スキップしてメイン コンテンツに移動

★★★A-10の主力装備GAU-8機関砲とは

A-10の存在意義であるガトリング砲GAU-8について詳しく解説しています。もともとがガン専門誌の記事なのでややマニアックかもしれません。また訳にも一部おかしなところがあるかもしれません。ご存知の方はご指摘ください。


War Is Boring We go to war so you don’t have to
U.S. Air Force photo. All other art via Wikipedia

Everything You Ever Wanted to Know About the A-10 Warthog’s Big-Ass Gun

The GAU-8 is a fearsome shooter

by MATTHEW MOSS

ジェネラル・エレクトリックの30ミリGAU-8アヴェンジャー機関砲は米空軍A-10サンダーボルトII対地攻撃機の主要兵装として40年に渡り使用されている。同じ砲は海軍の近接防空システムであるゴールキーパーにも採用されている。巨大で畏怖感を与える銃だ。
  1. GAU-8は銃身7本と円形ロック機構付きボルトで構成する。動力に油圧モーター2基を使い理論上は戦車を貫く劣化ウラン弾を毎分4,200発発射できる。
  2. 1960年代に空軍は対地攻撃専用機材として導入可能な低価格で装甲車両や固定陣地を破壊できる近接支援機が必要と結論づけた。ソ連装甲師団が大量に西ヨーロッパに流れ込む脅威から主力戦車や装甲兵員輸送車を破壊できる機体が必要となった。
  3. 1966年9月に米空軍は試作攻撃機事業、別名A-Xで新型近接航空支援機の開発を始めた。
  4. A-Xでは安価な機体に低速での操縦性、長時間の空中待機性能を付与し残存性と火力を重視した。空軍はA-1スカイレイダーのパイロットからヴィエトナム実戦体験を求め、提案内容を1970年夏に修正した。
  5. また提案書では30ミリ回転式自動砲に毎分4千発の発射性能を要求した。空軍はM61を以前に開発したジェネラル・エレクトリック、成功しなかった25ミリGAU-7の開発元フィルコ-フォードの二案を競合させた。
  6. ジェネラル・エレクトリック案が採択され、制式名称GAU-8別名A/A49E-6ガンシステムとなった。
  7. ジェネラル・エレクトリックは以前からある20ミリM61ヴァルカン砲を拡大すれば空軍の想定する最大機体重量を超過するとわかっていたので別の方策をとり、新設計軽量装備にヴァルカンのリンク無し弾薬供給機構を組み合わせた。
  1. 一方で機体では二社案があり、フェアチャイルド・リパブリックのYA-10とノースロップYA-9を比較検討していた。フェアチャイルドのYA-10では機関砲をやや左側に搭載し、弾薬バレルを右側9時の位置に配置した。
  2. これでGAU-8に45キロニュートン相当の反発力を機体中央線に沿って与えるとともにA-10が砲を発射しても機体がずれて目標を外さないようにした。
  3. 公試は1972年末に始まり、翌年1月に空軍はYA-10を採用した。A-10は頑丈で長持ちする機体でメンテナンスは比較的軽微ですみ、支援設備が不十分な前線基地からも運行可能とするため、滑走路が不完全でも対応できる設計にした。
  4. ファエチャイルドは残存性を高くするため機体全体は23ミリ機関砲に耐え、コックピット周りは57ミリ砲の銃撃にも耐える構造にした。燃料タンクは自動密封型とし、油圧系統、エイビオニクスを損傷しても「手動復帰モード」で飛行可能だ。
  5. GAU-8機関砲の単体重量は620ポンド(約280キロ)で、A/A49E-6ガンシステム全体は4,029ポンド(約1.8トン)とA-10の全体重量のおよそ16%を占める。GA-8の銃身は7本あり、導入当初は毎分4,200発の発射が可能だったが、空軍は3,900発に下げる。この速度だと各銃身は毎分557発を発射し相当の威力であることに変わりない。
