スキップしてメイン コンテンツに移動

南シナ海: 中国の動きは9月以降が要注意


今年の秋に何らかの軍事行動に中国が出るだろうということですか。人民解放軍が党の軍隊であるのは事実ですが、棒給引き上げがないまま民間との給与水準の乖離で人員に不満が高まる中で、下手に部隊が実弾発射してリスクを増やす命令をそのまま実行に移すでしょうか。中国の最大の弱点は「人財」だと思います。

 China Will Hold its Fire in the South China Sea — Until September

Creative Commons
July 30, 2016

  1. ワシントン・ポスト紙上で著名コラムニストのデイヴィッド・イグナティウスが波荒い南シナ海を取り上げている。国際法廷判断でここまでひどく中国が負けるとは世界は思っていなかった。「法の支配の下の国際秩序」にまず一点入ったということか。
  2. だがこれから発生することが重要だ。中国がこのまま黙っているはずがない。復讐心に燃えた対応を出してくるはずだ。
  3. ただしイグナティウスが指摘するように北京政府は言葉の応酬や南シナ海で爆撃機を飛ばして自分撮り写真を取ることで今のところ終始している。飛行地点はこれから埋立工事を狙うスカーボロ礁上空だった。現時点で中国は反応をしていないが、9月になればタイミングが絶好となり大きな動きがでてきても世界が注意を払わないかもしれない。
G-20 サミット+ 大統領選= アジアでトラブル発生
  1. なぜ反応がすぐ出ないのかと聞かれるがタイミングは理想どおりには実現しないものだ。
  2. 中国はG-20サミットを9月4-5日に杭州で開催する。台頭する超大国としての地位を示す機会を絶えず狙う中国は理想的な協調的態度でトラブルは全く起こさない国として演技し、南シナ海でも注意深く筋書きを書いているはずだ。確かに発言や行動の暗示は激しくなるが、当面はエスカレーションを自制する。中国は国際会合の檜舞台で舟を揺らすことはしないはずだ。サミットが終わるまで中国が軍事力行使に向かわないことは賭けてもいい。
  3. だがそのあとで事態は急展開するはずだ。米大統領戦で報道が加熱して南シナ海問題への関心が薄れる状況を利用するのだ。
  4. その時が南シナ海で一悶着起こす最良の機会となる。中国を抑止できる唯一の国米国が次期最高司令官選びに夢中になって米国並びに各国の報道も大統領選挙一色で、討論会あるいは別のスキャンダルが見出しを飾っているはずだ。
  5. 中国が南シナ海で防空識別圏 (ADIZ) を設定したり、スカボロー礁で埋立工事を開始しても世界がホワイトハウスを目指す両陣営の一言一句に関心を寄せる中、さほど関心を集めないだろう。中国には絶好のタイミングとなる。
  6. もう一つ考慮すべき材料がある。次期大統領次第でアジアへの姿勢がどう変わるか見えない間が行動の好機だと中国は賭けに出るかもしれない。オバマ政権も任期の終わりに近づきアジア危機の発生は望まないはずで中国が揺さぶりをかけても米国の妨害は受けないと思うかもしれない。中国のいいぶりではないがタイミングが全てなのだ。
今は準備期間か
  1. そうなると南シナ海で緊張を高め自国主張を固める絶好の機会となる。中国はどんな行動に出るだろうか。その答えにはこう聞けばいい。南シナ海周辺国さらにインド太平洋各国は準備できているのか。■

Harry J. Kazianis is a Senior Fellow for Defense Policy at the Center for the National Interest and Senior Editor at The National Interest Magazine. You can follow him on Twitter: @Grecianformula.

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