これもオバマ政権の失敗では。イスラム国をもっと早く叩くべきであったのに小出しに航空兵力を投入して貴重な時間を空費したこと。米地上軍の投入をためらい、イラク他の地元兵力武装勢力を主役に立てた分、訓練や整備に時間がかかっています。砂漠や高地で酷使された各種機材の更新が今後たくさん必要になりますがF-35やLRSB等の大型案件に予算が吸い込まれ、結果として米空軍は戦力減少に向かうでしょう。イスラム国ははやく消滅させたほうがいいのは自明の理なのでせっかく勢いのついてきた作戦を今後も継続してもらいたいですね。日本も貢献できることがあるはずですね。
Airstrikes Up In Iraq & Syria, Afghanistan Eats ISR: CENTCOM
月別兵器投下量(緑シリア-イラク、赤アフガニスタン)
- アメリカは全く違う戦争を2つ同時に実施している。国防総省発表の最新データからイスラム国向け航空作戦はほぼ四ヶ月の小康状態からふたたび激しくなっていることがわかる。一方でアフガニスタンでの空爆はイラク、シリアと比べればごく小規模であるが、アフガニスタンの荒れた広い国土に驚くべき量の偵察活動が展開されている。
- 米中央軍CENTCOMの最新データを分析し、双方の戦闘状況を把握した。CENTCOMが昨日公表した報告書で月ごとに爆弾が何発投下されミサイルの発射本数もわかる。6月が極めて活発で記録に並ぶ量が投下されている。
- 圧倒的多数の97.1%がダーイシュ(自称イスラム国のアラブ語頭文字による蔑称)向けで、6月に米軍はイラク、シリアで合計3,167発を投下しているのに対しアフガニスタンでは62発だった。
近接航空支援ソーティー数
- アフガニスタンでの交戦規則が厳格になったことに注意が必要だ。国境なき医師団の病院への誤爆で42名死亡した事件が引き金になったが現在は緩和されており、タリバンへの空爆は増える傾向にある。だが基本構造には変化はない。米軍はイラク-シリアを重視し、ダーイシュを叩き、イラク軍の前進を助けているが、アフガニスタンでは基本的に軍事顧問団の役割に徹している。
- 空爆の代わりに米軍はアフガン政府軍に情報収集監視偵察(ISR)能力を大量に提供している。データを見るとアフガニスタンでのISRフライト回数はイラク、シリアの二倍程度になっている。言い換えれば、イラク、シリアでは近接航空支援任務2回につき一回のISRフライトがある。ISRを実施理由では空爆目標に関する情報が一番多い。アフガニスタンではおそらく同国地上部隊の要望が中心なのだろう。
- 数字から一つわかることがある。空爆回数が減ってもISRの要請は減っていない。偵察は絶えず必要であり、無人機部隊がぎりぎりまで酷使されている。
ISRソーティー回数、月別
- 輸送機も酷使されている。二方面の航空作戦で今年前半だけで空輸フライトが4,500回を数え、各種補給品を米軍、連合軍向けに運んでいる。
- 次に空中給油がある。給油機は高経年化が目立ち後継機種の確保に空軍は躍起だ。基地が近くに確保できず米軍戦闘機は航続距離が短いため空中給油一回か2回がないと目標まで到達できない。
- 空中給油機にアフガニスタンが悪評なのは国土が広く拡散しているためだ。インド洋上の空母から発艦する攻撃戦闘機は一回のソーティーで何度も空中給油する必要がある。だがアフガニスタンでの空中給油機のソーティーは平均一日あたり13回とイラク、シリアの34回と比べ半分以下だ。それだけシリア、イラク上空にはお腹をすかした戦闘機が多く飛んでいるのだ。
- 大まか数字ではこれ以外の詳細が見えてこない。たとえばAWACS空中指揮命令機は少数だが重要な機材だ。またデータは最終的には戦略の兆候を示し、グラフの折れ線は状況を知るためのものでありそれ自体が目的ではない。そこでアメリカの空軍力権威に意見を求めてみた。
一日あたりのソーティー数
- 「CENTCOMがイスラム国を標的に作戦レベルをあげているのはよいことだ」とデイヴィッド・デプチュラ退役空軍中将、元F-15パイロットは語る。「(だが)シリアとイラクで層別すると、シリア内のイスラム国向け空爆は活発さを欠いている」という。
- デプチュラの数えたところダーイシュ相手の空爆は平均一日15ソーティーで72発を投下しており、うちイラクが9ソーティ、シリアはわずか6ソーティーだ。砂漠の嵐作戦の空爆でデプチュラも立案に加わったが、一日で1,241ソーティーで5,294発を投下している。2003年のイラク侵攻では633ソーティーで973発だったのはスマート爆弾が広く投入されたのが大きい。セルビアの1999年連合軍作戦でさえ298ソーティーで359発投下していた。
一日あたり投下数
Data courtesy David Deptula, Mitchell Institute
- その一日あたり15ソーティーでデプチュラが指摘するのはイラク9に対してシリア6というバランスの悪さだ。イスラム国の中枢はシリアだ。ビル・ミッチェルやジウリオ・ドゥウエが説いた空軍力理論ではまず敵の力の源泉を叩くべきで、戦線付近を空爆で苦しめるのはその後でよい。
- 「最新の数字から現在の陸軍主導の(地上戦中心)戦略ではイラクの主権回復をまず達成してからシリアのイスラム国対応にとりかかろうとしているが、これではあべこべだ」とデプチュラは指摘する。デプチュラはワシントンDCでミッチェル空軍力研究所所長を務めている。「この地方での米安全保障の中核的利益はイスラム国に聖域を認めないことでテロ輸出を止めることのはず。イラク軍の代理を務めることではない」
- 進展がゆっくりとしかも小出しの投入によりイスラム国に時間の余裕を与えてしまい西欧への影響力拡大を許したため「オーランド、パリ、ブリュッセル、ニース、それからこれからもっと多くの場所でテロ襲撃が起こる」とデプチュラは述べた。
- 「二年前に米主導の連合軍は総合的な戦略で迅速かつ効果的にイスラム国の実行能力を解体する方向でまとめておくえきだった」とデプチュラはいうが、今からでも方向転換はできるはずだ。「シリアのイスラム国相手の空爆は一日六回という小規模から適度な規模に引き上げるべきで、イスラム国の構成要素をそのまま粉砕する作戦を迅速に行う戦略に焦点を合わすべきだ」■
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