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★★歴史に残る機体⑤ 史上最悪の戦闘機リスト




The National Interest

The Five Worst Fighter Aircraft of All Time

The worst of the "flying coffins."
October 12, 2014

一世紀を超える軍事航空の歴史で、「空飛ぶ棺桶」の異名が付いた戦闘機が複数生まれている。軍事では限界への挑戦は技術だけでなく人体機能でも同じで、この傾向は戦闘機で特に強い。戦闘機の操縦は極めて危険だが空中戦で銃撃を受けたいと思う者はいない。
高性能戦闘機は苦難の歴史だ。エンジン、兵装、機体に少し手を入れるだけで駄作機がエリート戦争マシンに変身する。歴史上の傑作機でも最初はパイロットが不信感をもつことはよくあるがエリートの座も長く続かず、第一次、第二次大戦で特にその傾向が強く、導入一年もすれば戦術の革新のため「空飛ぶ棺桶」になっている。
傑作機と駄作機の違いは実は驚くほど小さい。その基準を見極めるため、戦闘機はその国の戦略装備であり評価は次の観点で行うべきだ。
  • その機体は戦術任務をこなせなかったのか。同時期の他機種と比べ低性能だったのか。
  • その機は戦闘に間にあったのか。同機の操縦で自軍パイロットに敵軍戦闘機より多くの死者を生んでいないか。
  • その国の資源を無駄に使う機体になっていないか。

歴史を通じて最低の戦闘機を選出るにあたり、生産500機以上の戦闘機とし、生産機数は( )で示した。したがってXF-84Hサンダースクリーチのような珍作は該当しない。


Royal B.E.2 (3500)  

実際の空中戦が発生する前に航空機を準備したためパイロット、技術陣ともに苦悩の連続だった。ロイヤルB.E.2は本格生産された軍用機として最初の機体のひとつで、3,500機が製造された。初飛行は1912年で1919年まで供用されたが優秀な機体が登場して出番はどんどん少なくなっていった。

B.E.2は第一世代の戦闘機に対して望ましくない要素を示した機体であった。操縦視界が悪く、信頼度が低く、操縦が難しく、低速で武装も軽微すぎた。フォッカー・アインデッカーの登場でB.E.2は脆弱性を露呈した。改良策が逆効果になり機重が増し、事故多い危険な機体となった。

最初の戦闘機に落第点をつけるのは心苦しいが、B.E.2の低い操縦性と信頼性に加え同機を過剰に投入した英国の決定から同機がリストに入った。なお、英国飛行隊が後継機を投入できなかったことで初の独立航空部隊となった英空軍創設の主張を助けた効果もある。

Brewster Buffalo (509)

全長が短く、ずんぐりした魅力の欠けるバッファローが実戦化されたのは三菱A6MゼロやBf-109といった圧倒的性能を有する機体と同じ年だ。陸上および空母運用をともに想定したバッファローの初陣はフィンランドだった。設計途中で重量が増加したのは兵装を増やし、燃料も追加し、装甲板をつけたためだ。このため恐ろしく出力不足となり、対抗相手へ操縦性で劣ることになった。フィンランド空軍のバッファローはソ連と開戦直後は互角に奮闘していたが、東南アジア各地の英連邦やオランダのパイロットは日本戦闘機になぶり殺しにされている。さらに熱帯地方の高温環境で性能が劣化したのは致命的だった。

海兵隊パイロットがバッファローを「空飛ぶ棺桶」と称したのはミッドウェー海戦後のことで、同機が日本に無残なほど撃墜されたためだ。米海軍は同機より優秀なグラマンF4Fワイルドキャットを急いで配備した。
Lavochkin-Gorbunov-Gudkov LaGG-3 (6528)
軍装備の近代化とは時間との戦いで、1930年代のソビエト連邦は軍事産業再建の中で他国より一歩遅れた技術を中心に生産を最適化していた。LaGG-3は初飛行が1940年だが、ドイツの侵攻時にソ連空軍の主力機だったことが不幸を呼び、同機のロシア呼称からパイロットは「ニス塗りの保証付き棺桶」と呼ばれてしまった。

