F-35で本当に大丈夫なのかと言われても当面この機体しかないわけで、その意味でロッキードの宣伝に踊らされた西側世界は本当に不幸としか言いようがありません。確かに同機には新趣向の技術もあり、これまでの戦闘攻撃機の概念を変えるインパクトもあるのですが、いかんせん実用化に時間がかかっている割には実現できている当初の性能水準が少なく、一方で記事がいうような対ステルス技術も進歩しているわけでF-35も安閑としていられないはずで、海軍のようにステルスを軽視し攻撃力を重視する選択にも一理あるかなという見方もあるでしょう。
Is the F-35 a Lethal 'Velociraptor' or Easy Prey for Russia or China?
Image: Lockheed Martin/Flickr.
July 7, 2016
- 米海兵隊航空部門トップがロッキード・マーティンF-35B共用打撃戦闘機(JSF)を好意的に評価する見解を下院軍事員会で証言した。7月6日。ステルス新型ジャンプジェット機は訓練期間中は暫定ソフトウェアを搭載し、想定する性能の一部しか発揮できていない。
- ジョン・デイヴィス中将(海兵隊航空部門次長)はF-35の兵器戦術教官教程での状況が向上していると述べている。演習では既存機種のボーイングAV-8Bハリヤー、F/A-18C、EA-6Bが高度防空網想定では半数の機体しか目標に達しなかったのに対し、F-35は全機が到達しながら被害を受けていないという。
- 「F-35は24対ゼロですべての目標を破壊した」とデイヴィス中将は述べ、「ジュラシックパークの恐竜ヴェロキラプトルさながらすべて殺害しています。実にうまくやりとげてくれます」
- デイヴィス中将はF-35Bを投入する想定の高性能防空網の詳細は触れなかったが、海兵隊は作戦即応態勢監査を同機で実施済みで、飛行隊も追加編成すると述べた。ただし現在のF-35Bは当座しのぎの性能しかなく、飛行性能や兵装搭載で制約がついている。機体の成熟化に応じて空軍、海軍、海兵隊はハイエンドで互角能力を持った敵との戦闘に備え、訓練を拡大する必要が生じる。
- マイク・マナジール少将海軍戦闘システムズ作戦副部長にデイヴィスと並び証言し、ネットワーク戦によりペンタゴンは訓練の新方式の確立が求められると述べた。ハイエンドのロシアあるいは中国兵装の模擬手段としてマナジールはコンピュータシミュレーションの応用にふれた。「F-35のような第五世代戦闘機では戦闘の進め方自体が違い、ネットワーク化戦闘の演習に米本土の四分の三ほどの広さが本来必要になります」と述べ、「このためウェスト空軍少将が提示したようなライブ仮想発展型訓練live virtual constructive trainingになるはずです」
- 仮にペンタゴンが同機の完全性能をシミュレーションで試すことが可能としてもF-35が最新の中国機やロシアの統合防空体制にどこまで有効に対処できるかで疑問が残る。特にロシアは庁はネットワーク型レーダー網でUHFとVHFを20年以上試用し、米ステルス技術に対抗しようとしている。中でもノースロップ・グラマンB-2スピリット戦略爆撃機を狙っている。「戦闘機のステルス性能の優劣よりもこちらの機体があちらの長波UHF/VHFレーダーの前でどこまでステルス性能を発揮できるかが問題です。このレーダーは低視認性機体からも全体像をもっと多く返すように設計されています」とマイク・コフマン(海軍解析研究所でロシア軍事技術を専門とする研究者)がNational Interest誌に語っている。「JSFならかわせるかもしれませんが、高価な機体なので潜り抜けられないと厄介です」
- コフマンはF-35にもうひとつ深刻な問題があると指摘する。米海軍パイロットに単発エンジンに不安を感じているという。F-35が搭載するプラット&ホイットニーF135エンジンはきわめて強力で43千ポンドの推力を発生するが、同時に極めて高温となる。ロッキードF-22ラプターのF119エンジンでは排気を整流し赤外線を下げているが、F-35では排気を探知しにくくする工夫がないといってよい。ロシアには高性能赤外線センサーがあり、F-35排気の特徴から機体を探知する装備を開発する可能性がある。「世界中で最も高熱を発するエンジンといってよい」とコフマンは指摘する。
- せっかくペンタゴンが各軍共通の機体として導入したのに、同じ問題がついてまわることになるのかもしれない。
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
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