  1. 実際にはパイロットは発射を一秒から二秒にとどめ、弾薬を節約し銃身の寿命を長引かせる。空軍は銃身の寿命を2万発に設定している。銃身は簡易脱着式としメンテナンスや脱着作業を容易にしている。
  2. 装備の全長は18フィート(約5.5メートル)で弾薬ドラムの直径は3フィートだ。GAU-8の弾倉は1,174発まで収納できるが、空軍は通常は1,150発しか装填しない。油圧モーターが二基あり、合計77馬力を発生し、弾薬ドラム装填、砲の発射に使う。またモーター二基でGAU-8の銃身7本をほぼ瞬時に回転させる。
  3. A/A49E-6ガンシステムでは薬きょうを機外に排出せずドラム型の弾倉に戻し飛行後に地上要員が取り外すこれで薬きょうをエンジンに吸い込まず機体の損傷を防ぐ
  4. 当初は地上要員がA-10の弾倉を手作業で装填していたが時間がかかっていた。1976年に空軍は自動装てんシステムの提案要求を出し、コロニーエンジニアリングColoney Engineering Companyが弾薬装填と使用済み容器の取り外しを同時に行う装置を納入した。
  5. ジェネラルエレクトリックはGAU-8用30ミリ弾を機関銃の基本設計を元に開発した。戦車の装甲を貫徹する弾丸には高硬度貫通部分が必要とされた。最適素材としてタングステンが浮かび上がったが、タングステン供給は中国とソ連が大部分を占めていた。
  6. そこで代替策が見つかった。劣化ウラニウムで発電用原子炉に使うウラニウム濃縮工程で生まれる副産物だ。天然由来のウラニウムのおよそ60パーセントの放射能強度がある。実際に使用すると、推進部分から分離し断片に分かれ炎が発生する。ジェネラルエレクトリック広報では劣化ウラニウムを「重金属」と一般的に説明していた。
  7. ジェネラルエレクトリックはエリコンの304 RK弾丸を原型に二種類の弾薬を開発した。装甲貫徹型焼夷弾はPGU-14/Bの名称がついた。PGU-13/Bは高性能爆薬を使う焼夷弾だ。A-10はPGU-14/BとPGU-13/Bを5対1の比率で装填する。共にアルミ合金の筐体で重量軽減とペイロードを増やしている。
  8. PGU-14/B  API弾は距離1,200メートルで装甲55ミリを貫通し、300メートルだと76ミリ装甲も貫徹する。1979年のテストでA-10はM47パットン戦車をソ連のT-55やT-62に見立て攻撃後評価は「深刻な被害」と評し、低空通過攻撃は「大変効果がある」としている。
  9. 11発から27発命中すれば戦車は破壊される。1,200メートルの距離からでもA-10は12メートル範囲に80パーセントの弾丸を命中させられる。
  10. 1970年代中頃にオランダの武装メーカーHollandse Signaalapparaten B.V.はGAU-8をゴールキーパー近接防御装備システムに採用した。ゴールキーパーは水上艦艇をミサイル、航空機、高速艇の脅威から2,000メートルの有効範囲で守る。複数の海軍が採用している。
  11. A-10はさらに16千ポンドの兵装を主翼下のハードポイントにロケット弾、ミサイルとしてAGM-65マーヴェリック他各種爆弾を搭載できる。A-10の初実戦は1991年の湾岸戦争で推定3千両のイラク車両を破壊しており、うち戦車は900両だった。ある交戦ではA-10二機のでイラク戦車23両を破壊した。
  12. 湾岸戦争の空軍機材では戦車を一番多く撃破したのはF-111だったが、A-10は近接航空支援の中心だった。1991年以降にA-10はアフガニスタンにも配備され、2003年のイラク戦争や2011年のリビア作戦にも投入された。直近ではイラク、シリアでイスラム国を攻撃中だ。
  13. 空軍と州軍に改修済みA-10Cが283機配備されている。ジェネラルエレクトリックはGAU-8機関砲を770基製造し、A-10とゴールキーパーが搭載している。■

コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★真偽は?日本もUCAVを開発していた

日本にもブラック事業がある(あった)のでしょうか。映像公開したのは機密解除になったのか、事業がもっと先に進んでいるからでしょうか。各務原での目撃がないことから別の場所で秘密裏に開発されたのでしょうか。川崎重工関係者は口がさけても語れないと思いますが、事実なら日本もUAV-UCAVを開発していることがわかりますね。判断は読者の皆さんにおまかせします。
This is the combat drone Japan has been building in secretこれが秘密裏に開発していた日本の戦闘無人機だ 川崎重工ブースのビデオでUCAV試作機の飛行状況を写していた (Photo by Harold Hutchison) By Harold HutchisonOct. 06, 05:10 AM http://www.wearethemighty.com/news/this-is-the-combat-drone-japan-has-been-building-in-secret
無人戦闘航空機、つまりUCAVはこれからの軍事航空のカギを握ると言われる。米国、ロシア、フランスが開発中と判明している。 だが本誌We Are The Mighty (以下WATM)はこのたび日本も秘密裏にUCAV開発を進めていたことを知った。 ワシントンで先ごろ開催された空軍関係のイベントでWATMは川崎重工業のブースでビデオ画像を見た。それは同社によるUCAV研究開発の様子で、画像内のUCAVはボーイングX-45やノースロップ・グラマンX-47に似ているようだった。 会場で詳しく聞こうとしたが、同社係員が日本政府の意向だとしてやんわりと断ってきた。翌日も別の係員はこの件は存じていないと答えてきた。 結局三番目に会った川崎重工の小林タクミ氏が「試験機で10年近く前のもの」とし、「防衛省予算による実験事業だった」と説明してくれた。同氏はさらにメールで「2008年ごろのプロジェクト」と述べている。 WATMが当時空軍の筆頭参謀次長として情報監視偵察分野を担当し現在は航空宇宙研究にあたるミッチェル研究所の所長をしているデイブ・デプチュラ退役空軍中将に日本がUCAV開発をしていた事実を知っているか聞いたところ、即座に「知らない」との答えが返ってきた。 このことから日本のUCAVは秘密のベールに隠されていたことがわか…

★★ロッキードが極超音速技術の完成に近づいている模様、SR-72との関連へ注目

Amid SR-72 Rumors, Skunk Works Ramps Up HypersonicsSR-72の噂と関連か、スカンクワークスの極超音速技術が加速中
Sep 27, 2017Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report http://aviationweek.com/technology/amid-sr-72-rumors-skunk-works-ramps-hypersonics
SR-72: Lockheed Martin FORT WORTH, Texas—ロッキード・マーティンが極超音速技術開発を加速化しており、初の実証機を目撃したとの報告もあり、スカンクワークスが進めるSR-72高速機開発との連関が注目される。 「詳細は言えませんが、スカンクワークスのあるカリフォーニア州パームデールで超高速飛行実現の動きを倍増しています」とロッキード・マーティンで航空力学執行副社長オーランド・カバルホOrlando CarvalhoがSAE 国際航空技術学会で語っている。「端的に申し上げれば米国は極超音速革命まであと一歩まで来ています」 Darpaと米空軍研究実験部門が共同で進める推進滑空兵器および極超音速空気取り入れ式兵器コンセプト研究に言及して、カバルホは「この十年で研究は大幅に進み、極超音速技術で状況が一変する意味があることが明らかになってきました。今後も研究テストを進め、極超音速飛行の実現にDarpaとのプロジェクト二件を活用します。国家安全保障ではスピードが肝心です」 SR-72への言及はなかったが、同社が極超音速機として退役済みの高速SR-71ブラックバードの後継機を提案中であることは広く知られており、カバルホの前向きな発言はロブ・ワイスRob Weiss(ロッキード・マーティンの高性能開発事業体執行副社長兼総支配人)の発言に重なる。6月にワイスはAviation Weekに選択的に有人操縦となるSR-72の前身となる飛行研究用機体(FRV)が予定通り進行中と暗に述べていた。 スカンクワークスはFRV開発を来年から始めるといわれ、初飛行予定は2020年だ。FRVはF-22ほどの機体サイズで推進力はフルスケールのコンバインドサイクルエンジン一基だ。しかし実証機に先立ち、ロッキードは各種技術の地上・飛行テスト…