就役開始はBf-109より後なのにLaGG-3は空戦ではいいところがなく、さらに軽量木材機体に低出力エンジンを組み合わせたことで重量級のドイツ戦闘機に対して戦術的な優位性は困難になった。敵弾命中でばらばらになった。ソ連のパイロット養成も低い水準のため、ドイツやフィンランドのパイロットにとって驚くほど簡単に撃墜できる機種だった。LaGG-3の生産は1942年に終了予定だったが、ソ連軍事複合体の都合で1944年まで生産された。

Century Series (F-101 (807), F-102 (1000), F-104 (2578), F-105 (833))   

センチュリーシリーズから一機選ぶのは難しい。空軍が戦略爆撃思想を重視してソ連との核戦争を第一に考えていた時代の産物だ。戦術航空軍団は自ら「戦略的」になることで課題解決しようとし、迎撃機でソ連爆撃を捕捉撃墜し、戦闘機も大型化し核兵器を搭載することを考えた。このため米空軍の戦闘機各種は北ベトナム空軍の小型で操縦性の高いMiG戦闘機に対応できなくなっていた。
ただし全部が失敗作ではない。F-100は第二世代戦闘機として妥当な機種だし、F-106の迎撃機性能は申し分ない。それ以外の各機には戦略思想と技術企画の方向の誤りで何らかのトラブルがついてまわった。マクダネルF-101ヴードゥーは迎撃機から戦闘爆撃機に転用されたが意義がよくわからない機体で、コンヴェアーF-102デルタダガーは迎撃機、戦闘爆撃機いずれでも性能不足だった。ヴィエトナムにも短期間投入されたが一番の功績は遠隔操作標的機への改装だった。
ロッキードF-104スターファイターは高速で美しいが死の罠となった機体で、「空飛ぶ棺桶」のあだ名は10万飛行時間につき30件の事故率が原因で「有人ミサイル」とも呼ばれた。カナダのF-104では50パーセントが事故で喪失し、ドイツは30%を失った。巨大なリパブリックF-105サンダーチーフは核爆撃機として設計され、通常爆撃ミッションには不向きなのにヴィエトナム戦で無理やり投入され、MiG各機やSA-2ミサイルの格好の餌食になった。
センチュリーシリーズの製造元は各社いろいろで想定任務内容も異なる。相当の機数が調達されたがすべての機体に同じ問題が見つかっている。つまり米空軍が核戦略爆撃以外の戦闘の構想に失敗したことだ。

Mikoyan-Gurevich MiG-23 (5047) 
MiG-23フロッガーはF-4、F-111といった米国製戦闘機へのソ連の対抗策だ。強力な可変翼戦闘機で攻撃と迎撃の双方をこなした。
だがフロッガーは操縦、保守整備ともに怪物だった。米「レッドイーグル」パイロットはソ連機の性能を評価するのが仕事で、フロッガーを大惨事が必至の失敗作と評した。1984年にロバート・M・ボンド中将が米空軍所属のフロッガー操縦中に死亡している。大型の機体となったフロッガーにはそれ以前のMiGの長所だった低視認性が欠けていた。
MiG-23は当初ワルシャワ条約参加国の各空軍に配備する予定だったが、各国はMiG-21の供用継続を好んだ。MiG-23の輸出条件は低価格の目玉商品だったが安全運航は極めて難しいものだった。設計上の問題でエンジンは短時間で燃え尽き、海外の導入国も同機の運用を急速に減らす結果になった。フロッガーの実戦記録はシリア、イラク、リビアが主でしかも芳しいものではない。そのため就役したMiG-21より先にMiG-23の姿が軍から消えたのは驚くことではない。

まとめ
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リストに将来加わりそうなのがF-35共用打撃戦闘機で、生産は500機の大台を超える予定だ。機種の戦略的な価値は供用期間全体を見て初めてわかる。JSFがこのリストにいつ加わるかは不明だが、一つだけ言えるのはF-35がこのリスト各機の事故発生率に近づくことはないだろう。ただしJSFの機体価格が巨額になっていることから将来的にリスト入りは十分ありうると思われる。
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選外: ジェネラルダイナミクスF-111アードヴァーク、マクダネルダグラスF-4ファントムII、メッサーシュミットBf110、ボルトン-ポール・ディファイアント、フェアリー・フルマー、スホイSu-7フィッター
Robert Farley is an assistant professor at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs.He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat. Follow him on Twitter:@drfarls.
All Images: Wikicommons.


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