだろう。

4. インドネシア
世界最大人口を誇るイスラム国インドネシアは今でもASEANの重鎮だが、多くの予測はこれから更に成長すると見ている。

マッキンゼーはインドネシアで2030年までに90百万人が消費社会に仲間入りすると見ており、中国やインドを除けば最大級の増加だ。JPモーガンはASEAN全体が2030年までに世界四番目の経済規模に成長する中でインドネシアの域内規模を40%とする。

たしかにインドネシアの需要や家計消費の増加は経済成長の大きな要因になるが、障害も多い。たとえば社会インフラの再構築、汚職追放、資源輸出での中国依存の是正などだ。

とはいえ、USDAはインドネシアの改革推進は可能と見ており、2030年まで年率5.1%成長を維持し、韓国を追い抜いてアジア第四位の経済規模になると見ている。

5. 韓国
韓国経済の輸出依存度はドイツに僅かに及ばないものの世界第二位だ。輸出の四分の一が減速傾向の強い中国向けで、韓国の経済鈍化は驚くべきことではない。

現代研究所によれば輸出の低迷と世界需要の低迷で国内消費が振るわず、企業の投資も低下している。製造業での雇用削減に家計部門の負債増加が加わり、韓国経済は問題に直面しているところに人口高齢化と労働力人口減少が追い打ちをかける。

ただし、OECDは韓国政府が堅実な政策をとり、国内支出増に向かい、行政改革、自由貿易協定を各国と締結し、女性の社会進出を後押し生産性の伸び悩みの打開は可能と見ている。

USDAも韓国の問題対処能力を信じ、低率ながらまずまずのGDP成長年率2.8%を2030年まで維持できると予測しており、アジア第五位の座に収まると予測。

また南北統一が実現すれば一気に数百万もの労働人口が加わるが、貧しい北を豊かな南が統一する財政負担を乗り越えることが前提だ。

世界でも有数の変化の激しい地域の行く末を予測することには絶えず読み間違いの危険がつきまとう。エコノミストのおかげで天気予報士が立派に見えるという笑い話もあるくらいだ。アジアの成長の中身と速度には議論の余地があるものの、経済拡大は誰も止めることができないようだ。

アンソニー・フェンソムはオーストラリアで活躍するフリーランス記者でアジア太平洋の金融・メディア分野の経験からコンサルタントも務めている。


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